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トイレアレコレ・2 続・ぼっとんトイレ
小空間の妙と日めくり
小学生の頃まで住んでいた家のトイレの話のつづき。
トイレという小空間は、特別だと思う。
どんな時でも一人。
四方を壁に囲まれて、落ち着ける場所にもなる。
地震の時にも安全というではないか。
さて、住んでいた家のトイレは、家の一番北側。
昭和っぽい、御不浄という名にふさわしい場所取り。
冬場は寒いし暗い。
ぼっとんなので、匂いだってある。(便器にかぶせる蓋はあったと思うが、かさばるし常用はしてなかったと思う)。
でも、匂いの記憶は、ほとんどない。当時はそれが普通だったからか?
記憶を基に書いた当時のトイレの図・2
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トイレは、引き戸を開けると、左手の隅に手洗いボウルがあった。
今も時々、古い公衆トイレで見るが、蛇口がなく、水の出るシャワー状の中心部に棒状の突起があって、手のひらで下から押すと水が一定時間出てくる。
使い勝手は良くないので、そこはほぼ使われていなかった。
便器は一段上がったところにあり、しゃがむと目の前に来るところに父が棚を作り、そこにメモ帳や筆記用具、そして、本や漫画を並べていた。
長時間滞在おっけ!だが、しゃがみスタイル故、足がしびれて大変なことになるので、限度はあった。(腹痛で籠ったあとも、立ち上がるのが大変)
壁の日めくりカレンダーの係は、父の任命により、いつからか、わたしの仕事になった。
あの、独特の薄紙を毎日、ビリリと破く。
切り離しには、ちょっとした注意が必要だ。
毎日境目ぴったり、まっすぐに破かないと、切り離しのラインが下側へ移動し、翌日もそのラインが基準線になってしまう。
それが続くと、境目自体が、下へ動いて行って、数字部分を侵略しはじめるのだ。
一日で役目を終えるその紙を破るのは、ささやかなのだが、重要なことにも思えた。そして、なんだか、楽しかった。
家族の誕生日や、区切りの日、夏休み開始とかには、そこに一言添えたりした。
(ちなみに、前の棚のメモ帳にも、お知らせなど書いておくと、否が応でも目に入るしくみだ。短いメッセージのやりとりもあったかもしれない)
やがて大晦日、365枚あったカレンダーが最後の一枚になると、一仕事終えた気分が味わえ、次いで、新しいカレンダーが、新春気分を盛り上げた。
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