ローカル設計事務所が商品開発プログラムを主催するわけ② ~1期生石乃濱田さんの開発編~
①の記事で7年前の動きと、私の想いを書かせていただきました。今回は7年前にプログラムに参加していただいた(有)石乃濱田さんのことをご紹介させていただきます。濱田さんは4月19日の説明会でもお話いただく予定ですが、この7年間伴走し続けている事業者さんです。商品は作っておられましたが、ステップを踏む開発プログラムは初めてされたので「やったことないんだけどなー…」と思われる方の参考になるかと思います。
石乃濱田さんについて
滑川で商品開発プログラムをするにあたって、商工会議所に在籍されている事業者さんへご案内のお手紙を出しましたが、その頃はそこまで繋がりもなく、さほどリアクションがあったわけではありませんでした。濱田さんも面識は当初ない状態でお誘いさせていただいたところ、「参加します!」と前向きにお返事いただけた事業者さんだったことを覚えています。
未知の世界とのアジャスト
セメントプロデュースデザインさんとの開発プログラムはいきなり色、カタチはもちろん商品設計もスタートしません。まずは自社のこと、周りの状況をしっかりと把握するところから始まります。他の事業者さんもですが、濱田さんも当初はいきなりバナナ置き試作しますか?という感じで参加されていました。ただ、濱田さんは最初のゼミ(あえてゼミと呼ばせていただきます)での宿題から、とても真摯に熱量ある資料を作成されて来られました。宿題は多くでるのですが、濱田さんのはどの資料もしっかり作られているのでプログラム後も活用されているのではと思います。
これまでやったことがないやり方なので、悩むこともあると思います。参加された5社さんもそれぞれのやり方で進められました。ゼミは月に1回ですが、そこまでの準備期間で悩むことがあれば、我々コーディネーターチームもフォローしながら進めて行きます。(前回は私一人でコーディネーターを務めていましたが、今回はチームで入る予定です。)
他社との交流から新商品へ
参加される事業者さんそれぞれに課題があり、その課題を解決していくことも商品開発やブランディング設計の役割です。課題は簡単に解決できないから課題になっていると思います。そこに本気で取り掛かることがこのプログラムに参加するメリットの一つだと思います。
そして、1社1社にも向き合いながら進めますが、同じステップを踏んで開発をかける仲間もいます。このゼミのあとに居酒屋でフォローアップ会を毎回するのですが、そこでも悩みどころや方向性など熱いコミュニケーションを取っています。濱田さんの「石乃炙り鉢」もそうしたコミュニケーションの中から生まれてきました。滑川はホタルイカの有名な産地です。開発プログラムにもホタルイカ屋さんが参加されており、お酒の席で「ホタイルカの素干しライターで炙って食べると美味しいってTVで言われて流行ってるよね」なんて会話をしていました。
濱田さんはそのころ分析フェーズが終わり、どんな商品を設計するかという段階に入っておられました。そこでもあれこれ悩んでおられたのですが、その会話から「石」×「暮らし」というブランドコンセプトがはっきりと見え、炙り鉢に着手されました。
多くの課題も一歩ずつ
炙り鉢に決めた!と言ってもすぐに商品のイロ、カタチができるわけではありません。置きたい売り場、類似商品はないか、重さ、加工時間、卸すときのロットなど価格を決める要素を一つずつ整理しながら、価格設計と試作を並走して行います。今回は石の鉢×食材を受ける網×燃料が商品の構成になります。石の鉢の加工方法と素材選定、網の形状、燃料の種類など「あっちをとればこっちが立たず」ということにもなりましたが、一つ一つ整理しながら置きたい場所に置いてもらえるような一番ベターなものにまとめました。
日本橋とやま館でポップアップ開催
2016年の春から行った開発プログラムで生まれた5社の商品。2017年の3月に日本橋とやま館でテスト販売のポップアップリテールを行いました。濱田さんを含めて事業者さんには売り場に立っていただき、お客様の反応を肌で感じていただきました。普段から販売されている事業者さんは慣れていらっしゃいますが、濱田さんは職人さん寄りであまり販売に慣れておられない中での参加でした。
他の事業者さんは販売開始の中、延長戦へ
日本橋とやま館でポップアップも終了し、滑川市の事業としてはこれで終了しました。他の事業者さんはそれぞれに販売を始められましたが、濱田さんはポップアップでも見えたまだ解決していない課題がいくつかありました。そこでセメントプロデュースデザインさんと私は次の年度も市の事業関係なく民間と民間の関係で販売に向かう延長戦を開始することにしました。
この先の方にも山も谷もあり、とても長くなるので今回はここで一旦区切ります。続きは次の記事で。新しい分野へのチャレンジと反響そして、改善、自走までをまとめます。
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