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「はじまりのトマトソース」誕生1周年、倒れては起き、店長三浦が描く道とは

※本記事は、8/25に実施した公開生取材を記事化したものです。アーカイブはこちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=SX1aAHP-6LY&t=1273s

『毎日トマトのある生活を届けたい』。そのコンセプトと、ソースに適した国産トマトから生まれた「はじまりのトマトソース」。レストラン経営者である店長三浦が、人生初のオンラインショップ販売に挑戦した「はじまりのトマトソース」プロジェクトは、2021年7月で1周年を迎えました。その1年を振り返り、店長三浦が語ります。

生まれたての商品と共に、倒れるまで走りきった1年間

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「はじまりのトマトソース」が世に出たのが2020年7月。そこから12月末までは、新商品を認知してもらおうと必死の半年間だった。補助金を元手に公式サイト、オンラインショップ、SNSアカウントを一気に作って、商品のことだけでなく、自分自身の想いも発信して……。なにせ商品が生まれたてだから、まさに乳飲み子を抱えて走っているような状態だった。

2021年が明けてようやく一段落と思ったら、今度は補助金関連の書類をたくさんまとめなければならなくて、山のようなデスクワークに追われてね。それに加えて決算もあったから、もう大変だったな。3月まではずっと書類にまみれてデスクワークを続けていた。

そうしたらね、倒れちゃったのさ。4月頭に救急車で運ばれてさ。正直ね、年始から忙しすぎて、逆に「俺ってどこまで頑張れるんだろう」って試したくなったところもあってさ。1日12時間働くような日々を続けていたら、帯状疱疹ができて、最後にはろれつが回らなくなっちゃって……。

でもね、思ったよ。俺の体はちゃんと休もうとするんだな、って。無理だと思ったらちゃんとシグナルを鳴らすもんなんだな。血液がドロドロだから休んでください、ってお医者さんから言われたよ。

それで4月はゆっくり休んでさ。快復してきたところで、ジョギングを始めた。体力をつけて、健全な生活をしようと心がけるようになったら、新しいアイデアも次第に生まれてきてね。ようやく「はじまりのトマトソース」についてポジティブに考えられるようになってきた。

この1年は「はじまりのトマトソース」の誕生と成長はもちろん、経営者としての自分自身の成長や気付きもたくさんあった。2年目は無理せず、僕自身も健全な状態で「はじまりのトマトソース」を育てていきたいね。

大手に頼らず成功させたクラウドファンディング、感じた人の優しさ

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取り組みとして大きかったのは、クラウドファンディングを利用した東京農業大学オホーツクキャンパスへの支援活動だね。学生さんやその親御さんがコロナ禍で大変だという話をよく聞くようになったのが、支援活動のきっかけさ。もともと東京農大さんにはお世話になっていたから、なんとかサポートできないものか、と。

コロナ禍の学生さんは、授業が予定通り受けられなかったり、職種によっては親御さんの年収が下がったりと、金銭面や精神面でたくさんのストレスを受けているんだよ。僕自身が親として子どもの大学卒業まで見届けた身だから、その大変さは手に取るようにわかってね。

一方で、僕自身も当時は忙しさでやられていたし、コロナ禍のダメージも受けていたから、自分自身が支援するのは難しい。そこで考えたのが、クラウドファンディングだったのさ。「はじまりのトマトソース」を東京農大さんへのギフトとして購入するメニューを新設して、支援者が購入した「はじまりのトマトソース」を東京農大の学生さんやご家族に贈る。僕が支援するんじゃなくて、皆さんの支援を自社の商品に還元する形で学生さんを応援しようと考えた。

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今回の大きな挑戦は、大手クラウドファンディングサービスを介さず、直接自分のサイトで支援者を募ったこと。クラウドファンディングの仕組みはもともと知っていたから、手数料を払って大手プラットフォームを利用する利点って何かなと調べてみた。そうしたら、その価値の大部分は宣伝広告なんだよね。だったら自分で宣伝できればいいわけだから、試しにやってみよう、と。せっかく公式サイトやSNSアカウントだってあるわけだし。プラットフォームに対して払わなかった手数料分、より多く大学に還元できればいいなと思ったわけさ。

