見出し画像

ひとり旅で混浴温泉に入ってみた

日本の都道府県は全部で47
この内いくつ行ったことがあるか、旅行好きの人なら指折り数えたことがあるのではないだろうか。

因みに私は現在40/47。まさかの北海道と沖縄残しである。
この数は2017年の春から更新されていない。

この時にぶっつづけで5県を旅行してから、である。
これはそんなぶっつづけに5県、青森から静岡を下りながら旅した時の話だ。

2016年、入社して10年を迎えた私はリフレッシュ休暇なるものを与えられた。リフレッシュの名目の元に与えられた5日に加え、前後2回分の土日を足すと9日間になる。

さて、どうしようか。どこに行こうかと考える。
9日間。近くに行くには長く遠くに行くには足らない。

ジョジョの奇妙な冒険第5部の暗殺チーム好きを拗らせているので彼らの命日に合わせてイタリアに行く聖地巡礼案も考えた。
しかし行きたい箇所全てに9日間で回るなら完全に個人で手配する他ない。パックツアーでは無理だ。

妄想を張り巡らせたもののプランを立てる気力と一人で手配して回るほどのガッツ、そして何よりイタリア語が解らないので今回は諦めた。

そもそも、9日間付き合ってくれるような稀有な人間は居ない。
『無茶言うな 大人はそんなに 休めない』である。
じゃあ今回も得意の1人旅にするっきゃない。国内に行くとして、何処に行こう。冷静になると9日って長くないか。

通勤電車で、風呂の中で、ソファで猫を抱えて考え続け、青森を起点にまだ見ぬ日本海側の東北地方中心に縦断することに決めた。
それも1年で1番忙しい年度末が終わったらそのまま飛行機に乗ってやる。
一気に浮世から離れて、食べたいものを食べて、温泉浸かりまくりだ。
行くぜ東北。浸かるぞ温泉。

行くのを決めたはいいが、地方を回るにはバスと電車の時間がかなり重要になってくる。うっかり逃がして、次が1時間で来ればいい方。
接続が無ければその日はもうそこから動けないことだってあるのが田舎なのだ。

タイム・イズ・マネーどころかタイム・イズ・ライフ(生命)

自分も地方出身なので痛い程解る。
西村京太郎トラベルミステリーの如く行き先をつなぐ交通機関、運行時刻、時間配分を考え続け、スケジュールをひたすら紙に書き殴り最終的にしおりまで作って旅に出た。

3/31 青森にて冬物を求め彷徨い、海坊厨でのディナーで軽くテンションMAX

時刻は18時の青森空港。飛行機を降りるとそこは雪国だった。

1青森

何かの比喩ではなく、雪国だった。白い。周りが全部白い。

明日から4月。関西はだいぶ春めいてきていた。春の訪れと共に衣服は淡く、薄くなった。
だからすっかり忘れていた。さらに言えば狂った仕事量に翻弄されて、なんにも考えていなかったのだ。私は東北に行くのだということを。

寒い。絶え間なく吹き付ける風が体温を奪う。
バスに乗り青森駅に辿り着いたが海風でちょっと笑えるくらい寒い。
春コートの防御力の無さにガタガタ震える私がまず向かったのはホテルでも飲食店でもなく、駅近のユニクロであった。

結論から言うとユニクロに寒さを凌ぐ上着は無かった。
他の服飾店も春物を並べている。
暦では春。季節に関しては他の業界に3馬身差をつける服飾業界が冬物を売っているわけがない。

ちょっと考えれば解ることだが予定外の寒さに脅える私はそこまで頭が回らず「死因が凍死になるかも知れねえ…」と遠い目をしていた。
青森に死す、にならないよう何とか暖を取らねば。
最早頼りになるのはスヌード、君だけだ。首さえ守ればなんとかなる。
多分。

