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私は何者か、312



粕汁。蔵元の酒粕。レアもの。いただいたもの。スーパーで売っているのと少しちがう。とてもクリーミーである。お家にある野菜をどんどん入れる。人参、小芋、白菜、牛蒡、じゃがいも。蒟蒻、いりこ出汁、黒豆味噌。じゃじゃーん、酒粕、豚バラ、黒胡椒。朝晩寒しの浅春に、もう一枚上着を重ねて暮らす日々。ちょうど、そうだな、混ざり合う季節か。霜と梅。薄氷。題材になり易き薄氷。我らはいつも薄氷のうへ。あちらとこちらの狭間。字限り。力を入れているようで、入れてはいけない。だからといって、脱力は良くない。自然に逆らわずとでもいうか。目を瞑って、歩いているのだ。細い細い、糸のうへ。今日、帰り道、空をゆく飛行機雲を見た。それぞれに好きなように飛んでいるように見える。次第に消ゆるその白い雲の尻尾をそっと人差し指で弾いてみた。滲んで、弛んで、そして、もうすでに宇宙のうへ。どんなにしても、時間は戻ってこないし、一歩でも先に己を知ることはできない。温まった身体を眠さへ傾け、夜の底を、それでも、歩かなければならない。眠りつつ、歩む。

たんぽぽが昨日見つけたお手紙の「見つけてくれてありがとう」



知らないことが多すぎて、珈琲が冷めてしまいます。


私は何者か。





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