で、3~5月の3ヶ月間やったんだけれど、この期間は僕が体調を崩しちゃってたから、宣伝広告が思うように進まなくてね。300食分は支援できたんだけれど、不完全燃焼だったから6~8月でもう一度挑戦した。振り返れば、6ヶ月間クラウドファンディングをしていたことになるね。

この期間でほんとうに多くの方が支援してくれた。世の中にはいい人がいっぱいいるんだな、と思ったよ。このプロジェクトはリターンもない、純粋な寄付だったからね。おどろきつつ、その優しさに感謝したさ。

「はじまりのトマトソース」をもっと楽しむ次の展開へ

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正直、事業としては、今でもあがいている状況が続いているかな。オンライン販売事業は始める前の想像以上にハードルが高くて、人に知ってもらうこと、買っていただくことがいかに難しいかよくわかった。

だからこそ、これから「はじまりのトマトソース」をもっと楽しめるようなアイデアを加えて、商品を育てていきたいと思っている。

そのひとつとして、いま進んでいるのが「はじまりのトマトソース」の常温版の開発。これまで「はじまりのトマトソース」を冷凍食品として製造していた大きな理由は、生パスタを常温保存できなかったからなんだ。だから、トマトソースだけなら瓶詰めにするのは難しくなかった。でも、津村製麺さんトマトソースに合う生パスタがあってこその「はじまりのトマトソース」だから、セット販売にはこだわりたくてね。

そこで開発を始めたのが、常温でもおいしく長期間保存可能な生パスタなんだ。このパスタが商品化できれば、道の駅で展開したり、ギフトとして贈りやすくなったり、今よりももっと多くのシーンで「はじまりのトマトソース」が届けられるようになると思う。

あと、これはまだ開発って段階じゃないけれど、発酵トマトについて少しずつ話を進めている。オホーツク圏地域食品加工技術センターっていう施設が北見にあるんだけれど、そこで発酵食品の研究をしていてね。試しにトマトの発酵について相談したら、いくつかトマトに合う菌があるって連絡が最近入ったのさ。

過去にもトマト酢を試験的に作ったけれど、僕はどちらかといえば発酵トマトに興味があるんだよね。まだどんな形で商品化できるかわからないけれど、ほかにない味わいを届けられたらいいなあ、と思ってる。

あと、「はじまりのトマトソース」をどう楽しむかというテーマから生まれる商品も期待してほしい。いま考えているのは、鹿肉入りトマトソースの缶詰。これは道外のお客さんに届けたい商品だね。「はじまりのトマトソース」に加えるフレーバーはこれまで作ってきたけれど、鹿肉との組み合わせはとくに北海道を連想しやすいし、缶詰にすることでより使いやすい商品にできるんじゃないかな。

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何から何までやったことがないことだから、この先どうなるかはわからない。オンライン販売がそうだったように、思ったより難しいかもしれないし、厳しい課題がまた新しく降りかかるかもしれない。でも、それがおもしろいんだよね。こういう時代だけれど、お客さんに少しでも楽しさ、おいしさを届けられるように、「はじまりのトマトソース」をこれからも育てていきます。よろしくね。

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1歳を迎えた「はじまりのトマトソース」を、これからさらに魅力的な商品へと育てていく意気込みを見せる三浦さん。オンラインを軸に生まれた人とのつながりと、トマトから生まれるアイデアをかけ合わせ、さらなる挑戦を続けます。

インタビュー後編では、同年10周年を迎えたオホーツクトマト食堂「たまごのじかん」に焦点をあて、ビジネスへの想いやキャリアの振り返りを聞きます。

―INFORMATION-
オホーツクトマト食堂公式サイト
「はじまりのトマトソース」オンラインショップ
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取材/執筆 宿木雪樹
デジタルマーケティングプロデュース ふぉろかる合同会社



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はじまりのトマトソース/Okhotsk Tomato Town Online Store
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