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読後ノート03 世界インフレの謎

今回は、「世界インフレの謎」という本をとりあげます。

世界インフレの謎  講談社現代新書 著者:渡辺 努

経済は自分にとって苦手な分野で、新聞やニュースをみても、ほんとうのところはよくわかっていません。

去年あたりから食品はじめいろいろなものが値上がっていますが、なぜなのかはきちんと分かっていませんでした。そんなこともあり、新年早々まだやる気があるときに苦手な経済の本にトライしてみようと思ったわけです。

今回のインフレですが、結論から言うと、ロシアのウクライナ侵攻によるものと思っていましたが、そうではなくパンデミックが真の要因らしいです。グローバルな供給網が寸断されてしまい、さまざまな商品が品薄となったことが原因なんだそうです。

米国や英国、そして欧州のインフレは、実は2021年春からすでにはじまっていたからです。戦争が起こる前に始まっていたのだとしたら、それはすなわち、戦争が原因ではないことの明確な証拠になります。
新型コロナウィルスのパンデミックは、世界の生産設備や物流拠点といった、人が「密」になる場所を直撃し、ほうぼうでグローバルな供給網を寸断させました。
グローバルなモノの供給網が寸断されて、各地でさまざまな商品が品薄となってしまうと、何が起こるでしょうか。それは、価格の高騰です。

冒頭にも書きましたように、ウクライナのことが原因かと思っていました。エネルギーや小麦などの供給が減ったから、値上がりをした。なんとなくそんなことを聞いたような気がしたような。こんなものなんですね、自分の理解というのは。

実際に経済が再開してみると、経済学者たちの予想に反して生産が回復してきません。生産がニーズに追いつかない、つまり需要が供給を上回るというアンバランスが経済のあちこちで生じてしまい、それが物価上昇を引き起こしてしまったのです。
働き手の減少はモノとサービスの供給の減少を招き、それが需給のアンバランスを引き起こしています。
生活様式が変わっているように見受けられます。それにともなって、どこで何を消費するのかということに変化が現れています。消費が集中するようになった品目では、生産が追いつかず価格上昇が起きています。

アメリカでは働き手が大幅に減少したそうです。他の国から出稼ぎに来ていた人が戻ってこれなかったり、早めにリタイアをしてしまったりして、50年分くらいのことが一気に起こったそうです。

それらが共通して指摘するポイントは、ウィルスとの闘いにおいて、世界中の誰もが同じ行動をとってきたということです。
「同期」
個人ごとの些細な行動が同期して、マクロ規模の大きなインパクトを引き起こすというような事態は、ここまで述べたとおり、通常ではあり得ないことでした。そのためデータの蓄積も、そして知見の蓄積も不十分なのです。だからこそ、この「同期」が、私たちがかつて経験したことのない大きなうねりとして、世界経済に支障をきたすほどのインパクトんいなっているのです。

おもしろいなですね。経済というと数字や計算がイメージされますが、実際の人々の行動変容が影響しているところが分かり、少し興味が持てました。

日本に住むわたしたちにとって依然としてデフレこそが最大の問題だと思っています。物価は上がるのに、賃金は上がらないという、最悪の事態になりかねない瀬戸際に、私達はたっているというのが、本書のもう一つの大きなテーマです。
海外からインフレの波が日本にも及び物価が上昇を始めた今、この絶妙のバランスが崩れつつあります。物価は上昇、賃金は据え置きという、誰が考えても不幸な状態に突入するか、それとも、物価も賃金も安定的なペースで毎年上昇する健全な経済へと移行するのか、日本はいま分かれ道に立っているのです。

現実問題として身につまされることです。たしかにモノの値段があがっているのに、年収があがらなかったら、実質的に年収ダウンになってしまいまからね。なんとかお願いしたいものです。

今回、苦手な経済の本にトライしましたが、人々の考えや行動がインパクトを与えるというところはおもしろかったですね。以前よりも経済が身近になりました。

この本は私のような経済が苦手な人にも分かるように書かれています。最初にこうして全体像を示し、それ以降にそれらを詳細に説明してくれています。もし、興味がありましたら、手にとってみてはいかがでしょうか。

読んでいただきありがとうございます。
次も書きます!

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