寒さに首を竦めてはいるが、ひとまずホテルにチェックインしなければ。なぜなら夕飯に店を予約しているからだ。

2青森

今回の一人旅の目的の内、半分はたかぎなおこさんの著書、
『浮き草デイズ』『はらぺこ万歳!』に登場するももせさんこと早瀬さんのお店『海 坊厨』に行きたいがための旅行と言っても過言ではない。
因みに残り半分は温泉巡り。

聖地巡礼をするタイプのオタクなので青森に行くからには絶対に行きたい。ディナーもランチも絶対に食いてえ!と電話が嫌い過ぎて自席の内線をひっこ抜いた前科がある私が意を決して電話予約したくらいだ。

因みに予約時に遠方からだったためか「たかぎさんのファンの方ですか?」と速攻でバレた。

ホテルからすぐ、海坊厨さんに到着。

3青森


半個室のカウンターに通していただく。憧れのお店にテンションがおかしくなっちゃう!と思いつつもファンとして失礼があってはいけないと平静を装う。黒糖梅酒を頼むとまずは前菜が出てきた。

4青森

確か海鮮洋風茶わん蒸しだったはず。上のスープが茶わん蒸しと合わさるとめちゃめちゃ美味しい。一品目で既に骨抜きだ。
しかもこちらのお店は店員さんが丁寧な上、一品ずつ説明してくれるのが嬉しい。

次に出てきた鮮魚のカルパッチョ。グラスで蓋をされ、中が真っ白の状態で登場。

画像5

段々曇りが取れてきて、見ただけで美味しいだろこれと解る二品め。

画像7

特製のジュレと共に頂いたこちらは素材それぞれが抜群に美味しいのに更にパワーアップされてしまったものだからしばし夢見心地。今すぐまた食べたい。

画像7

海鮮の後やってきたなすのペーストの上にどっさりと雲丹。
なすはあまり得意ではないものの、こちらのは美味しく食べることが出来た。雲丹も甘くて口で溶けた。もう青森に住みたい。

画像8

このあたりで注文したサングリアと一緒にいわしの出汁で頂く鍋と根菜真薯が登場。出汁の良い匂いの中、ふわふわ軽い食感の真薯を味わい、お酒を頂く。完全に貴族の遊びである。
これだけ食べて鍋なんて食べきれるかしら、と杞憂していたが、イワシに加えゴボウに長ネギ、舞茸の触感も楽しくペロリと食べきってしまった。

それどころかもう少しだけ、と言いながら出汁を飲み続けていたところに予約時にお願いしていたフレンチトーストが登場。

画像9


前の日から付け込まれて、ふわっふわのフレンチトースト。本で読んだ時からこれが食べたかったのだ。
美味い…美味過ぎる。想像通りの美味しさに一人幸福を噛みしめる。

一人で来て良かった。挙動がかなりおかしかったはずだから。

夢のひとときを終え、お会計。レジ前はたかぎなおこさんから贈られた絵やお手紙で一杯。聖地感が凄い。
たかぎさんファンだとバレているので、店員さんがお店の写真撮って良いですよ、皆さん撮ってますし是非どうぞ。と勧めてくださり激写。

画像10


写真を撮らせて頂いている中、オーナーの早瀬さんも挨拶に来てくださって、気さくに話しかけていただいた。
漫画通り強面だけど、愛嬌があって素敵な男性でした。感謝。
そんなわけで食レポで前夜祭は終わってしまった。

でも美味しいから青森に行く人は皆行け。

4/1 岩木山神社の狛犬と戯れ、海坊厨でランチコース食って青森の海風に震える。

ホテルのモーニングビュッフェに何食わぬ顔でイクラが鎮座していて
「こ、これが青森の力」と慄く。
だいたい駅近のホテルで広くて綺麗でバス・トイレ別で更に料金が安いとかどうかしている。

