【トップはかく語りき】代表取締役社長 関口快太郎 氏 コロナ禍のなか将来に備える 株式会社関口(栃木県鹿沼市)
米中貿易戦争の最中の新型コロナウイルス感染症の蔓延。お菓子業界では巣ごもり消費が好影響となり、SMやドラッグストアなどでは売上が大幅伸長した半面、テレワークで都市部のCVSには影が差し、飲食業界や取り分け、観光関連業界では厳しい状況が今なお続く。関東甲信越から東北全県を商圏とする準広域問屋・関口では、春秋2回年4回、本社と東北5支店による展示会を恒例としてきたが、今年は2月の本社分を実施できたが、その後の開催が中止に追い込まれた。顧客とメーカーを繋ぐ、50年に近い伝統を持つ展示会を中止した関口快太郎社長に、現状とその対策を聞いた。(取材日 2020年8月31日)
巣ごもり特需と今後の変化
――先代の故関口快流会長時代から半世紀近く続く展示会が中止になりました。終息が見えないコロナ禍の影響ですね。
関口快太郎社長 中小のメーカーさんや、展示会を楽しみにしているお客様の間では、当初「実施を」という声が多かったが、弊社の業者会(関友会)での意見聴取では、実施は厳しいだろうという声が多かった。展示会を営業の場として、活用してきた中小のメーカーさんには、開催を望む声があるものの、収束が見えない中で、万が一の危険を押してまで、実施できるだけの大勢にはならなかった。弊社としては開催を前提に、準備を進めていたが、今秋は苦渋の決断で、押さえていた会場もキャンセルし、中止することにした。
――今では少なくなった手売りの展示会。ことに東北の会場は、本当に親しみと熱気渦巻く展示会ですから残念でしたね。
関口 東北では感染者も少なく、せめて秋だけでも…の思いは強くあった。が、緊急事態の解除後、県境を越えての移動が始まると、途端に感染が増えだし、それで流れが変わった。首都圏のように人の多いところとは違って、地方の方の反応が過敏になって…。
――展示会の中止で、今後どのようなフォローをしていきますか。
関口 展示会に向けて提案や企画を作り、資料もまとめていたので、それをもとにお客様ごとに、キチンとご案内するようにと周知した。キメ細かな営業という点では、弊社が得意とするところで、直接お客様のところへいくのは、営業本来の形ですから。
――現在のコロナ禍ではどのような影響がでていますか。
関口 このコロナ禍は、本当に酷い経済のブレーキになった。外出禁止や学校の休校などから、巣ごもりの家庭内需要で、カテゴリーによっては、言葉は不適切かもしれないが“特需”もあった。弊社のお客様には様ざまな業態があり、二次店もあるが、業種業態によって、はっきりと明暗が分かれた。その点で今期の前半はコロナの影響を大きく受けた。地場の一般SMやドラッグストア、ホームセンターでは良い数字がでた半面、お土産店や特殊ルートのお客様は、本当に厳しい状況に立たされている。そういうことで、弊社の上半期は昨年対比で100%くらい。ひょっとしたら若干、昨対を割るかも、と。
――過去のデータや経験が参考にならないこのコロナ禍ですが、何か特徴的な動きはありますか。
関口 改めて今回、よく分かったことは子供の“力”。学校の休校期間や夏休み中は売上が非常に伸びたが、授業が再開されると落ちた。こういうことから、8月の売りは過去に例がないくらい良い数字になった。子供さんが家にいるということで、いかにお菓子需要が伸びるかが良く分かった。会社員もテレワークなどで在宅していたが、それほど伸びてはいない。お菓子は子供需要の“力”の方が強い。少子高齢化とか人口減少といわれるが、やはり子供。とても印象的な伸びだった。
――お菓子需要の“原点”を再認識したと。
関口 もう一つは、コロナとは関係はないことで、気になっているのがレジ袋の有料化の影響。現段階では子供の在宅効果の伸びが大きくて、正確な分析はできていないが、有料になるとお菓子の売上が落ちるのではないかと考えている。SMではもともと女性たちはマイバッグをもって行く。
ある調査では9割がマイバッグ使用とのこと。CVSでも有料になって、多くの人がレジ袋をもらわないようになった。CVS大手3社のデータでは、レジ袋の辞退率が、有料化で75%前後になったそうだ。そうなると手に持てるだけの物しか買わなくなるだろうということ。袋をもらっていた時には、ついでにちょっとお菓子でも、という買い方が、変わっていくのではないか。
ビールでも、いつも3本買っていた人が、1、2本で良いか、となるなど、CVSのレジ袋の有料化の影響は大きいと私は見ている。それでも、1、2か月も経てば有料袋への抵抗も無くなる、という見方をする人もいるが、どうなるのか。
『菓子食品新聞』10月5日(第5474号)より
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