キャリアカウンセラーのおかちんです。
今日はどんな一日でしたか?
キャリアカウンセリングには様々なスタイルがあります。
その中の一つに「問題解決に導く」というスタイルがあります。
ではこのときの「問題」とは何なのでしょう?
まずは言葉の意味から。
キャリアカウンセリングにおける「問題」は、2や3あたりでしょうか?
例えば、「転職をしたい」という相談があったとします。転職後の収入に不安があるという場合だったら2の経済問題、家族の介護があって転職せざるを得ないという場合だったら3の困った事柄が該当しそうですね。
これを英語だったら何と表現するのか気になったので調べてみました。
相談者にとっての問題はProblemでしょうか。相談は「やっかいなこと」「悩んでいること」になることが多いですから、やはりProblemが近い感じですね。
一方で、ビジネスにおける問題はIsuueと表されることがあります。「課題」「論点」などの意味があり、クリティカルシンキングにおいては重要な課題と捉えるものですね。
Questionはテストやクイズなどの問題としてよく使われる感じがします。カウンセリングであれば、「問いかけ」が近いでしょうか。
相談者は、自身が感じる問題をProblemと捉え、いかにやっかいな事柄か、それによってどれだけ悩んでいるかを語ろうとします。
一方で、キャリアコンサルタントから見た相談者の問題をIsuueと捉えると、「この相談者の課題は何か」「この面談においての論点はどこか」と考えて把握しようと努めます。
ここに『ProblemとIsuueのギャップ』が生まれる可能性があります。
相談者は悩みを聞いてほしい。
キャリアコンサルタントは問題を解決する糸口を見つけてあげたい。
この双方の解釈のずれが、『ProblemとIsuueのギャップ』として現れてきます。相談者によっては「この人とは合わない」「きちんと聴いてもらえない」といった思いを抱くかもしれません。
でもね・・・
そもそも「何を問題と見るか」は相談者自身が決めることなんですよね。キャリアコンサルタントの目線で問題を定義すること自体に、無理があると思うんですよ。
さらに言えば、Isuueは解決できる(すべき)課題ですが、Problemはまだ悩んでいる最中で複雑に絡み合っているモヤモヤしたものを問題としているので、簡単に解決につながるような状態には至っていないと感じるんです。
いま学んでいるナラティヴ・セラピーの中に素敵な言葉があります。
「人間や人間関係が問題ではなく、問題が問題なのだ」
「問題を解決してあげよう」と考えると、「問題を抱えた人の中に原因がある」「その人の考え方や行動を変えよう」とアプローチになってしまいそうですよね。
ですが、「問題は”問題そのもの”にある」と捉えると、「相談者は問題から影響を受けて悩まされている」「”問題”が相談者のものの見方や捉え方を変えさせている」と考えることができます。そのうえで、相談者が「何を問題と見ているのか」ということに意識を向けられます。
わたしもまだ道半ばですが、最近「問題が問題なのだ」という感覚がなんとなく理解できるようになってきました。
なにかトラブルがあると、ついその人自身やその人の言動を批判的に見てしまいます。
でもいまのわたしは、「何が起こったのだろう?」「何がこの人を悩ませているのだろう?」と、まずは問題そのものに意識を向けて考えるようになってきました。
そして、「解決してあげよう」ではなく「この人は問題をどう捉えていて、どうしたいのか」という相談者自身の理解に関心を向けてかかわれるようになってきました。
主に相談してくる学生からは「きちんと話を聴いてもらえてうれしい」「相談するとスッキリする」といった声をいただいているので、いまの方向性は間違っていないのかな?と思っています。
このナラティヴ・セラピー、今年はJIEL(日本体験学習研究所)にて講座が開講されるそうです。
キャリアカウンセラーとして、まだまだたくさん学びたいことがあります。ナラティヴ・セラピーもその一つです。
しばらくはオンラインでの受講も続きそうですので、このチャンスを十分に生かして学んでいきたいですね。
明日も素敵な一日でありますように。