電車で弘前駅まで移動し、バスに乗りかえて目指すは『岩木山神社
変った狛犬が居ると聞いて行ってみようと思ったわけですが、これですよ。

画像11

いやいや、こんなの真冬じゃん。生まれも育ちも瀬戸内海の民、人生で初めてこの高さの雪見たわ。

私の装備は昨日に引き続き春コートとスヌードのみである。
やっぱり凍死するかもしれない。

最寄りのバス停で降り、歩く。思ったより寒くない。何故だ…と思ったが、ここは風が無いからだ。海近の青森駅近辺の方が寒かった。

画像12

途中にある看板を頼りにしばらく歩いて辿り着いた岩木山神社は
名前の通りご神体が山である。
周りの冷気もあって荘厳な雰囲気が漂うが地元らしき人達と私と同じく余所から参拝に来た人が入り混じり、なんだか居心地は良い。

早速鳥居をくぐり、噂の狛犬を探す。
しかし見たところオーソドックスなやつしかいない。妙だな…。口元に手をやりながら階段を上がり、振り返ったそこに。

画像13


居た!逆立ちしたやつと立ったやつ!

画像14

これは中々に愛らしい。お参りの後、いいね!いいねえ!と写真を取り狛犬にタッチ。

画像15

なんでも撫でるといいとかなんとか聞いた気がするので撫でさせて貰った。

狛犬と戯れるのに満足した後、雪の中の神社を隈なく回り、気が済んだらまたバスで移動。
行きも思ったのだけど、青森のバスは何故か座席の高さが滅茶苦茶低い。普通、椅子に座ると足の角度が直角になるところがほぼ体育座り。
なんでこんなに浅いのか聞きたかったけれど、青森ネイティブっぽい周りの人の言葉を聞き取れる自信がなくて沈黙を守ったまま駅まで戻った。

因みに座り方が浅くなってしまうためかカーブで落ちかけた。
なんでこんな造りなのか誰か私に教えて欲しい。

駅まで戻り、今度はループバスに乗って弘前公園を目指す。
お城があるこちらの公園は桜がハチャメチャに綺麗なことは知っていたけれど残念ながら開花には一ヶ月ほど早い。

その代わりに混んでなくて歩きやすいのはとても良い。でも出来れば次は桜の時期に来たいと思う。公園中が桜の木だらけだったから、これが全部咲いたらそりゃあ見事だろう。川に散った花びらが落ち桃色に染まる「花筏」を是非見てみたいものだ。

丁度石垣の修復中だったのでその様子を見学。

画像16


曳屋工法で移動中だった弘前城。

画像17

始めて見るスタイルに周りをぐるっと見た後中へ。
中は普通にお城。色々展示してあって、一番上の層で日本の名城の写真を飾りまくってたので行ったことがあるお城を数える遊びをしていたら隣の老夫婦も同じことをしていた。
さっき見た岩木山がここからもはっきり見える。

画像18


ご神体になるだけあって凄いなあ、と頭の良くない感想を浮かべながらボーっと見ていたら近くで油絵を描くもじゃもじゃした頭の男性を発見。
これラーメンズの「公園」ネタと同じシチュエーションだ!じゃあもしかして、あの赤と、青と白の部分は…特になくて普通に岩木山だった。

お城を見終わったあとは公園内を散策し、名物のアップルパイを買い求めるためウロウロ。
が、方向音痴が爆発し地図を持ち、店を探し彷徨うMY SOUL。結局3店舗見つけたところで時間になったので電車に乗り青森駅へ戻る。

昨日に引き続きお昼も海坊厨さんを予約していたのだ。観光してからくるつもりで14時からの予約。

画像19

ランチのコース(要予約)はデザート付きで確か1380円。この金額で本当にいいのか不安になるくらい豪華でしっかり美味しい。盛り付けも良い感じにテンションを上げてくれる。
食後のコーヒーとデザートまで美味しく食べてごちそうさまでした。
ぜってえまた来る。

