【夢咲くら館】サウンドマスキングを担当させて頂いたサウンドデザイナーによる、音のガイドツアー
※この記事は2024年12月1日に行われる、日本サウンドスケープ協会の無料イベント用に書きました。イベント詳細は以下にございますのでご覧頂けますと幸いです。また参加費無料でございますので、是非千葉県佐倉市までお越しください。
自己紹介
皆様お疲れ様です、沖田純之介の自己紹介は以下になります。
00、夢咲くら館の音環境について
千葉県佐倉市に2023年3月にオープンした夢咲くら館。程よい賑わいを作るという新しい図書館の作り方をされておりまして、こちらの地下1階自習スペースのサウンドマスキングと時報をボランティアとして作らせていただきました。新しい建築なので音環境の設計が素晴らしく、僭越ながら音を作った以外の部分も利用者の立場としてご紹介させていただきます。建物の詳しい説明は以下にございます。
01、エントランスロード
道路から建物へ続くエントランスロード、こちらにはスピーカーが隠して設置されておりまして、「佐倉が賑やかだった時代の音を流すのはどうか?」という提案をコロナ前にさせていただきました。イメージしていたのは、笛や三味線の練習している音が小さく偶に聞こえてくるとか、場の雰囲気作りの音です。しかしその音をどこからもってくるか等で難航しておりまして、現在は地下1階と同じ「佐倉地域のマスキングノイズ」が流れております。スピーカー個々の音量は細かく調整を行っており、駐車券発券機前が一番大きく流れるようにしております。元々ここに大きな木があり、それをイメージして音量を大きくしましたが、券売機の順番を待っている間などのイライラ緩和に繋がったら良いなと考えました。
02、建物全体に時報が流れる
1階入口の風除室天井には10cm程の緊急放送用のスピーカーが設置されており、ここから時報が流れます。(時報は現在館内全体で流れます)
開館と夕方と閉館は、佐倉親善大使である荻野目洋子さんに声をお願いしており、ファンの方が開館前に荻野目さんの声を聴きに来てくださって佐倉を周遊してくださったらという思いです。間の時間は佐倉で撮れた鐘や野鳥の鳴き声です。
03、1階エントランスとゆめさくらひろば
1階のエントランスホールには、プロジェクターとマイクなどのオーディオ機器があります。ゆめさくらひろばにもオーディオ機器がございまして、別々のイベントを行うことも出来るようです。比較的賑やかな事が多いスペースです。
04、2階の佐倉を学ぶフロアとバルコニー
2階はこの建物内で一番静かな場所と賑やかな場所が作られており、静かな佐倉を学ぶフロア(青い囲いの部分)の利用者はノイズキャンセリングイヤホンをされている方も多いです。ノイズキャンセリングイヤホンは周りの音が聞こえにくい為に自分から出る生活音が大きくなってしまう場合もあります。
また、静かな場所なのにイヤホンをするという事は、静か過ぎる為に他の音楽等を聞きたくなるのかな?と考えております。
テラス(図面ピンク部分)は学生達が喋りながら勉強したりご飯食べたりしている場所で、とても賑やかです。自分もここで昼ごはんを食べてます。(隣にコンビニがあります)
05、地下1階の自習スペース
ここがサウンドマスキングをさせて頂いたフロアになります。賑やかな児童コーナー(ピンク部分)、静かなサイレントルーム(青部分)、外が見える椅子席(緑部分)があります。
休日になりますと、児童コーナーから子供達の楽しそうに遊ぶ声が、サイレントルーム前まで聞こえてくる時があります。その間にある参考図書自習スペース(赤い囲み部分)上に「地域の音を使ったサウンドマスキング」を入れさせて頂きました。
この児童スペースと自習スペースの間には階段や高い書棚が設けられてあり、これでかなり減音されていると思いますが、子供の声を嫌がる方もいらっしゃいますので、マスキングを提案させて頂きました。
マスキング音は佐倉地域の音を録音しノイズと感じられる音を削除して15分のループ素材にしたものを館内放送システムから再生してます。
スピーカーは安価なものですが多めに設置頂き、音が点音源にならず拡散されるようにして頂きました。
マスキング音は午前、午後、夕方で切り替わるようになっておりまして、午前は静かに午後は賑やか、夕方は少し賑やかになるように、その時間に佐倉市内で録音した音を使って編集し、ヒヨドリの声を大きめに、さらに等間隔に聞こえるように作ってあります。また、天井からマスキング音が鳴っている事により、目線の先にある子供の声が判明しずらくなっているのかなと考えております。
この自習スペースをご利用の方は、イヤホンをされてない方が多いです。マスキングが役に立っているのかな?と思っておりますが、地域の方には普段聞いている音なので「窓が開いて外から鳥の音が聞こえている」と思っていただいているようです。
06、地下1階のサイレントルーム
この地下1階にはサイレントルームがありますが、部屋内の低周波ノイズがかなり大きいです。壁の向こう側に空調機があるからのようです。ここもノイズキャンセリングイヤホン利用者が多い場所です。
07、地下1階の窓際
窓際(緑部分)はとても開放的で外の緑が見えますから、音のマスキングは無くて良いだろうと判断いたしました。しかしここは静かに利用されたい方と賑やにされる方が少し対立する事もあるようで、マスキングがあった方が良かったかな?と感じております。
08、地下1階の選書コーナー
沖田の選書コーナーを地下1階にご用意いただきました。音の勉強になるから読むのはいかがでございましょうか?という本を図書館から集めたものでして、ご理解ある館長様と司書様がいらっしゃって実現した内容でございます。この館内でしたらお読み頂けますし、購入されたい方は以下からどうぞ。
以上で館内ツアーは終わりとなります、ありがとうございました。お時間ありましたらマスキング部分で読書していただきまして、感想をコメント欄に頂けますと幸いでございます。
09、サウンドマスキングの録音時の記事などはこちらにリンクされております。
10、サウンドマスキングを録音した場所はこちら
サウンドマスキングに使った環境音は、全て佐倉市内で録音した音になります。ひよどり坂、市民の森、野鳥の森の3箇所です。ヒヨドリ坂は夢咲くら館から歩いて15分です、是非お寄りくださいませ。
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