おばさんの役回り・2
はまり役?
転んでしまった女の子、問いかけにも無言だが・・。
前回↓
でも、何かされるのが嫌な様子ではないし、目が、わたしを頼っているように見えなくもない。
ということで、進めることにした。
「じゃあ、ウエットティッシュあるから、それで消毒するね」
とガサゴソ。
「ちょっとしみるかな」と言いながら軽くふいて、今度は財布をガサゴソして、いざという時用に、長期保管されている絆創膏を出す。
そう! 今を「いざ」といわずして、何をか言わんや。
絆創膏は安いものを買っている。
それで十分なのだが、回転率の低い財布のそれは、包んでいる紙&ノリが劣化して、ぱっと見から古びていた。
包み紙もちょっと触れただけで、ぱらりと取れて、取り出し簡単・・。
「ちょっとボロいね。でも大丈夫」とか、つい言ってしまう自分。
それでも、無事に絆創膏を貼り終えて、「これで大丈夫だから」などと、言いながらレギンスを下げ、立ち上がり終了かと思いきや。
女の子の動きがない。
と、女の子、今度は、じっと手を見るの図。
ということで、どれどれと見ると、片方の手も擦りむけていた。
「手も擦りむいちゃったね。血はでてないけど、絆創膏貼ろうか?」にもまた無言。
なので、同様に、消毒、貼り付けを進める。
ささッと終えて、「よし、これで大丈夫だね」と言った後、「どこかに出かけるのかな? それともおうちに帰るところかな?」と聞いてみる。
すると、異口同音に「これから家に帰ります」とのこと。
お、初めて声を聴いた。落ち着いたかな。
「そうか、それなら、大丈夫だね。気を付けて帰ってね」
と言うと、二人一緒にまっすぐ私の顔をみて、
「ありがとうございました」と言ってくれた。
こんなよいおばさんの役、なかなか、回ってこないぞと、小さな喜びを噛みしめる秋の日。
そういえば、娘、小学校高学年の頃、帰りの校門付近で、花壇の上からジャンプ降りして、失敗。
膝に結構な擦り傷を負って帰ってきたことがあった。
現場での友達の「大丈夫?」には、大丈夫と言い続け、帰路につき、玄関ドアを開けたわたしの顔を見たとたん、号泣。
同じように消毒し、絆創膏を貼ったことを思い出した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?