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私は何者か 番外編 a dozen 短歌 50
読み直し反芻し直し書き直し繕い直し出直してなほ
肌にある気温の名残り一日の鼓動愛おし生きおるかぎり
静かなる室内楽のなかにあり森の泉に音のあつまる
この気候この時間帯わたくしの最も愛するもののみである
飲んでいてふと思うことあの人のうなじの温さ鼓動の強さ
永らえて今日ここまでの命なら野花の咲ける川を目指して
空に見ゆ七色の虹有難きまだ我々の星はまあるい
水中へ飛び込んでなほ老漁夫の水中眼鏡に何を映して
そのままに待っていなさい潮満ちて君らの脛を洗うときまで
一艘の小舟満ち来る波に乗り我ら生きとし許されていて
砂に書く言葉はいつか消え去ると波は知ってるずっとまえから
砂のうへ誰にも会わぬ日の波のなんとやさしき柔らかき触手