鵜飼と、川沿い露天風呂と、台湾リスの旅。
2019年の9月。
とある仕事でクソ客へのストレスを抱え続け、自分史上最大の危機に瀕していた。
このままでは客先へ乗り込んで消火器を噴出して暴れかねない。
「消防設備士免許は伊達じゃないぜ!ヒャッハー!」
そんな訳の解らないことを叫びながら汚物を消毒する前に、自分の心の消毒をしなければ。
そうだ、何か楽しいことをしよう。
おかげさまで確実に凄いことになっている残業代を使い切る勢いでお金を使って遊ぶ旅をしよう。
こんな爛れた目的の旅だが、1人だけ付き合ってくれそうな心当たりがある。
数ヶ月前「ねえ鵜飼とか見たくない…?」疲れた顔でそう呟いていた友人だ。
善は急げとばかりに連絡を取ったらびっくりするくらい話が早かった。彼女もまた、現代社会の歪によりヒャッハー寸前だったのだ。
ここに社畜独身アラサー女2人旅が成立。硬く握手を交わす。
そんな爛れた旅のコンセプトはこちら。
・とにかく鵜飼を見る。
・露天風呂に浸かりたい。
・食べたいものを食べよう。
・行き当たりばったりで。
勢いのままに計画を立て、旅に出た。
とりあえず安井金毘羅宮で縁切りをしよう
2人とも休みをもぎ取って金曜からの旅。
私は兵庫から、彼女は愛知からなのでまずは13時に尾張一宮駅に集合だ。
ささくれた魂を浄化させるため、岐阜に行く前にまずは京都を目指す。
居住地から、時間は掛かるが普通列車でも行ける京都。
が、今回はとにかく楽しいことしか!したくない!ので新幹線を使って楽ちん移動。
私は新幹線に乗るのが趣味みたいなところがあるのでエクスプレス予約なるものに会員登録してるのだが、これがめちゃくちゃ便利。
新幹線に年数回以上乗る人ならば色々捗るので強く登録を推奨している。(JRの回し者では無い)
なにせネットでひょいっと切符を買えてそのまま乗れる。しかも料金は1割ほど安くなる。
更に直前まで座席は勿論、乗る新幹線も気軽に変更できる神アイテム。
パックツアーは安く行けるけれど、提携しているホテルにしか泊まれないし、列車変更は基本出来ない。
だがしかし。これを使えば安価に、尚且つ乗る新幹線を何度でも変更できるので気ままな旅行に本当に重宝する。
そんなエクスプレス予約を使って優雅に京都駅まで。
京都駅からは市営バスを使って移動する。
D2乗り場から出るバスに乗り20分程。
東山安井のバス停で降りて徒歩数分。
目指していたのはこちら。安井金毘羅宮。
有名なので知っている人も多いと思うが、京都でも指折りの強力な縁切り神社である。
今回縁切りのためだけに京都に寄り道してこちらに来た。
クソ客の案件と手を切りたい。絶対にだ。あと旅行前の気合入れも兼ねている。
みんなの想いが貼られた縁切り縁結び碑。圧が凄い。
参拝方法はこんな感じ。
①まずは本殿へ参拝。
②参拝が終わったら、用意されている「形代」(身代わりになるお札。志として100円以上を賽銭箱へ入れる)に願い事を本気で書く。
③想いの籠った形代を手に、まずは碑を縁切りの願い事を念じながら潜る。結構狭いので気合が要ります。
④今度は逆側から縁結びの願い事を念じながら、碑の裏から表へ潜って一礼。
⑤全部終わったら碑の好きなところへ形代を貼る。
用意されているチューブ糊は結構手に付くので注意。
お守りも手に入れて、爽やかな気持ちになりつつ神社を徘徊していたら猫神に遭遇。
これはこれはと猫神へ祈りを捧げ、参拝は完了。
※因みにその年のうちにクソ客案件は担当変更になった。
効果はバツグンだ。
長良川沿いの老舗旅館、十八楼へ泊まる
京都駅に戻り、新幹線に乗り鯖サンドなんて食べつつ名古屋へ。
岐阜県内に行くには一旦名古屋に出た方が早いのだ。お値段は4910円也。
先述したエクスプレス予約を使ったので正規の5700円よりも1割ちょっと安い。
普通電車に乗り換え、尾張一宮駅へ。
合流した友人の車で目指すは長良川のほど近く。
今回、友人の好意で車移動だったが公共交通機関で移動する場合は岐阜駅からバスに乗り20分ほどで最寄りの長良橋バス停まで乗車し、徒歩2分。
本日の宿、老舗旅館 十八楼に到着。
川沿いのお宿で雰囲気は抜群。部屋も温泉も接客も申し分無しのこちら。
なんと、5月11日から10月15日までの期間、旅館内から直結で船に乗り、浴衣のまま鵜飼を見られるプランがあるのだ!!!貴族しか出来ないやつ!!
(期間は目安なので、鵜飼が見られるかは要確認)
さらに!!贅沢がしたい2人は露天風呂が付いた部屋を選択ッ!
