私は何者か、番外編 a dozen 短歌 48
黄金週邑久町虫明過ぐるとき知っていたのよ虫明亜呂無
トルコから来たユ何某という男カッパドキアを完全否定
足裏を波が掠めてゆく午後の誰も止められぬ恋という魔
くっついたり離れたりしてひとの根の誰があなたをデラシネと呼ぶ
傾いて右手静脈青増して異国の民の日本語巧み
驚いて感嘆符いっぱい恥ずかしきはっきり言って母語の煩雑
幾日か聴かずにありし雨の音今日降りたれば音符氾濫
スキといふ曖昧にして大概の唇動くイエスのかたち
くちびるはずっとノンノン春の夜の今更女子のほんとの気持ち
膝小僧ぶつかったならおかしいね自己紹介のふたりみたいに
春すぎて夏といふ名の未来像もう悩まずに生きてゆけるか
囚われの名残りといふかサンダルの紐がきついと感じて目眩