見出し画像

グリーンカレー

人が生きていく上では夢や目標よりも「価値観」が重要だ。 こうなりたいとか こうしたいとかという夢や目標を追いかけていてもそれが叶わないと感じたときに折れてしまう。 夢や目標というのは当然だが、目の前ではなく未来にある。 一方で、価値観というのはいつも「今」そこにある。

最近、自分にとっての大切な価値観は「自分が変わること」なんじゃないかと気づいた。それを強く認識して毎日を過ごしてみた。そうすると、今日1日を振り返って良かったかどうかという評価は、自分が少しでも変わったかどうかに起因する。小さなことでも良い。少しだけでも自分の考えや感じ方が変わればそれだけで良い。そう考えると、毎日が楽しくなる。

刺激のない人生はつまらない。日常に変化をもたらすには、スパイスが必要だ。スパイスを楽しむには、嫌なことから目を背けていてはいけない。どうせなら、自分からその香りを楽しんでしまおう。

前置きが長くなったが、これは、今晩の夕飯、グリーンカレーの話だ。前回の記事でご紹介したが、先週末にシンガポールチキンライスとガパオライスを作った。 こんなことを言うとエスニック料理好きなのかと思われるが、僕はエスニック料理が苦手だ。 エスニック料理にハマっているわけではなく嫌いな食べ物を克服する活動にハマっているのだ。

先週末に次の週末はグリーンカレーにしようと決めた。それから通勤の電車の中でグリーンカレーのレシピを調べ、 新しいスパイスを購入した。新入りを紹介しよう。クミンパウダーとカルダモンパウダーだ。

画像2

まずはクミン。

クミンは、セリ科の一年生草本である。中東から東はインドまでひろがる地域に自生する。(中略)恋人の心変わりを防ぐためにライスシャワーにクミンを混ぜる、(中略)など、迷信やまじないと関わりがあった。(wikipediaより)

wikipediaのコピペだ。なるほど。惚れ薬というわけか。セリ科といえばセロリの類だろうか。どうりで独特の香りがするわけだ。クミン好きの方には大変申し訳ないが、個人的にはクミンは脇汗の匂いに感じる。昨日はサラダにクミンをかけてみた。間違いない。東南アジアのどこかで嗅いだことのある脇汗風の匂いだ。僕はこれが苦手だ。

続きましてカルダモンをご紹介しよう。

カルダモンはは、ショウガ科のショウズク属とアモムム属の複数の植物の種子から作られる香辛料である。(wikipediaより)

なるほど。全然わからない。そういうやつだ。こちらは生姜の良い香りがする。

スパイスの他にも普段買わない食材が必要だった。その1つがセロリだ。僕はセロリが苦手だ。妻はセロリが大好きだ。

♪育ってきた環境が違うから好き嫌いはイナメナイ〜
♪夏がだめだったりセロリが好きだったりするのね〜
               山崎まさよし/セロリ

まさにこれだ。僕は夏がだめだしセロリが嫌いだ。そんなセロリをネットスーパーで購入しようとした。 検索しても出てこない。いつも利用しているネットスーパーのイオンにはセロリが置いていないようだ。「なんでイオンやのに、セロリ置いてないねん!セロリに旬とか無いやろ!」心の中で突っ込んだ。 と同時に苦手な食材であるセロリを心から求めている自分に気づいた。事前にセロリの旬の時期まで調べていたのだ。 この自分の気持ちの変化に嬉しくなった。とにかく、セロリを調達しなければならない。やむを得ず、妻にお願いして近くのスーパーでセロリを調達しておいてもらった。

そして今日ついにグリーンカレーを作った。下ごしらえの時はもうワクワクが止まらない。嫌いな エスニック料理を作るのになぜこんなにもワクワクするのか。 僕は普段からカレーを作るときにカレールーを使わない。グリーンカレーを作る時も当然、 市販のグリーンカレーペーストなんて使わない。ペーストから自作だ。 材料を刻んでミキサーにかける。

画像1

材料は主にこちらのサイトを参考にした。ただし、作り方はホットクック仕様にしてある。
https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/tokyocurrybancho/18-00303

イカの塩辛を入れるときは「本当にこれで良いのか?」と不安になった。 新しい冒険には不安がつきものだ。セロリ、イカの塩辛、ニンニク、そして大量のスパイス。これをミキサーにかけ、ホットクックで煮る。ものすごい匂いだ。ぼくは元々こういった匂いが大の苦手だ。 小さい頃住んでいた家で近所から匂いのきつい料理の香りが漂ってきたときは怒りが込み上げてきたものだ。それが、今や自分が発生源だ。昔の自分が今の僕を見たら「お前、変わったな」と言うだろう。

画像3

ペーストが完成したらココナツミルクを投入する。ここで問題が起きた。今時、缶切りが必要なココナツミルクを買ってしまった。我が家には缶切りがない。 ホームセンターまで買いにいこうかと考えたが、貴重な週末の時間をそんなことに使いたくはない。 考えた末にマイナスドライバーを打ち込んで開けることにした。開いた。打ち込むときに勢い余って自分の右親指の爪が自分の左親指に食い込んで血が出た。傷を負いながらの料理。サバイバル感がでてきた。

画像4

全ての材料を投入したらホットクックのグリーンカレーモードで予約調理だ。便利だ。

画像5

その日の夜。待ちに待ったグリーンカレーを食す時間だ。キッチンからはものすごいエスニック臭が漂っている。

画像6

一口食べる。…。すごい香りだ…。やはり苦手だ…。しかし、食べられる。完食した。妻の評価は、「なんか、グリーンカレーって後味が残るのが良いんやけど、これは後味が残らない。ちょっと違う。まぁでも美味しいよ。」とのこと。 原因を考えて気づいた。ペーストの材料はセロリではなくパクチーだった。 あれだけ一悶着して手に入れたセロリだったが、 本当に必要なのはパクチーだったのか。 セロリもパクチーもセリ科の植物。 僕からしたら同じようなものだが妻に言わせれば全然違うらしい。それと、今回使ったスパイスの1つ、カルダモンパウダーはコリアンダーパウダーを使うべきだった。 複数のレシピを横断して見ているうちに訳が分からなくなったようだ。

画像7

今晩の夕飯は、残念ながらグリーンカレーではなくグリーンカレーっぽい何かだったようだ。だが、人生には間違いも必要だ。間違えながら1つ、また1つ、人は変わっていく。


ちなみに、ロジカルクッキングをマスターすれば、ネットに落ちているレシピから逆算して調味料を全材料の総量に対する比に換算できたりする。再現性の高い調理法だ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?