波照間【忘れられない旅】
2023年2月末、3泊4日で初めての一人旅へ行った。目的地は八重山諸島。
初めての一人旅ということもあり、興奮と緊張が混じった感情は今でも忘れない。
4日間で石垣島,竹富島,波照間島と3つの島を巡ったが、今回は波照間島の話をしようと思う。石垣島や西表島に比べると少しマイナーな島だろうし、実際のところ旅程を立てている中で初めて知った。
石垣島から高速船で1時間半ほど南西に進んだところにある人口500人ほどの小さな島だ。島の人の多くはキビ農家か民宿をやっている。
この島でやることは大きく2つ。
1つ目はニシハマで波照間ブルーを眺めることだ。見出し画像がまさにそれだ。沖へ行くほど濃くなる透き通った海は誰もが見惚れるだろう。
2つ目は最南端へ行くことだ。有人島として民間人が到達できる最南端が波照間島だ。そんな最南端の島の最南端。特段何かがあるわけではないが、目の前に広がる海を見ると達成感が湧いてくる。
あとはまぁ、星を見たり泡波を買ったりそんなところだ。
これだけなら多くの観光客と同じ経験である(もちろん大変魅力的だ)。
忘れられない旅となったのはここから先の話だ。
訪問した2月はキビ刈りのハイシーズン。予約していた民宿のオーナーもキビ農家であった。
「キビ刈りが忙しいから夕食用意できない」と電話が来た。そんなことあるのかと思いながら、おすすめしてもらった島の居酒屋へ。沖縄料理や創作料理と泡波を楽しみ気分上々で民宿に戻ると、キビ刈りを終えた島の人たちがゆんたくをしていた。
ゆんたくに混ぜてもらい、島の方7人と観光客の大学生1人という変な状況。八重山の方言を勉強していなかったため何を話しているかほとんどわからなかったが、楽しかった。話をするのが楽しいというよりお酒と料理を囲んでワイワイ盛り上がっている空間が楽しかった。
ここまでで十分記憶に残る珍しい経験だと思う。がしかし、これでは終わらない。「キビ刈りをしてみないか」と誘われた。元々興味があったのとお酒の勢いとで、是非とお願いした。
翌日朝からキビ刈りをやらせてもらった。見様見真似で黙々とキビを刈っていく。上手い下手も分からないが、夢中になって作業していた。帰りの船の時間もあったため2時間ほどだが、大変貴重な経験ができた。おそらく観光で波照間に行き、キビ刈りをした人はいないだろう。
これが大好きな波照間の忘れられない旅の思い出である。
この旅以降、旅先での一期一会を大切にするよう心がけている。ふとしたところで思わぬ経験が出来るかもしれない、貴重な話が聞けるかもしれない。こんな旅を今後もしていきたいものだ。
こうして旅行記録を文字に起こしてみると、思い出が色鮮やかに甦ってくる気がする。海の青さに陽の暖かさ、サトウキビの匂い、泡波の味..この思い出が共有できるよう、次は誰かと一緒に行きたい。