一旦ホテルに戻りアップルパイを部屋に残し、街を散策することに。
それがまあ、寒い。海の傍だからか風が冷たすぎて春コートってペラッペラなんだと思い知らされる。

お土産を求め、観光物産館アスパムを目指し、海のすぐ傍を歩く。寒い。
海風ってこんなに強烈なのか…。ガタガタ震えながら中に入り、一目散に温かい紅茶を飲んだほどに寒かった。

職場と家用にお菓子を買う為に必死で悩む。
なにせ所属の部屋に50人。数少ない女性と所属チーム用にちょっと良いやつも。ご当地のぬいぐるみが欲しいお局さまの為に、お店の人に許可を取りぬいぐるみの写真をパシャリ。

画像20


どっちが欲しいか聞いたら秒で「お金出すから両方買ってきて」と返ってきた。
両手に土産袋を下げ、まるで秋葉原で豪遊したオタクみたいになってしまった。ええい!こんな時は得意の宅急便だ!
ごっそり発送して貰い、また寒さに震えながら日が暮れる前になんとかホテルへ帰還。

晩御飯に弘前で買ったアップルパイ3種とアップルシードルを頂きこの日は終了。
カロリーまみれだったけど15km以上歩いたから大丈夫。むしろ痩せた。

4/2 ねぶたとのっけ丼と酸ヶ湯温泉と。

今日も朝からバスに揺られて目指すは三内丸山遺跡。30分ちょっとで到着。

画像21

縄文時代前期中頃から中期末の大規模な集落跡を再現したこちら。
平日且つ朝早い時間なのもあり、見学し放題だった。結構楽しいけどデート向きではないと思う。
そして何故かこちらで貰えたボールペンの書き心地が良くて未だに愛用している。

青森駅に戻り徒歩すぐのねぶたの家 ワ・ラッセにてねぶたの歴史とこれまでのねぶたを見物。
正直今までは「ねぶた…顔の怖いエレクトリカルパレードみたいなやつ」くらいの認識だったけど生で見るとめちゃくちゃ迫力があるし綺麗で度肝を抜かれる。

画像22

色使いも華やかで「舐めててすいませんでした…」と謝ったり、60歳ぐらいのご夫婦の写真を撮ったりで忙しい。
いつか動いてるところも見てみたい。

画像23

本日のお昼は魚菜センターの「のっけ丼」
10枚1300円の券(5枚で650円もあり)を買って名前の通り丼ぶりにご飯(1枚券)を盛り、市場内をうろうろしつつ自分の好きなネタを買っては乗っけていく。
市場の中には魚屋さんが何店舗も入っていて、お店ごとにずらりと並ぶ魚、貝、魚卵に甲殻類にイカにタコ。卵焼き。食べたいものと券の残量を考えつつ、悩んでのっけていく。



画像24

「絶対に生サーモンは食べたいし中トロも食べたい。卵焼きも美味そうだから乗せるっきゃない丼」の完成である。

やはり青森の海鮮が美味し過ぎる。丼を食らいながら移住も検討したがライブに行きやすいのは関西だからそこが悩ましい。

さて、今日はここからまた移動だ。
シャトルバスに揺られ山に向かって走る。
周りの雪がどんどん高くなり「想像以上だぜ…」と食い入るように窓の外を見る。

画像25

いや、おかしいでしょ。これ。なんでこんなとこに来たんだろう、感が凄いこちら。

画像26


八甲田山のど真ん中。

画像27

酸ヶ湯温泉までやってきた。硫黄臭が、凄い。

ヒバ千人風呂のポスターが気になり来てみたかったわけだが、こちらはなんと混浴
朝、晩に1時間ずつ、8-9時は女性専用の時間を設けてくれているわけだけれども日帰り入浴だと難しい時間なのもあり、今回は宿泊込みで楽しもうとやってきたのだ。

中に入ると昭和のまま止まったような館内(最高)。
湯治棟に宿泊するわけだが、古い木造建築でタイムスリップしてきた感がムンムンする。風呂は勿論トイレも共用だが設備自体は綺麗に掃除されていて清潔感があるので安心だ。

