石工職人が販路をゼロから作った話
このお話は
ローカル設計事務所が商品開発プログラムを主催するわけ②
~1期生石乃濱田さんの開発編~
の続きになります。
SESSION富山の詳細ページは↓↓です。
②では市の商品開発事業に参加して試作品を日本橋とやま館で試験販売をしたところまでを書きました。
試験販売をしてみて
1週間の試験販売期間で売れたのは1つでした。それでは商売にならないでしょう、と思われるかもしれませんが主に墓石、庭石の仕事をされてきた石工職人さんがはじめて売った1つです。この試験販売ではお客様との会話から改善点などを得て欲しいと思いから、1日は売り場に作り手が立っていただくようにしていました。濱田さんはそこで最初の1つを売ることに成功されました。下の画像は地元CATVのものですが、気持ちがこもっているの伝わると思います。
お客様からのフィードバックを改良へ
「持って帰るにはちょっと重いかな」
このときの商品は今のMサイズで2.5kgほどありました。水2Lのペットボトル1本と500mlのもの1本分です。日本橋のお店なのでお客様はほぼ電車で来られている方が多いです。富山だとほとんど自動車社会ですが、都市部になればお客様の状況が異なる。そこにも合わせられるように地元に戻ってから、もう少し軽くできないかという視点から肉厚を割れない程度に薄くするか、それともサイズを小さくするかなどと改良を重ねました。
改良するときも技術的な部分、価格的な部分、イロカタチの部分のバランスを見ながら行ったり来たり。薄くする加工は軽くなる分、加工時間が延びる→原価が上がる→利益圧縮→売価値上→売り場に合う価格帯から外れる→工程見直し。などトレードオフの関係があります。この調整に半年くらいかかったでしょうか。何度も試作を繰り返しました。
値段相応の金網探し
炙り鉢を開発するなかで当初から課題になっていたのが金網です。この記事の中でも複数の種類の金網が写っています。販売価格を抑えるためには規格品を使うのが良いのですが、Mサイズに合うものはあっても、Sサイズに合うものはありませんでした。富山県内には金網製造されている企業もほぼない(調べた限り)状態だったので、セメントプロデュースデザインさんのご紹介で燕三条の金網屋さんにお願いに行きました。このときは既に行政の事業は終了していましたが、セメントプロデュースデザインさんも私も濱田さんの熱意になんとかして商品を作って、売れるようにしようと協力していました。
販路を求めてギフトショーへ
いいもの作っただけでは売れません。
お客様に気づいてもらうにはどうするか?SNSで発信しますか?DMを送りますか?今回濱田さんは販路を一切持っておられないはじめての開発です。そこでは色んなバイヤーさんの目にもとまることができるギフトショーに出店することがいいのではないか?とアドバイスをいただき出店費が安くなるアクティブクリエーター展に応募しました。とはいえ濱田さんはビッグサイトで行う展示会は初めての出展です。予算的にも負担がかかることから富山新世紀産業機構のよろず相談所さんに事業計画などを相談しながらチャレンジファンド補助金の申請を進めました。結果は無事採択されて、ギフトショーに立つことができました。
ギフトショー後の動き
ギフトショーで立たせていただいて、セメントプロデュースデザインさんからは商談につながる、大切なポイントをいくつか事前に教わっていた濱田さん。朝から夕方まで私もサポートしていましたが、立ちっぱなし、話しっぱなしで疲れている中でもポイントになる行動をしっかりと行っておられました。その成果が出たのだと思います。その後九州にある某三ツ星ホテルさんに納品したり、ソトコトへ掲載されたり、京都のショップに卸たりと販路を一つも持っていなかった石工職人さんもアドバイスを熱意を持って実行すれば道が作れることを証明されました。
それから6年が立とうとしています。その間お皿や十和田石の限定炙り鉢など少しずつ開発を続けておられます。そんな濱田さんを今もセメントプロデュースデザインと私とで伴走していきたいと思います!
濱田さんもされた商品開発プログラムを4月から開催します。
販路を持ってない石工職人さんでも熱意を持ってやりきれば、道をつくることができる、商品開発プログラムを今年富山で開催します。
4/19日に説明会兼セミナーと交流会を開催します。
気になる方はぜひご参加ください。
濱田さんも参加されます!!
参加方法は次の記事でご紹介します。
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