大坪製菓 こだわりの丸ぼうろをギフト提案
1905年創業の同社は、佐賀銘菓「丸ぼうろ」の伝道師として『丸ぼうろ肥前』をはじめ、動物の焼き印が入った『ふわふわどうぶつボーロカルシウム入り』『緑黄色野菜入りふわふわどうぶつボーロ』などを展開してきた。代表取締役社長の大坪恵介氏は、「どこでもつくれるものではなく、佐賀ならではのお菓子を発信したい!」という思いで地元九州産の原材料にこだわりながら、新しい取り組みにも積極的だ。
2020年の夏から展開している『進物丸ぼうろ 肥前24枚』も、同社が今夏注力する、販促強化の一品である。九州地区に向けた企画で、お盆や帰省する人向けの進物・手土産ギフトになる。現在各量販店への提案を行っていると大坪社長は話す。
基本となる『丸ぼうろ肥前』は、同社の今期イチオシ製品でもある。2016年にANAのファーストクラスに採用された同製品は、佐賀県産と福岡県産の質の高い小麦粉を100%使用するほか、卵は黄身を増量し、水飴に米飴を入れるなど、原材料にこだわる同社のラインアップのなかでも、ひと際付加価値の高いアイテムになる。まさに進物にぴったりの製品だ。風味豊かでくちどけのいいしっとりとした食感が持ち味だと大坪社長は話す。
「国内農産物を使用することは、SDGsの観点からも評価を高める要素になる。それ以上に、できるだけ産地振興に寄与する国内産原材料を使用したい」と考えている大坪社長は、佐賀で活動しているNPO団体を通じて子ども食堂への製品提供を22年から行っている。寄付しているのは、得意先物流センターからの出庫切れ返品で、賞味期限が1カ月以上残っているものだ。フードロス削減にも資する取り組みになるだろう。また、同年から『丸ぼうろ葉隠れ』の包装資材に水性インクの一部を採用。それを包材に明記することで、環境に配慮している企業であることをアピールしている。
原材料やエネルギーコストの高騰、物流問題などの状況への対応としては、量目変更と価格改定の二本柱で取り組んでいる。消費者の反応としては、量目変更については販売数量の減少もなくスムーズに受け入れられているという。価格改定については、改定直後は30%ほど減ったが、半年で10%減にまで復活。小売の反応を含めて、おおむね良好に推移しているという。
「各製品の販売実績を注視しながら、価格改定や規格を見直していく」と、大坪社長は臨機応変に対応していくかまえだ。
ポルトガル語で菓子を意味する“ボーロ”が語源の「丸ぼうろ」は、小麦粉・砂糖・卵を主原料としたシンプルな焼き菓子で、江戸時代には藩や寺院に納められ、現在に至るまで冠婚葬祭用にも用いられてきた佐賀のソウルフード的存在である。同社の商圏は九州中心だったが、ここ10年ほどで全国への出荷が増加している。