画像28

部屋は簡素で祖父母の家に来た時のようなこの落ち着き。
湯治用で狭めの部屋で、これは良い…父(姫気質)を誘ったら絶対断られるやつだ…。電話まで昔のやつだ。久々に見た。
雪の量が桁違いで部屋から見えた景色がこちら。

画像29


なんでこんなに雪があるのか意味が解らない。逆に楽しくなってきて、近場を散策することに。勿論春コートとスヌードで

温泉の前には大量に車が止まっており、周りはスキー帰りの家族だらけ。
文字通りそんな装備で大丈夫か?状態の私は「嘘だろ」的な目で見られている。八甲田山にそれはないだろうと言う目だ。私もそう思う。
遭難だけは避けたいので近場をうろうろ。雪がゲシュタルト崩壊してきた。

冷えたので館内に戻り、まずは男女別の玉の湯に入って温まる。こじんまりしたお湯でこれはこれで良い…。湯治用の施設だからか、健康チェックをしてくれる部屋やマッサージもある。マッサージにちょっと惹かれたが予約で埋まってそうなので今回は諦めた。

画像30


夕飯はごはんに味噌汁、山の幸にお刺身と結構しっかりした晩御飯。
美味しく頂いたら20時からの女性専用時間を狙ってヒバ千風呂へ。

女湯側から入るとまずは衝立があり、男性側から見えないようになっていて、そのまま被り湯の『冷の湯』を使える出来る仕組みになっている。
なるほどと思いつつ、入浴の仕方にならい冷の湯で掛湯をしてまずは『熱湯』へ。

ネットで何度も見たやつだ!」とワクワクしながらお湯へ。
硫黄の匂いがきつく、髪についたらこれは中々取れないだろうなーと思いつつも「あ゛~」と声を漏らしつつ浸かる。
これに入りたかったんだよ、これに。このために来たんだここまで。

熱湯は名前だけ聞くとさぞかし熱いのだろうと思うけれど実際は41~42度くらい。
混浴の時間帯はここからが男性、こちら側が女性と区切りがあるが今の時間はどこでも入り放題だ。

浴場内は白い煙が立ち込めていて、人が居るな~くらいにしか見えないレベル。近づくと(おばあちゃんだ)とか(同じくらいの人かな?)と解る程度にしか見えない。

この後『四分六分の湯』に入るとこちらの方が熱い。ちなみにこちらの湯船には衝立で目隠しされた女性用スペースもある。
しかし無敵状態なので好きなところに入る。日曜の夜なのもあり、混んでないのでゆったりだ。

私は今、青森で、山奥で、でっけえ古い温泉に入っている。なんと愉快なのだろう。
ふはは。と悦に浸っても大丈夫。周りが白くて人の顏が見えない。

打たせ湯の『湯滝』に打たれる度胸は無く(硫黄の匂い的な意味で)、もう一度熱湯に入ったらそろそろ良い時間になったので、本日の入浴は終了。

良い湯だった…。ぽわーんとしたまま売店に行きリンゴジュースを購入。
合う…めちゃくちゃ合う。風呂上がりにリンゴジュース最高…。

画像31


窓からの冷気が心地良い。畳の部屋で寝転がりつつ、明日の帰り時間について考える。
乗りたいシャトルバスの時間を考えると、明日の女性専用時間帯で千人風呂に入ろうと思ったら30分あるかないかくらいだ。
チェックアウトの時間を考えると中々厳しい。でも、もう一回入りたい…。
いや、待てよ?あの感じなら、混浴でもいけるのでは…?そんな考えが頭を過る。
「女は度胸、なんでも試してみるもんよ。いっちょやってみっか!」な心持のまま、早起きするために早めに布団に入ったのであった。

4/3 酸ヶ湯温泉と乳頭温泉で混浴に入ってみる。

早起きして朝風呂へ。
まだ混浴の時間だけど昨日決めたんだ。いってみよう!的に初めての混浴にチャレンジだ。
昨日よりは少々緊張する。腕力のせいで小さいゴリラと称される私であるが、一応恥じらいはあったらしい。
昨日見た衝立がこんなに頼もしいとは…と掛湯をしていざ、熱湯へ。

