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「なまず」「女神の継承」
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アジア映画が続いたので感想をまとめて。まずは「梨泰院クラス」のイ・ジュヨン主演「なまず」です。主人公の看護師ユニョンの勤める病院で飼われているなまずによるナレーション、なまずが跳ねたと思ったら各地に出現する巨大な穴などポップでシュールな90年代の台湾映画のよう。しかし、ユニョンの恋人ソンウォンの過去が明らかになるにつれ徐々に不穏な空気が立ち込めてきます。よくあるラブコメのようで格差社会やDVなど韓国社会が抱える問題が垣間見え、重さと軽さのバランスが絶妙だなと思いました。イ・ジュヨンは梨泰院クラスの中でも一番好きで、何気ない表情やファッションも可愛かったです。
先日アマプラで観た「チャンシルさんには福が多いね」もそうなんですが、最近の韓国映画界ではバイオレンスでもゾンビでもフィルムノワールでもない普通の女性の内面や悩みを描いた身近な作品が増えていて興味深いです。
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「チャンシルさんには福が多いね」は40代の映画プロデューサーが主人公なんですけど、そんな彼女が出会うのがレスリー・チャンの幽霊(全然似てない)でつい「ブエノスアイレス」を思い出してしまいました。(タンクトップとブリーフ姿なのにも笑う。)ちなみに上と下は「女神の継承」を観にいったシネマート新宿に飾ってあったウォン・カーウァイ作品4K特集上映のためのもの。
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「花様年華」のポスターは今見ても最高。
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さて、次は大好きな韓国映画「哭声」のナ・ホンジン監督プロデュースということで観たタイ映画「女神の継承」です。
タイ東北部の村で受け継がれてきた祈祷師一族についてのドキュメンタリーという形式、いわゆるモキュメンタリーなので結構カメラがブレます。(酔いやすい方はご注意を)タイ独特の派手なお葬式や文化の違いは面白いのですが、次々と祈祷師一族を襲う奇妙な現象の謎が意外にあっさりと明かされてしまったり「哭声」のような観ている側を否応なしにぐいぐいと引き込む圧倒的熱量がやや足りず。最後のインタビューシーンは良かったんですけどね。ネットフリックスで観た台湾ホラー「呪詛」も既視感があってあまり怖くなかったので、本当に怖いアジアンホラー求む。
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映画とは直接関係ないけれど、先日食べた韓国の辛ラーメンの焼きそば(袋麺)が予想外の辛さでびっくり。最初は甘口なのに、後からどんどん辛くなってホラー映画の見過ぎなのか「辛」の文字が「呪」に見えてくるほど。辛ラーメンより絶対辛い、早く言ってよ。でも、不思議と後を引く美味しさなので次回は辛いソースを半分にしていただきます。
見出し画像は池袋東武の「台湾フェア」で食べた浅草豆花大王の桃豆花。甘さ控えめの豆花がおいしかったです。