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寺沢製菓 事業を集約し高品質を維持する

 1958(昭和33)年8月に会社を設立。以後66年にわたり、チョコレート専業メーカーとして、品質の高い製品を供給し続けてきた。「よりよい菓子の製造を通して地域社会に喜びと楽しみを提供する」という企業理念を掲げ、「誠心誠意」「創意工夫」「継続は力なり」を社訓として、お手頃価格で美味しいチョコレートを提供している。
 同社は、国際基準HACCPに対応すべく、2022年2月に、食品安全の国際規格・JFS-B認定を取得している。OEMチョコレートを中心とした事業体制であるが、強いこだわりを持ったNB製品も多い。
 カカオ相場の高騰とカカオ不足は、同社にも暗い影を落としている。8月末まで、NB製品を一時的にすべて休売した。これは、カカオ豆の問題だけではない。同社のNB製品は基本すべて手詰めで対応しており、そのための人手が必要となるが、その人手不足が解消できない。そのため、カカオ不足と相まって、安定供給が見込めなくなった。こうした状況下であっても、PB製品に関しては、高品質を維持して、供給義務をしっかりと果たしている。
 同社では、カカオ豆不足は、数年続くのではと見ており、カカオの需給バランスが元の状態に戻るには、かなりの時間がかかるだろうと考えている。したがって、カカオをできるだけ使用しないように、使用するチョコレートの量を減らしたり、準チョコレートを用いるなどの対応をして、カカオ分の低い製品を開発していく必要があるとしている。
 こうした考え方を出発点として、現在同社では、NB製品の『ひとくちサイズ ミルクチョコレート』 (写真)を企画している。準チョコレートを使用した製品で、基本的なレシピは変更していない。ココアバターの代用として植物油脂を用いているが、それ以外の成分は変更していない。新製品を社内で試食したところ、試食した社員全員が、異口同音に「これは寺沢のチョコレートだね」と答えており、美味しさと高品質が保たれた製品となっている。


 同社の取手工場がある、茨城県取手市には、工場直売店の「ゆめみ野工房〜ショコラティエ・テラサワ」(第2・第4日曜日営業)や、4年前から開設している通販サイト「Chocolatier TERASAWA」では、チョコレートのテスト販売もでき、新製品の開発にも大いに役立っている。
 同社の寺澤光弘社長は、「これからは、売上至上主義では通用しません。薄利多売に走ることなく、自社の独自性を明確に打ち出していくことが、今後さらに求められます」と力を込めた。


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