言外に含まれたメッセージを丁寧に伝える
敬愛する本田秀夫先生の記事です。Yahoo!ニュースにも取り上げられたのでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。
「リンゴ2個とミカン3個を足すと何個?」
この問題には抜け落ちている前提があります。
1.単純に個数を足し算する計算問題である
2.リンゴかミカンかは区別しない
3.大きさや重さや色や形も関係がない
4.リンゴもミカンも同じ果物として考える
これらの前提は「わざわざ言わなくても当然伝わっている」と思い込んでいることです。
本田先生はこれを「言外のメッセージ」とおっしゃっています。
先ほどの問題を、もしこのようにしたらいかがでしょう?
「バナナ2個とクルマ3個を足すと何個?」
あなたも戸惑いませんか?
・バナナは2本と数えるでしょ
・クルマは3台と数えるでしょ
・バナナとクルマを足すってどういうこと?
・足して5個という答えに何の意味があるの?
こんな疑問が湧いてくるはずです。
本田先生は、言外のメッセージを「含み」ともおっしゃっています。そして「含み」が分からないと解けない問題があると指摘しています。
確かにリンゴとミカンの問題だったら、なんとなく無意識のうちに解けてしまうでしょう。それは「算数の授業の計算問題である」という前提が刷り込まれているからです。
ところが日常生活の中で、リンゴとミカンを一緒くたに数える場面はまずないでしょう。むしろ、リンゴとミカンがそれぞれ何個あるかが重要であり、合計で何個かはほとんど無用なのではないでしょうか?
発達障害や自閉症スペクトラムの専門家である本田先生は、このような「含み」を持った表現が日常にあふれているため、「言外のメッセージ」をうまく受け取れない子たちにとっては不思議で仕方がないことがあふれているとおっしゃっていました。
わたし自身もつい、「そんなのわかっているでしょ」「当たり前のことだよね」と思ってしまうこともしばしば。
今回の記事を読んで改めて、丁寧に伝えることを怠っている=楽なコミュニケーションを取っていることに気づきました。
「伝える側が楽をすると、受け取る側が苦労する」
改めて肝に銘じておこうと思います。
明日も佳き日でありますように