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湖池屋 「超付加価値戦略」を掲げスナックの領域を超えていく
2024年3月期は、各種ブランド戦略の進展により、販売数量が大きく伸長したことに加え、価格改定も奏功し、前期比で100億円を超える増収、利益においても大幅増益となった。
主要3ブランドの『湖池屋プライドポテト』『ピュアポテト』『湖池屋ストロング』を中心とした高付加価値戦略を継続し、ポテトチップス業界を活性化し拡大。同社がスナック市場全体を牽引するとともに、同社としてのプレゼンスを高めることに成功した。さらに『ムーチョ』ブランドや『スコーン』など、ロングセラーブランドも引き続き好調であり、それらのブランド力を活かした新製品を含め、新機軸製品による新たな売上基盤づくりにも努めた。
今夏に関しては、「本当に良いものを創り出すには手間暇を惜しまない」という精神により作り上げられている〝日本の神業〟を、ポテトチップスを通じて消費者に届け、日本を盛り上げたいという考えから誕生した『湖池屋プライドポテト 日本の神業』や、同社オリジナルのブランド芋を日本の土壌で育て、究極の美味しさの実現を目指すポテトチップスのプロジェクト『KOIKEYA FARM』等に注力していきたいとしている。
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また、3月に発売した新機軸製品『ランチパイ』は、「こんな製品を待っていた」「本格的な味わいで美味しい」「スナック菓子を超えてきた」等々、発売当初より消費者からの好反応が多数寄せられ、好調なスタートを切っている。同製品についても、より一層の市場定着を推し進めていく考えだ。
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同社も、原材料価格の高騰や光熱費上昇の影響を受けているが、生産・物流の効率化や製品設計の見直し等のコスト削減施策を講じている。具体的には、物流2024問題への対策として、昨年7月より、順次パッケージサイズ・ダンボールサイズの変更を進めており、主力製品を中心に配送効率の改善を図っている。また、4月からは、賞味期限を年月表示に変更することにより、配送・保管・物流の効率化を進めている。
サステナブル・環境に配慮した取り組みとしては、4月に賞味期限の延長を実施した。世間的にも関心の高い、食品ロスの削減に関わる取り組みなので、詳しい内容について、メディアからの問い合わせも来ている。
また、老若男女を問わず、みんなが楽しくSDGsについて学べるアニメーション番組、湖池屋SDGs劇場「サスとテナ」を2021年10月より放映している。現在WebサイトやYouTubeで、シーズン1〜4の全52話を公開しているが、7月からはシーズン5の放映が決定している。これまではBSのみでの放送だったが、シーズン5は地方局での地上波放送も行うので、より多くの人に視聴してもらい、愛される作品になるよう取り組んでいくとしている。
同社では、コロナ禍を経て、消費者の行動や市場動向にも変化が見られ、スナック菓子市場においても「プチ贅沢」や「おつまみ」といった、付加価値のある製品が増えたことで、スナック菓子の食シーンの多様化が進み、需要拡大につながったと考えている。また、直近の物価高により、厳選消費の傾向も高まる中、差別化された価値あるものづくりに支持が集まりつつあるように感じている。
こうした状況を踏まえ、今後は、高付加価値を超える「超付加価値戦略」を掲げて、より〝食〟に近い製品で、スナック菓子の領域を超えて(拡大して)いきたいと、同社は考えている。