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娘に息継ぎを教えるの巻・4(完)

力を抜けば、開くドア


中二の娘に、しょうがないのでクロールの息継ぎを教えることになった。

プール前夜の話の前回↓


そして翌朝8時すぎに、わたしたちはプールサイドにいた。


さて、息継ぎにしても泳ぎにしても腕の動きが重要に思ったわたし。

腕の動きがしっかりできれば、進みも早くなり、結果息継ぎの回数を減らせる。
ということで、まずは、昨夜のことを思い出させつつ、水中を歩きながら腕の掻きのみの練習をする。
そこから徐々にやることを加えていき、最後は泳ぎながらの息継ぎにチャレンジの流れ。

しかし、色々無理目。

言葉による説明では限界があるので、最初は腕を持って動きを体感させてから、自分でやるようにする。

しかし。

全然やってること変わらないの、なんでやねん!
なんで自己流を貫こうとするねん!


ところで、娘は赤ちゃんの頃からお風呂に気持ちよさそうに入っていたのだが、三つ子の魂なんとやらで、今もお風呂に浸かるのが好きだし、水の中にいることは楽しい様子。

娘本人も、だからこそ、泳げたらいいだろうな~とも思うとのことだった。
気持ちはわかるぞ。うん。

だったら、もう少し本気見せてくれ!



が、同じことを何度も指摘して、でも修正されないってのを繰り返すと、もう言うことないしって感じで、苛立ちの波がひたひたとやってくる。

小学生ならまだしも、若干周りの目も気になる。


ということで、後は自分でやってみなと、少し離れたところで自分も泳いだりしつつ、一度の休憩を挟み、小学校低学年の親子も増えてきた9時すぎに進歩の実感はないまま、プールを後にした。

まあ、一日でできるとは思ってなかったが。


そして、帰路では「お疲れ!わたしたち」とばかりシャトレーゼでお菓子をたくさん購入したのだった。


ところで、中学生の自分の子供に何かを教える時、いつも穏やかでいられる人っているのかなあと思う。

いや、いるんだとは思うケド。(呑み込みが早ければいいんだろうケド)

わたしは無理

わかってるんだよ、声を大きくしたからできるようになるわけじゃないのは。(と、娘にもこぼしたことある)
せめて、緊張感や切迫感は、UPしてほしいんだけど…それもなさげで、ついもともとデカイ声が、さらに腹からのものに。

まあ、暖簾に腕押し状態なので、一周回って自分のエネルギーが無駄になっていることに気が付いて、もういいわ…と自ら撤退みたいなパターンも多い。(それも、娘は見ているわけで…)



さて、初日はそんな感じだったが、感覚を保つため間を置かずに練習をしたほうがベターと思っていたので、翌朝もプールへ。


前日と同じようなことを同じような調子で繰り返す。
やはり首を上に上げる息継ぎで、逆に苦しくなってすぐに立ってしまう状態。
なんとか二回の息継ぎで、距離も15m行かないくらいが限界。

思うに、教えるのにも限界あるし、結局は自分で体得するしかないんじゃないかと。


そんなわけで、その後は、わたしはフリースペースではなく、泳ぎ用コースで泳いだり、遠目で見ていたりしていた。

一度一緒に休憩をとり、疲れたよね、もう少しやったら終わりにしようと、再度水に入った。


二人並んで立ち、「じゃあ、行ってきな~」と娘を送り出し、様子を見る。


すると、なんだか息継ぎが良い感じではないか。
泳ぎにゆとりがあり、首も上がらず乱れない。
進みも早く、あれよあれよで15mを越える。


え? え?!  ちょっと待った!

と娘を見ながら慌てて追う。

まさかまさか。でも、さすがにねえ。

あ、ウォーキングおじさんが行く手に…ううむ、立ってしまうかなあ……。
惜しいな…。


と。
娘、軽くカーブしてよけて、泳ぎ続けてる。

お!! マジで?!
やるじゃん!

残り5m。
ここまできたら、必死でいきつけ~!!


あと少し!!


そして、なんと対岸へ到着!!

なんか、突然でびっくり。

でも、やった!


娘に追いつき、
「すごいじゃん!できたじゃん! 泳ぎ、きれいだったよ!」
と言う。


娘も、なんかできちゃった…という様子なのが、おかしい。


こうして初25m完泳が成されたのであった。


後で聞くと、「もう今日は最後だし、いいやって力を抜いたらなんかできた」と言う。

続けてもう一回!とやったが、さすがに疲れもあって、立ってしまった。

でも、力を抜いたらできたという感覚を本人が掴めたのが、デカい

その感覚を忘れないうちにと、もちろん翌日も行きましたとも。

そして、複数回できたため、25m出来たと完全認定!!

鬼コーチのお墨付きだ!
でも、鬼コーチの意味があったのかも正直よくわからない…。



ところで、今回のキーワードは「力を抜く」だ。

力は入れるだけじゃなく、抜くのも大切。

その方が上手くいく場合もある…。

それを目の前で見せてくれた娘。

そういうことって、わかってても忘れてしまう。
だから、これからも、思い出させてほしいと思う未熟な親である。



※見出し写真は4つ分繋げると一枚になる安土城跡に行ったときのもの。


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