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キャリアカウンセリングとは
わたしはキャリアカウンセラーとして、常に自分への問いを抱いています。それは、
「キャリアカウンセリングとはなにか?」
という問いです。
日本キャリア開発協会(JCDA)では、キャリアカウンセリングを以下のように紹介しています。
日本キャリア開発協会(JCDA) では、「キャリア」を「人生そのもの」だと考えています。ですから、「キャリアカウンセリング」でできることも広い範囲で捉えています。
人は誰でも「自分はこうありたい」というエネルギーを持っている――JCDA ではそのように考えています。それは日ごろ意識されることはないかもしれません。それでも人は、日々起こるさまざまな出来事を「ありたい自分」を通して感じ、考え、自分らしい選択をして今があります。一人ひとりの人生は、その人にオリジナルのストーリーであり、そして、その一つひとつがかけがえのないものなのです。
人は誰でもそのような存在なのだとJCDAはとらえています。JCDA認定のキャリアカウンセラー・CDA(Career Development Adviser)は、こうした人間観、誰もが「ありたい自分」を持っているという考え方を持って接するからこそ、相談者は肯定的に自分と向き合えるようになるのです。
相談の場面において、CDAは相談者の経験を丁寧にうかがいます。その語りの中に現れる、相談者ならではの言葉や独特の意味付けに関心を向け、相談者の自問自答を促すのです。これを通して、相談者は自分なりの意味や「ありたい自分」を意識するようになります。話が進むにつれて、今までの自分の選択の中に、共通していることや「つながり」があるということに気がついていきます。それらを通じて、本当の自分らしさを見つけていくのです。
仕事の悩みや不安に対して、急場しのぎの対処法を探そうとするのではなく、自分らしく生きていくためにどうすればいいだろうかと、その人なりの方向性を考えるようになっていきます。そうした一連の関わりがJCDAのキャリアカウンセリングなのです。
「自分の仕事人生や生活をよりよくしたい」というみなさまを、より深くご支援したい。
キャリアカウンセリングを通して、人生を深く考える際のパートナーでありたい。
私たちJCDAはそう考えて、日々活動しています。
これを踏まえ、わたしはキャリアカウンセリングを次のように考えました。
1.自らの生き方・あり方を確かめること
2.これまでの経験を自らの言葉で語り直すこと
3.相談者の内なる声をともに描くこと
こう考えている理由と、その意味をまとめてみます。
1.自らの生き方・あり方を確かめること
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わたしにとってキャリア(=人生)とは「川の流れ」に例えられます。
こんこんと山から湧き上がる水は、様々な支流(=人との出会いや経験)と重なり合って、徐々に大きな流れへと変わっていきます。
時にはゆっくりと、時には荒々しく、くねくねと曲がりながらも流れ続け、やがて海へとたどり着きます。
そして今度は広い広い大海原(=社会・世の中)を、自らの経験を糧とした船に乗り、昼も夜も、凪も時化も、その時々で自ら行き先を決め、自らの力で進んでいく―――そんなイメージです。
ただ、船に乗っているときは自分がどこにいて、どこを目指し、後どれくらいで目的地にたどり着くのか、わからなくなってしまうこともあります。
そんなときは、船の現在地を確かめることが必要です。
それが『キャリアカウンセリング』です。
今回選んだカードからは、船(=自らの生き方・あり方)をじっと見つめるような様子が感じられました。
その表情も、心穏やかにそして客観的に見つめている印象を受けます。
わたしにとって目指すキャリアカウンセリング像がこの1枚に表れているように受け取りました。
2.これまでの経験を自らの言葉で語り直すこと
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一人ひとり「経験」は異なります。
たとえ同じ出来事であっても、感じ方や受け取り方は人それぞれです。ですから出来事の数だけ、感じた思いや気持ちがあるはずです。
出来事とともに感じた思いや気持ちが合わさって、「経験」と呼びます。
人生をふりかえると、「経験」はまるで満天の星空のように無数に光り輝いているのではないでしょうか?