鵜飼鑑賞付き 一泊二食宿泊プラン(館内夕食コース)
露天風呂付長良川畔和室 10畳間
お一人様25,000円 (サービス料込、消費税10%別、入湯税150円別)
プランのスケジュールはこんな感じ。
15:00~17:00 チェックイン
17:30~19:00 館内にて旬の会席料理
19:00~19:15 ロビー集合後、出船
19:30~20:10 鵜飼 鑑賞
20:10~20:30 下船・帰館
チェックインまではまだ時間があるので荷物を預けて長良川を覗き(台風の影響で増水していた)
その後は宿のある川原町の古い町並みを散策。
狭い間口に長い奥行きのある、昔ながらの日本家屋が軒を連ねているので歩くだけで旅行気分は盛り上がるし、こじんまりとした町なので気軽にうろつくのには丁度良い感じ。
好きに歩きつつ、気紛れにお店を覗いたり、お土産をこの時点で買ったり。
長良川デパートで美濃和紙や和傘、竹細工や提灯を見てインテリア提灯が欲しくなるも飼い猫が破る未来しか見えなかったので諦める。
途中、岐阜のギャラリー&和カフェ「川原町屋」で一休み。
日差しが強く、外が結構暑かったのもあり、レトロな雰囲気が漂う店内でクリームソーダを頂く。
かなりのんびりした雰囲気なのでゆったり寛げた。
営業時間
平日 10:00~18:00(オーダーストップ30分前)
土日祝 10:00~18:30(オーダーストップ30分前)
定休日 木曜日(鵜飼シーズン中無休)
※現在は営業時間を短縮中とのこと※
平 日:11:00~16:00
土日祝:11:00~17:00
15時を越えたら旅館に戻ってチェックイン。
部屋に入った瞬間、勝利を確信した。長良川を見下ろした露天風呂だぜ?
入ってくる風が心地良いしロケーションが完璧過ぎる。既に最高の予感しかしない。
早速浴衣に着替えたら、夕飯の時間までは館内の長良川温泉風呂へ。
鵜飼は勿論、お風呂の良さで選んだだけあって大浴場の充実っぷり!!
趣異なる2つの大浴場、「川の瀬」と「川の音」。加えて、明治時代の蔵を利用した「蔵の湯」もあり、多彩な湯船で贅沢な湯汲みが自慢です。
目の前に広がる清流長良川の涼風を感じながら、十八楼ならではの湯巡りを存分にお楽しみください。
豪華な大浴場が二つ、それに加え蔵の湯。まさしく贅沢の三重。
露天風呂だけではなく内風呂・ 薬草風呂・シルキーバス・寝湯があり本当に良かった。中でも川に面した解放感全開の露天風呂。
日中も良いお湯だったけど夜になると薄暗い中で温泉に浸かり、外からの風に吹かれる。静寂の中、川が流れる音が涼やかで、頭が空っぽになるくらい気持ちいい。
優しい…!とてつもなく甘やかされてる…!
流石にお風呂の写真は無いので気になる方はこちらからどうぞ。
大浴場を満喫したら夕飯は懐石料理。
旬な物が盛りだくさんで「美味い…美味い…」と無心で食べる。
どうして旅館のご飯ってあんなに多彩で品目多くてしっかり美味しいのか。最早頭の悪い感想しか出てこない。
中でも嬉しかったのが鮎の塩焼き。炭火で焼いた川魚を丸ごと食べる贅沢よ。
デザートまでしっかり食べて満腹満足になったので鵜飼の時間までダラっと布団に転がる至福。
食事の間にお布団が用意されてるありがたさを噛みしめ寝転がる。このままやすらかに寝そうだ。
鵜飼を見に、船に乗って長良川へ
時間が来たらロビーに集合し、おつまみとビール(飲めない人用にお茶とジュースも有)を受け取って船へ向かう。
旅館から船着き場まで鵜飼小路と名前の付いた専用通路でそのまま歩いて行けるこの凄さ。
妖しい雰囲気も相まって楽しくなってくる。
夜なので足元に気を付けて階段を降り、一人ずつ船へ。
重さのバランスを取るために船頭さんの指示に従って着席。
お座敷スタイルなので履物を脱ぎ、長テーブルが有るので酒盛りしやすい。
そして船が浅いので川面が思った以上に近い。
増水中で人力では流石に岸に出られないので途中まではエンジンを積んだ船で引っ張って貰い、その後はなんと船頭さんたちの操る棒だけで進み、待機場所へ。
待ち時間にパンフレットと船頭さんの話で鵜飼について学ぶ。
なんだろう、鵜、めっちゃ可愛いぞ。
初めて知ったのだが
・鵜を操る鵜匠は常日頃から鵜と生活を共にし、朝に鵜の顔を見て調子が良さそうな10〜12羽を連れて漁に出る。
・飼われてる鵜は自然界で生きる鵜に比べて何倍も生きる。
・何年か経ったら放鳥する、のではなく、一生面倒を見る。
失礼な話、想像していた以上に信頼関係がある。
関係性は鷹狩りに近い。あと鵜が可愛い。
鵜匠が営む鵜カフェもあるらしいので次回は是非行きたい。
