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不確定日記

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日記とは限らない
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不確定日記(水無月)

不確定日記(水無月)

 オリーブオイルが高い。こういうことはあとで読み返したときに絶対忘れているから日記に書くべきだ、と思ったので書いた。

 昼から電話で打ち合わせ。すぐ脱線する私の話をやんわりまとめようとしてくれる編集氏。まとまらなかったので明日また話すことになる。

 午後、梅干し用の梅も届いて追熟していたののヘタを取り洗って塩に漬ける。コロコロと容器の中に重ねていく景色は、最近隙があるとやってしまう「スイカゲー

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不確定日記(同じ箱に入れない)

不確定日記(同じ箱に入れない)

 朝、ドアのチャイムで起きた。下半身はレギンスだけだったので、その上にズボンを履いたが、寝癖もむくみもそのままで、そうやって出ると、宅配便の人はいつも少し困った顔で、でも明るく、「すいませんねー!」と言ってくれる。本当に申し訳ない、と思うがわたしは本当に寝起きが悪い。

 ところで、先日、はじめて会った人が、同じ年頃の同じ職種の人とそっくりだ、と思った。髪型も、背格好も、服装も。思い出してみると、

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不確定日記(味覚の情緒)

不確定日記(味覚の情緒)

 ここ最近、あれ、なんかすごい美味しいな、と思うことが多く、それはタコだったりケイジャンチキンサンドだったり干し椎茸だったり、元々好物ではあるが、毎回しばらくジーンとしてしまうような感激があるので、ちょうど大雨だったりもして気候や体調による情緒不安定を疑っていた。わたしは自分の気分の上下を基本的にあまり信用していない。どこか他人事なのは、子供の頃からの癖だ。同級生に無視された時などに役に立ったよう

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不確定日記(ある日とない日)

不確定日記(ある日とない日)

 割と出かけている。人にも会って、食事をしたり酒を飲んだりしている。しかし気分よくたくさん話して酔っ払って帰ると満足して眠るので、日記を書く気になるのは、なんにもない日だ。

 湿気で肌の表面がベタベタするのが好きじゃないので、この次期以降はなるべくサラッとした薄い生地の服しか着たくないし、裸足でいたい。スプレー式の日焼け止めは足の甲に便利だな、と思っていたら、使ったあたりの床を踏むと滑るようにな

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不確定日記(眠った場合より悪夢)

不確定日記(眠った場合より悪夢)

 うっかりまた、つまらないパズルゲームをダウンロードして3時間ほど眠るのが遅くなった。外国製のゲームには一応ストーリーがあり、主人公たるわたしはパズルを解くことによって兄を探しつつポップなダイナーなど建物の内外装を設計修理しているらしいのだが、セリフの和訳がめちゃくちゃなせいで、たくさんパズルを解いても自分の状況がわからない。やたらと語尾についている「交差点」という単語が不安感を煽ってくる。どこに

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不確定日記(はじめての胃カメラ)

不確定日記(はじめての胃カメラ)

 どうせ朝食は食べられないし、化粧もしなかったので朝は余裕があった。出勤の人たちに混じって歩く。店舗のシャッターを開けている人をみると、わたしも街の一員になった気がする。

 検診センターの受付は薄暗くてきれいだった。
ここの採血の人はものすごく上手なので安心感がある。血圧は高めなので、力を抜いたら少しでも下がるのではないかという希望のために血圧計に書いてある機種の愛称らしい「健太郎」という文字を

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不確定日記(のんきストッパー)

不確定日記(のんきストッパー)

 起きた時に、眠い、と思ったが、どうもただ眠いのではなく、船酔いのようにこめかみのあたりが引っ張られるようで、足元がフワフワしている。雨が降っているので気圧のせいかもしれない。いつにも増してぼんやりしており、解凍したごはんに、焼いてあったいわし明太の残りと昨日の椎茸と梅のスープを温めてぶっかけたものを食べ終えて、まだ部屋が香ばしいにおいだな、と思ったら、コンロの火が最小で点きっぱなしで、ほんの少し

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不確定日記(春のせい)

不確定日記(春のせい)

 落ち着かない原因は春かもしれない。風が強くて寒いが、沈丁花は咲いている。春の花の匂いには可憐さよりも強い生命力と灰汁っぽさを感じる。

 胸パッド入りのニットワンピースというものを買ってあったので着てみたが、どう考えても胸ではないところにパッドが来るので引き抜いて普通の下着をつけて着た。

 洗濯をしてから外出する。先に着いていたOさんから雷門を至近距離から撮った画像が送られてきたのでその地点を

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不確定日記(思ったままにしたから)

不確定日記(思ったままにしたから)

 花粉と関係あるのかわからないが、湿気の多い日に鼻炎の症状が強くなる。口にグラノーラを詰めているときにクシャミが出そうになったのを我慢してある程度飲み込んだら、へげ、という、ため息のようなものが出た。

 早朝、雪が降ったようだが起きたときには晴れていた。一応折りたたみ傘を斜めがけの鞄に刺して出かけ、落としそうだな、と思ったらやっぱり落としたことに、電車の椅子に座ったときに気づいた。

 目黒川沿

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