「てめーはオレを怒らせた」
ジョジョの奇妙な冒険の第三部スターダストクルセイダースの最後。空条承太郎が宿敵DIOを倒す直前に言い放ったセリフです。
この後オラオララッシュからの朝日に消滅するDIO……親子三代にわたる因縁の物語はついに終焉を迎えます。
青春時代のアニメだけに気持ちも昂りますが・・・さて本題に戻りましょう(笑)
「てめーはオレを怒らせた」
この言葉に違和感を覚えませんか?
日常会話であれば、
「あんたがお母さんを怒らせたんでしょ!」
「お前が俺を怒らせてるの、わからない?」
「あなたがわたしの怒りに火をつけているんですよ?」
といった感じでしょうか……
あれ?
怒りって外から湧いてくるものでしたっけ?
そうなんです。
感情は自分の内側から湧きおこるものですよね。
「あなたが怒らせた」ではなく、「あなたの行動によってわたしの中に怒りの感情が湧きおこった」なんですよね。
あくまで感情は自分の内側にあるものであって、外から取り込むものではありません。
ですが、つい「てめーがオレを怒らせた」と言ってしまいがち。
それは「わたしを怒らせるようなことを、あなたがしたから」と思っているからに他なりません。
いわゆる、他責(=他人事の世界に追いやろうとする心の作用)から起きるものです。
「怒りたくて怒っているのではなく、あなたのせいで怒らざるを得ない」
「怒る気なんてなかったのに、あなたの行動が原因で怒らされている」
「いま怒っているのは、あなたが悪いから」
そういう考えに至った末の言葉だと、わたしは思います。
では、なぜ怒りが湧いてきたのでしょう?
それは、
「自分が大切にしているものを傷つけられたから」
「相手に伝わらないもどかしさを、誰かのせいにして外に追いやりたいから」
「相手が悪いとしておくことで、かわいそうなわたしでいられるから」
つまり、愛しい自分を守るために、怒りという感情を湧き起こらせていると考えることができます。
怒りは二次感情ともいわれます。
一次感情として、悔しい、悲しい、寂しいといった感情が湧いてきて、それを補うために怒りという感情で表現するということです。
デパートで迷子になった子どもがようやく見つかった時のお母さんを想像してください。
「あんた!どこ行ってたの!!」と大声で怒鳴りながら、涙ながらに抱きしめる姿が思い浮かびませんか?
発出している感情は怒り。でもその奥には、大きな不安があるはずです。
そして子どもが見つかって安心した瞬間に、その反動で怒りという相対する感情を表出してしまっています。
だとしたら、JOJOの「てめーはオレを怒らせた」の裏には、いったいどんな感情があったのでしょうね?
ぜひこのときの空条承太郎の気持ちを想像して、カウンセリングしてみてください(笑)
明日も佳き日でありますように