朝早いとは言え男性が数人居るのは確認できた。
女性側にも1人、姿を確認。湯船に入るまではタオルで隠しているが、浸かる時は勿論丸出しである。

でも大丈夫。湯気で真っ白だしお湯も白濁して何が何やら解らないから。正直こちらからも見えないレベルだし。
そう自分に言い聞かせてお湯へ。しかし浸かっているうちにどうでも良くなってきた。今日も今日とて硫黄の匂いが強烈だ。だがそれが心地良い。

あまりにリラックスしたせいで、いつもの癖で半身浴状態になっていた。思わぬポロリに「やっべ」となりつつも相変わらず周りが白いのでまあいいか、な気持ちで昨日と同じ流れで温泉を楽しみきった。

かなり好みの温泉と温泉宿だった。今度は最低でも3日ぐらい、できれば一週間泊まって温泉浸かって寝て、ご飯食べての繰り返しでダラダラしたい。だって湯治の温泉だし…!
名残惜しいがチェックアウトし酸ヶ湯温泉からのシャトルバスでまたしても青森駅へ戻る。

新幹線までまだ時間があるのでA-FACTORYに出没し、アップルシードルのテイスティングをする。ちなみにこの時まだ10時台。しかも平日。

画像32

丁度下界では入社式が行われている日だ。社畜も十年超えると平日の朝っぱらから優雅に飲酒できるのだ。新入社員の皆、頑張ってこの高みまでくるといい。

画像33

テイスティングして気に入ったものをお土産に出来るのもまた楽し。自宅用と友人用に購入し、またしても宅急便で送る。小さい瓶を買っておいたのは今日のお楽しみ用だ。

岩手で乗り換えを利用し白龍(ぱいろん)のじゃじゃ麺でお昼ご飯。
これが食べたいがために一旦駅から出て、バスに乗って行った。

画像34


混ぜそばのようにして食べるこちら、ちょっと辛くて美味しいけど汗が噴き出す。食べ終わったところで卵を割り入れて「チータン」を頼むと卵スープにしてくれると前情報を得ていたので試してみると、当たり前ながら熱くてまた汗。

食べ終わったらすぐに駅に戻り新幹線こまちで目指すは秋田県
田沢湖駅に到着し、今日もまたバスに乗る。

田沢一周線なる観光客向けの路線に乗って名所をぐるりだ。
雲行きがちょっと怪しい。バスは私と観光&写真を撮りに来たっぽい、アジア人のおっちゃんの二人。

画像35


日本一の深さを誇る湖の田沢湖。そのほとりに建つ辰子像の由来とされる辰子伝説はちょっと意味が解らなかった。え、おまえなんで竜に…?

そんなことを言っていたせいだろうか。バスの乗り継ぎの為に下りたところで雨が降ってきた。
バス停に避難して待とうと思ったらこれだよ。完全に辰子怒ってるじゃん

画像36

まさかの屋根がないパターン。びっくりするくらい空が見える。

こんなこともあろうかと折り畳み傘を出して解決。雨女に抜かりはない。
予定通りに次のバスが来て、また雪の中を移動。青森とはまた違った雪の感じだ。

画像37


山奥に連れて来られてしまった…ここで降ろされたら死ぬのでは?と思ったが一旦降ろされる。
本日の宿のお迎えバスに乗り換えの為だ。

悪路としか言えない道を走り、やっと着いた『乳頭温泉 鶴の湯』

画像38


人気があるために宿泊予約が取りにいが昼間は日帰り客が多くて雰囲気が出ないと聞いていたので、いつか泊りで来てみたかった秘湯No.1だ。

こちらの宿はネット予約などなく、電話でのみの予約。
電話嫌いの上、東北の方の言葉が聞き取れるかどうか…緊張のあまり正座して挑んでなんとか予約が取れた。早め且つ平日だったからに違いない。

