サックス歴10時間の後輩がステージに立った。
その大学の後輩は、約3ヶ月前にサックスを始めたらしいです。3ヶ月で10時間と聞くとちょっと少なく聞こえるかもしれませんが、本人はサックスを持っておらず、基本的に月数回の教室に通う時のみ練習ができるということでこの数字なのだそうです。
そんな後輩が、サックスのステージに立ちました。それが僕に与えてくれたのは、感動でした。
そもそも、サックス歴10時間やそこらでステージに立つ。その勇気に感動しました。僕なら絶対に逃げてしまうからです。まだまだ人に聞かせられるレベルではないですよとか言って。
しかし彼は立ちました。
演奏してくれたのは名探偵コナンのテーマ。
ところどころ音が出なかったり、「ピーッ」と高い音が鳴ったりと、決して完璧な演奏ではありませんでした。本人もそれをわかっていたと思います。それでもステージに立とうとするその勇気、すごくかっこよかったです。
彼は演奏が終わった後のインタビューで将来の目標を聞かれると「プロの奏者になりたい」と答えました。
夢を口にするってこんなかっこいいんだ。
彼の人柄や努力を知っているからこそ、目の前で演奏を聞いたからこそ、この想いが強く心に浮かんできました。
感動したのは演奏ともう一つありました。司会としてライブの進行を行う姿です。
彼に出会ったのは彼がまだ大学1年生の時。当時は特に話すのが下手というわけではありませんでしたが、特別上手というわけでもありませんでした。
それが今回司会を務める姿を見ると、抜群に話が上手になっていました。
身振り手振り。声の抑揚。場の盛り上げ方。他の出演者やオーディエンスとの言葉のやりとり。間を持たせるための話題探し。全てがとても上手になっていて、すごく成長を感じ、そこに感動しました。
これも彼が持ち前の行動力を生かして行ってきた様々な活動が糧になっているのだろうと思うと、凄いなあとただただ感心するばかりでした。
目的は彼の演奏を見ることでしたが、他の出演者の方も非常に魅力的でした。
特に印象に残っているのはサックス歴1ヶ月の女性。彼と同じようにレッスン時しか演奏していないとすると、本当にそう練習時間数時間とかのレベルだと思います。
そんな彼女の演奏は、素人目からはほとんどノーミスで演奏しているように見えました。音も全くぶれずに綺麗でしたし、途中でプロの先生とデュエットを挟んでいたのですがそのハーモニーもとても綺麗で心に響きました。
高校?の時に部活動で吹奏楽をやっていたらしいのですが、担当はサックスではなかったそうで、つまりサックスは未経験というわけです。しかしそんなふうには全く見えませんでした。
舞台で演奏するということには慣れているからかすごく堂々としており、演奏後のちょっとしたインタビューの受け答えもしっかりしており、笑顔が素敵で愛嬌もあり、そんな人柄の良さ(勝手な想像ですが)も含めてかっこいいなーと思って感心していました。
あとはサックス歴2年という男性。その彼は出演者の中では歴が長いということでかなり演奏前も余裕そうな表情を浮かべていました。
ステージ上でもアイコンタクトをしたり、笑顔を見せたりと気丈に振る舞っていましたが、ふとサックスを持つ指に目を向けると、遠目でもわかるくらいに震えていました。あんなに気丈に振る舞っているけど内心は緊張してるんだなあと思いつつ、それを見せないように演奏しているのがとてもかっこよく思えました。
最後はプロの先生。ソプラノサックス、電子サックス、そしてアルトサックスと披露してくれました。サックスの演奏を聴くのは今日が初めてだったのですがとにかく聴き入ってしまいました。
10曲のメドレーを披露してくれたのですが「夜に駆ける」や「炎」などほとんどが自分も知っている曲だったので、より気持ちが乗りました。特に「ルパン三世のテーマ」。高校の部活で野球をやっていた時に自分の応援歌に設定していた曲だったので余計に気持ちが昂りました。球場で打席に立っているような高揚感でした。
さらに、曲名はわからないのですがしっとりした曲のゾーンでは、ちょうど昨日まで友達と行っていた旅行のことを思い出して勝手にジーンとしていました。やっぱり音楽には記憶を呼び起こすような機能ってありますよね。
そんなこんなで今回のサックスライブはとても感動するライブになりましたし、僕自身たくさんの勇気をもらう結果となりました。
春から社会人になる僕ですが、この気持ち、大事にしていきたいと思います。