もちろんその一つひとつに語りたい思い出があり、気持ちがあります。
『キャリアカウンセリング』では経験を語ることで、本当に自分が大切にしているものが見えてきます。そしてその言葉の向こうにある自らのありたい姿を再認識することができます。
それはまるで自らの生き方やあり方を綴った自分史をつくるかのようです。
書き綴った自分史をじっくりと読み返しながら、
「あのときはこうしたかったんだよな」
「このときはこういう思いでいたんだっけ」
「なぜそうやって決断したんだろう」
などと、自らをふりかえって自分の生きざまを味わい尽くします。
その様子をそっと後ろから温かく見つめている―――それがこのカードによってうまく表されていると感じています。
3.相談者の内なる声をともに描くこと
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とある方がおっしゃっていたことです。
キャリアカウンセリングでは、相談者は自らの語りをまるで絵を描くようにありありと再現していくことが大切です。
そのとき絵筆を持っているのは相談者自身。
相談者が描いた絵をキャリアカウンセラーは一緒に見て、そして気になるところに問いかけていきます。
その問いに答えようと相談者は自問自答することで、経験をより生き生きとしたものにしていくことができるんです。
わたしはこの言葉が気に入っています。特に「絵筆を持っているのは相談者自身」というフレーズは大切にしています。
自分の中にある思いや気持ちがはっきりとしていないと、絵を描くことはできません。
ですからキャリアカウンセラーのかかわりによって、自らの経験をその瞬間に戻って再び体験するかのように“ありありと再現していく”ことで、細かなディティールまで描くことができると感じています。
わたしはキャリアカウンセラーとしてその傍らで絵をじっと見つめ、描かれたものがなにを意味しているのか、どのような意味づけをしているのかを、丁寧に問いかけていきます。
そうやって何度も語るうちに、その絵はますます生き生きとしていき、やがては絵から飛び出さんばかりにリアルなものになっていきます。
すべては相談者の内なる声にあります。
自分でもよくわからずもやもやした状態から、経験を語ることによって詳らかになっていき、最後は誰しもに見える絵のようにはっきりとした語りへと変化していきます。
それを表す1枚として、今回はこのカードを選びました。
最後に
いかがだったでしょうか?
素敵なカードを使って、キャリカウンセリングについてまとめてみました。
1.自らの生き方・あり方を確かめること
2.これまでの経験を自らの言葉で語り直すこと
3.相談者の内なる声をともに描くこと
この3つは、わたしにとってキャリアカウンセリングがどのようなものかを表しています。
そのうえでわたしは、さらにこんな意味づけをしています。
「相談者がもう一度自分自身を信じられるようになること」
多くの場合、辛く苦しい経験をし、誰かに聞いてほしい、自分自身のあり方を確かめたいという「悩み」を抱えて相談にいらっしゃいます。そのとき、ほとんどの方が「自信」を失っているようにお見受けします。
「自分を信じる」から「自信」。そう考えると「自信がない」とは「自分を信じられなくなっている」といことではないでしょうか?
だから、悩みを打ち明けてもらって経験を丁寧にお聞きすることで、再び自分を信じられる(=自信が持てる)ようになることが理想です。
もちろん裏付けなく自信を持ってもそれは揺るぎないものとは言えません。
そこで、「生き方・あり方を確かめ」、「経験を語り直し」、「内なる声を表現する」ことで、自分の中のありたい自分に裏打ちされた自信を取り戻してほしいと願っているんです。
それができるのは、「専門性を持ったCDAによるキャリアカウンセリングだからこそ」とわたしは考えています。
今回のカードも、実はゲームから引用しているんです。
わたしの琴線に触れたこのゲーム。
「キャリアカウンセリング」に応用できるのは、わたしが磨いてきた専門性あってのもの・・・と思いたいところですね。
単純にこのゲームを楽しむのもおススメですよ!
明日も佳き日でありますように
明日も佳き日でありますように