中年男性のセルフケア(プ)
これまで40年近く、迷信をちょっと小馬鹿にしながら生きてきた。
特に「掃除をするとツキがくる」系のものは、因果関係がない、非科学的なものだと特に拒絶していたと思う。
最低限の掃除は迷信とは別でやっていたが、それ以上の意味は見出していなかった。
しかし、ここ数ヶ月、個人的な出来事や見た映画などで考え方が大きく変わってきた。
男性は40代くらいまで、仕事や自分のやりたいことなどに真っ直ぐ突っ走っていっても、騙し騙しやっていくことができる(もちろん環境にもよるが、女性よりは圧倒的に「許される」立場であると思う)
ただし、体力も落ち、仕事付き合いの相手も年下となり、また騙し騙しやってきたことの「清算」がやってくる40代くらいにガツンと落ちる時期が来る。
その時に「セルフケア」の概念や自分と向き合う経験がない人はドツボにハマる。また、人に助けを求めることが苦手な人も抱え込んで追い込まれるだろう。
プロインタビュアーの吉田豪さんが生配信にて「女性は二次性徴の頃から自分の身体と向き合うことが求められるから、セルフケアが重要にならざる得ないが、男性は考える必要があまりないから中年で一気に落ちる(モバプリ意訳)」と見解を述べた時には膝を叩いた。まさにその通りだと思ったし、10代の頃から始まってるんだと思った。
https://youtu.be/M9nXq1wjFbM?si=7_fI-cX4ZSk8l5YO
※該当の話題は19:40〜から
ヨガ、ハーブティー、アロマ、丁寧な生活。
「こうしたものは女性的で、男はもっともっと豪快に生きるべし!」などの発言をする人は流石に減ってきてはいるが、私の頭の奥底にもそうしたアンコンシャスバイアスはあったのだろう。今まで接点がほとんどなく、ここまでやってきた。
メンタルヘルスを恐ろしいエンタメ性を持って描く『インサイド・ヘッド』シリーズで、ぜひ中年男性のセルフケアの重要性やアプローチを描くスピンオフを作って欲しいと思う。きっと多くの中年男性が涙を流して喜ぶはずだ。
仕事と同じくらい、「生活」を自分で丁寧にしないとこれから本格的な中年に差し掛かる私は潰れてしまうだろう。
その視点が生まれた瞬間、まずは身の回りを定期的に掃除をすることの重要さを実感する。
整理整頓された環境は心理的ストレスを軽減させる。乱雑な環境は無意識のうちにストレスを与え、注意力を散漫にさせる。
また掃除を済ませることで小さな達成感が得られ、自己効力感が高まる。
掃除に集中することで、マインドフルネスの効果が得られ、精神的な安定にもつながるだろう。
ただこうした作業を、SNSにアップして、人から承認を得ようとしたり、「こうしたものを知っている俺」としてマウンティングの材料にするのは本末転倒である。自分に向き合うのではなく、人からの評価のためにやることになるからだ。
掃除をすることでツキが来るかは分からないが、最低限掃除をしないと潰れるのだ。それが今の私の実感である。
結果的に、遠回りしながら自分の体験をもとに重要性を会得した形だ。
中年男性は、これまでの生き方を見直し、自分自身と向き合う時期に来ているのかもしれない。
掃除は、その第一歩となる可能性を秘めている。
迷信を笑っていた私だが、今では掃除の持つ力を認識し、日々の生活に取り入れている。
それは単なる家事ではなく、自分自身をケアする大切な時間となっているのだ。
と、この文章を書いている最中にも、同級生が脳出血で倒れたと連絡が入る。ストロング系のアルコール飲料を飲みまくっていたらしい。
まずはセルフケア。そして、横のつながりで連帯していきたい。
【追記】
今年初旬に話題となった映画『PERFECT DAYS』は、割と否定的な感想を抱いていた(その理由はぜひ沖映社のPERFECT DAYS回を聴いてください)
しかし、「中年男性が丁寧な生活を送り、しっかりとセルフケアをしている」という点においては、かなりしっかりと描いている作品なのでは?と今になってちょっとだけ評価が上がる。
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