まずは船を川岸に固定し、鵜飼の様子を観覧する「付け見せ鵜飼」が。
間近で見ると結構な迫力。火が凄いしせっせと働く鵜の可愛さ。
その後、6隻の鵜舟が横一列に並んで鮎を浅瀬に追い込み狩りをする「総がらみ」を見物する。
浮かぶ灯りが6隻の船。
つい夢中で見た為、イマイチな写真しかないのだが、生の迫力と鵜の可愛さに感動したのでこればっかりは実物を見て貰いたい。
余談だが「鵜は獲った鮎を食べられないのか…」と思っていたけど鮎以外の魚は鵜のご飯になるそうな。
鵜飼を見た後は旅館へ戻り、私は大浴場へ。
友人は部屋の露天風呂を一人で存分に楽しむことにして散。
先述した通り夜の川原沿いの露天風呂、凄まじい癒し効果なので疲れている方には是非お勧めしたい。
因みに風呂上りに休憩がてら入った寛ぎ処のマッサージチェアが脳が溶ける気持ち良さで小一時間堪能してしまった。
川原温泉とのコンボは最高にキマる。
旅先であまり眠れない性質の私がこの日ばかりは熟睡だった。
朝の部屋付き露天風呂と金華山のリスの可愛さを堪能する
朝風呂は温泉旅館に泊まる楽しみの一つ。
昨日とは逆に友人は大浴場、私は朝の部屋付き露天風呂へ。
はい、もう言わずもがな。
外から見えないよう、簾で目隠しが出来るので湯船に入ったら無敵なのでフルオープン!
すぐ目の前が川!!!
朝のピンとした空気の中、川を眺めつつ入るお風呂って雅な遊びが過ぎる。
早朝の川原。ランニングしてる人や散歩している人の姿が見える。
のどかだ。そしてなんと解放的なのだろう。
下を覗けば昨日乗った船が見える。
しかし、こんなに明るい屋外で合法で全裸になれるのって中々無い。
旅館の朝ご飯を食べてまた軽く温泉に入ってチェックアウト。
予定は未定だったので、すぐ近くの金華山へ行ってみることに。
自然豊かで標高329mのこちらには30分~1時間の登山コースが10個あり、登山客でワイワイ賑わっていた。
山登りはちょっと…な方にはロープウェイもあり!
勿論我々もロープウェイを選択。山登りをする覚悟は無い。
通常料金
大人(12歳・中学生以上)
往復1,100円 片道630円
小人(4歳~11歳)
往復 550円 片道 300円
3分であっという間に山頂駅まで到着。そこから8分、なんとか頑張って山道を歩くと『麒麟がくる』で注目を集める岐阜城が見えてくる。
折角なので登城。大人200円 小人100円と良心価格。
山の上の城だけあって景色が良い。長良川も綺麗に見える。
正直な話、お城に登らなくても展望台から景色を見ることは出来る。
出来るがここは是非登城して信長の気分で町を見下ろして欲しい。
お城のあとは山頂駅すぐのリス村へ。
ロープウェイに乗る前に見つけて絶対行こうと決めていた。
専用の手袋を付け、リスのごはんを持って中へ。
リスがわらわら居る…!!ちょろちょろ動いてる!!
この距離でリスと触れ合える。可愛さに大人も子供も夢中。
可愛い!楽しい!愛らしい!とリスにニヤニヤしているところを友人に撮られていた一枚。だってリス可愛いから…。
◆場所:金華山ロープウェー山頂駅スグ前
◆開村時間のご案内:9時30分~16時30分
(最終入村:16時15分 年中無休)
◆入村料金:4歳以上 200円
旅の終わり~そうだ、飛騨牛をたらふく食べよう~
リスを愛でて大満足で下山した後、急激に空腹が襲ってきた。
このあとの予定も勿論未定。何を食べるか話し合った結果。
「良い肉が食べたい。ならば飛騨牛では…?」
意見は一致し岐阜駅からほど近く、口コミ評価の良い『飛騨牛一頭家 馬喰一代 岐阜神田』へ車を走らせる。
とにかく腹が減っていたので友人が運転する間、隣で電話し席を予約。
肉を食べたい。良い肉を。その一心で入った店は明らかに高級店。
こんなオシャンティーな店、普段なら絶対入らない。だって庶民だもの。
でも、今日は旅先だから!
覚悟はいいか?俺は出来ている。
最とびスペシャル盛り【2~3人前】 9,800円+税
その他にも色々注文。結構な金額になるけど知らねえ!
飛騨牛、口の中で溶けた。
飛騨牛一頭家 馬喰一代 岐阜神田
【営業時間】11:30~23:00
(ランチ L.O.15:00 / ディナー L.O.22:00)
【定休日】 無休 ※年末年始を除く
【住所】 岐阜県岐阜市神田町7-7
焼肉を食べ、匂い消しにリンゴジュースを飲んで岐阜旅行を終えた。
次回岐阜に行くことがあれば是非鵜カフェに行きたいし、良い肉はそんなに沢山食べられないので頼み過ぎないようにしたい。
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