画像39


湯治棟、六畳一間、一人用のお部屋はこんな感じ。
雪山の温泉宿感がビシビシ伝わってくる。
テレビすら置いてないのがまた良い。でもWi-Fiがつながるのはありがたい。

画像40


窓から見える景色がこれ。最高である。冷蔵庫がなくてもこれなら大丈夫だろうと窓を開け、今日買ったアップルシードルを冷やしておいた。ちなみにこちらの宿でも色々と飲み物や食べ物が用意されていた。
あるのならここで買えばよかった…。
建物は古いが掃除がしっかりされていて、洗面所、トイレが綺麗なのも嬉しい。

落ち着いたら一先ず風呂りたい。
まずは洗い場のある、宿泊者用の内湯に入って髪と身体を洗い温まる。
隣りのお風呂からは元気な子供の声がしていた。家族旅行でここを選ぶとは中々ツウな家族だ。

しかし何をするにも一旦外に出る。その度に見惚れる。

画像41

その後、夕飯の時間。一人もしくは二人客は本陣の食堂に集まって囲炉裏の傍で、皆で並んで食べる。

画像42

山菜ずくしに鮎の塩焼き。山の芋の鍋は宿のおっちゃんが鍋からよそってくれる。芋がしみじみ美味い。囲炉裏の火がまた良い。
茸のホイル焼きも後から出てきた。

しかし宿のおっちゃんが秋田弁ネイティブなせいか西の人間には時々聞き取れない部分がある。もう1回!とお願いしてゆっくり言い直して貰っているとちょっとした異国気分。
私以外にも1人客のお客さんは結構居て和やかに食事。日本酒を頼んだおじさんが皆に振舞ってくれて、さりげに人生初・日本酒にチャレンジさせて貰った。
アルコールは強いけど、辛口で飲みやすくて美味しいじゃないか。今までは匂いで飲まず嫌いをしていた日本酒、中々いいかもしれない。

談笑していて仲良くなった隣のおばちゃん。一人旅中で明日の朝には高速バスに乗って移動して観光して、その後夜行バスに乗るの!と楽しそうにしていた。パワフル。将来こうなりたいものだ。

寛いだ雰囲気で夕飯を終え、一度部屋へ戻って食休め。
1時間程休んだらそろそろ外の温泉に行くぞ、と出発。

雪をざくざく踏みしめつつ、施設内の川を渡ってまずは『白湯』へ。
湯船に先客の女性が2人。軽く挨拶し、掛湯をして熱めのお湯に浸かる。
良い…この年季の入った浴槽と壁、白濁のお湯のせいで口が緩む。
ここでしばしお湯を楽しんで、温まったら一度服を着て次へ。

鶴の湯の顔と言ってもよい混浴露天風呂。一応入口側に女性専用のお風呂があるけど青森で一度試したせいか、折角来たんだし、露天に行ってみっか!くらいの気持ちで今まで写真で見て「秘湯…いいなあ…」と憧れていた、あの混浴露天風呂へ。

脱衣所は勿論男女別なのでそこで服を脱ぎ、タオルを持っていざ温泉へ。
女性が入っていきやすいように、との配慮だろう、途中までは衝立と岩で目隠しがあり、そこから足を浸け、階段を降りつつお湯に入りタオルを取る。
お湯に浸かった状態で中へ入っていけるので恥ずかしさも紛れる仕組みになっているようだ。
とは言え、隙間があってあちら側から結構見えている。酸ヶ湯のように湯気もない。でも勢いが肝心なので「えい!」と仲間入りだ。

暖色のライトに照らされ、何組か先客が。やっぱり酸ヶ湯とは違って周りは結構見える。夫婦っぽい2人、男性3人組と1人客の男性も2人。女性の1人客も居た。
普段から考えればなんと不思議な空間だろうか。
そんなに深くはないので中を移動する時はちょっと気を付けつつ。
露天風呂は広く、薄ら青い乳白色のお湯は少々温めで肌ざわりが良い。周りが雪山だからか、頭は火照らず、良い感じに冷やしてくれる。

