定年を延ばすのに早期退職も募るなんて?――定年延長と希望退職のリアル
【このnoteのポイント】
最近、ホンダが定年制を一部廃止し、65歳以上でも働けるようにする施策を発表
日本全体では定年延長の流れがある一方で、早期退職・希望退職を募る企業も増えている
バブル世代と氷河期世代の人員構成の歪みが、人事施策を複雑化している
■また定年延長のニュース
こんにちは、おかさんです。今回は企業の定年に関するニュースについてお話ししたいと思います。2025年1月17日に「ホンダが定年制を一部廃止して、65歳以上の就労を可能にする」というニュースが出ました。2025年6月から導入されるとのことで、すでに導入していた選択定年制(60歳から65歳まで任意の年齢で定年を延長できる制度)をさらに進める形になるようです。
日本では少子高齢化もあって、定年を60歳以上に引き上げる流れが加速しています。そんな中、ホンダさんは65歳以上に実質対応できるような施策を先取りして導入する、というわけですね。
■人手不足と定年延長
この背景は、やはり人手不足でしょう。特に製造業では求人が厳しく、既に働いている従業員に長く勤めてもらう方向にシフトしようとしているんですよね。
一方で、早期退職や希望退職を募る動きも並行して進んでいます。たとえば2024年は国内で希望退職の募集が1万人を超え、過去最高を記録したというニュースがありました。実は私自身もその一人で、定年の1年前に会社を辞めることになりました。
■「人手不足なのに早期退職?」という疑問
「人手不足で従業員を確保したいなら、なぜ早期退職を募るのか?」と、これだけ聞くと矛盾しているように見えます。でも私は、大きく3つの理由があるんじゃないかと考えています。
1. 定年延長の原資を確保するため
従業員に長く働いてもらうほど、企業としては人件費がかかります。その原資をどこから出すかというと、一定の人には退職してもらい、人件費を削減して、延長する分のコストを捻出するわけです。
2. 若手採用や初任給アップのため
新卒や若手を採るためには初任給を上げざるを得ない時代になっています。月30万円を超えるような企業も珍しくなくなってきていますから、そのための財源を確保するためにも、早期退職を募って固定費を抑えようとしているのではないか、と思うのです。
3. バブル世代と氷河期世代の人員構成の歪み
バブル期に大量採用された世代が今ちょうど定年を迎えていて、一方でその後の就職氷河期世代は採用を大幅に絞っていたため、社内の年齢バランスがいびつになっています。比較的高い人件費がかかるバブル世代が多い一方、次の世代が手薄。その歪みを解消する過渡期の施策として、早期退職と定年延長が同時に行われているというわけですね。
■私自身の経験
私もいわゆるバブル入社組(1990年入社)です。この世代の採用がものすごく多く、「人員構成の歪み」がずっと課題だと言われていました。私はちょうど定年前に希望退職で辞めましたが、同時に事業の再構築が始まりました。おそらくリストラが完了し次第定年延長をちゃんと整えて、必要な人には長く働いてもらうという形になるんじゃないかなと想像しています。
■ホンダのケース:技能重視の定年制廃止
ホンダさんの場合は「特に高い技能や技術を持つ一部の従業員」に対して定年を廃止する、という内容が報道されていました。つまり、誰でも一律に65歳を超えて働けるわけではなく、企業として本当に必要なスキルを持つ人に限って、本人が望むまで働けるようにするという流れですね。人手不足の中でも即戦力として活躍できる人には残ってもらい、あとは若手や新卒を採用して会社を回していく、ということだと思います。
■まとめとして
人手不足だからといって「全員そのまま残して、全員が65歳以上まで働く」という単純な話にはなっていません。早期退職も実施しつつ、一方で専門性の高い人には長く働いてもらう。浮いた人件費で若手の初任給を上げ、新たに人材を確保する。そうやって企業は人事構成の最適化を図っているわけです。
私たち個人としては、自分がどういう立場で、どういうスキルを発揮できるのかを見極めていくことが大事なのかもしれません。というわけで、今日は「定年延長が進む中で、なぜ早期退職も増えているのか?」というテーマを取り上げてみました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
定年延長と早期退職の同時進行には「人件費再配分」「若手採用強化」「人員構成の歪み解消」という背景がありそう
高スキル人材には65歳超でも働いてもらい、新卒や若手の賃金アップに備えるという企業の戦略
個人としては、自分の専門性やキャリアの方向性を常に意識して、柔軟に対応していく必要がある