昼間とは違い、日帰り入浴のお客さんは居らず、今の時間は宿泊客だけ。
なので有名なこのお湯を見物しようとして外から見られる心配も無い(混浴は外から結構見える)

なので石に腰掛けて休憩しつつ、ぼーっと空を見ていた。足元は砂利が敷いてあり、足の裏がざりざり。
全く不思議な空間だ。夜の静寂の中、知らない人たちと秋田の雪山の露天風呂に浸かっている。きっと、ここまで来なかったら混浴の露天風呂なんて入らなかっただろう。大人になるのも楽しいものだ。

しばらくしたら段々と人が増えてきたので一先ず退散し、部屋に戻る。
まだ21時過ぎってところだ。窓の外に冷やしておいたシードルを取り、湯呑に移して飲む。風呂上がりの火照った体に染みる。雪見酒。なんて素敵にジャパネスク。
しかしこのあと夜中にもう一度温泉に入ろうと思っていたので控えめにしておいた。

仮眠を取り日付が変わる頃。夜中は人が少ないと聞いていたのでさっきの露天風呂へもう一度行ってみた。
まさかの貸し切り。誰も居ない。今がチャンスとばかりに素早く服を脱ぎ露天風呂へ。
本当に一人もいない。静かだ。調子に乗ってど真ん中に座り、後ろ手を付いて色々全開で上を向く。曇っていたのもあり星は見えない。でも周りの山が全部白い。顔が冷やっこい。そしてこの…気持ちいい温泉!
なんだろう、この、世界の中心は私だ!感。
働いてて良かったな…ド平日の旅行…万歳…。

4/4 さらば乳頭温泉。そして次の温泉へ。

朝です。

画像43


元気に早起きしました。今日は黒湯と女性用の露天風呂へ。
こちらの露天風呂は結構大き目だし混浴とお湯も同じ、雰囲気もどことなく似ているので混浴はちょっと…な女性はこっちで充分楽しめるかと。
まあ私は両方入ったんですけどね。ハッハッハ。

自然の中にドーン!と放り投げられたような露天風呂。山の中ですよ!!的な光景が広がる。
露天風呂の背面は山の斜面で雪がダイナミックに乗っかっており、雪崩れたらどうなってしまうのか、と仰け反って逆さに眺める。

「あ゛~帰りたくないな~…」
「昨日の酸ヶ湯と鶴の湯に1週間ずつ居たい…」

朝ご飯の時間があるので温泉から上がり、着替えて昨日と同じ部屋へ。

画像44

派手さはないけどしっかり品数があり、山の幸多めなのが嬉しい。元々田舎の山の子なのでなんだかんだこういうのは好きだ。
特にとろろが美味しかった。

その後は街の方に出るので化粧をして荷物をまとめ、部屋を片付けて名残惜しいけどチェックアウト。ゆっくり秘湯を楽しめたので本当に泊まって良かった。
お世話になりました!

この後秋田市を歩き回ってきりたんぽを食べたり、移動して山形にて蔵王温泉で貸し切り状態の宿で温泉に浸かったり、新潟で日本酒の飲み比べをした後一人で夜景を見たり、静岡でさわやかのハンバーグを食べたり、最後は東京で現地の友人と合流してジョジョバーに行ったりしたりしたけど長くなるので今回はこの辺で。

ああ、また青森秋田に行きたい。温泉に浸かって美味しいものを食べたい。早く旅行に行けるようになるのを切に願っている。

※ちなみに9日間家を空け、同居人に全てを任せていたら猫に完全に忘れられてました。

画像45


いいなと思ったら応援しよう!

よしきち
サポート頂けると飼い猫のおやつが増えます。ありがとうございます。

この記事が参加している募集