着物の伝統と未来を語る-きもの語り-vol.2 (前編)「甲子園から江戸小紋へ 江紋屋 代表 三田村浩幸氏」
日本全国には、その土地の風土から生まれた工芸品、文化が数多にあります。そんな工芸品・文化を継承し、新たな挑戦を続ける方と弊社博多織元5代目社主 岡野博一の対談をお届けします。
この大好評(自称)シリーズ!の第2弾は、江戸小紋メーカー「江紋屋」代表の三田村浩幸氏にお話しを伺いました。
江戸小紋とは
遠目には無地に見えるほどのごく小さな柄を、型染めで染め上げた小紋。
江戸時代に武士が着用していた裃(かみしも)がルーツ。江戸小紋の柄の中には各藩が定めた「定め小紋」があり、中でも「五役」と呼ばれる、「鮫・行儀・通し・万筋・大小霰」は別格。
■20代で出会い
岡野: ミタちゃん今日はありがとう!
出会ったのはもう25年以上前だね。
三田村さん:そうですね。お互い20代前半で、僕は都内の呉服屋で修行、岡野君はまったく別の分野で起業して、仕事をしてましたね。
↑博多織元 OKANO5代目社主 岡野博一
■甲子園球児から江戸小紋の世界へ
岡野:ミタちゃんって言えば、「甲子園球児」だね!
三田村さん:長嶋茂雄の引退した年に僕は生まれて、幼稚園の頃から野球を始めました。中学も野球部で、そこから帝京高校から声がかかりまして。
岡野:流石だね。ポジションはどこだったの?
三田村さん:エースで四番
岡野:エースで四番!?すごいな!!
あ、でも帝京高校は全国のエースで四番が集まるような高校だもんね。
三田村さん:新入部員の8割はエースで4番でした。
岡野:そこでミタちゃんは、甲子園に2年生選抜大会から3年生夏の大会まで4大会連続レギュラー出場。3年生選抜春の大会では全国優勝キャプテン!
誰もが驚く経歴の持ち主だけど、どうして江戸小紋の世界に?
三田村さん:野球をしていた子どもの頃から、父親が着物に関わる仕事をしていたのは知っていたけど、実は江戸小紋のメーカーだってことは知らなかったんです。
大学で肩を壊してしまって、次の進路って時に、大手スポーツメーカーからのオファーもあったんだけど、
その時はじめて父親から「継いで欲しい」って話があって。それでまずは、外で修行へ。
岡野:その修行の時に僕と出会ったんだね。
三田村さん:そうです、中華料理屋のランチで!笑
↑江紋屋オリジナル江戸小紋
■今のOKANOがあるのはミタちゃんのおかげ
岡野:そのあと、反物の巻き方もミタちゃんに教えてもらってね。
三田村さん:僕は江戸小紋、岡野さんは博多織、いつか一緒に何かできたらいいねって。
岡野:この出会いがなかったら今のOKANOはなかったよ、本当に。
最初は、おんぶに抱っこで様々なことをミタちゃんに教えてもらってね。
今のOKANO があるのはミタちゃんのおかげ!
三田村さん:江戸小紋って、名古屋帯を合わせてカジュアルに、袋帯を合わせてフォーマルに、幅広いシーンのコーディネートを提案できるから。
岡野:そう!だから、江紋屋さんと一緒に全国を巡り、
江戸小紋と一緒に、OKANO の「博多織の名古屋」から「佐賀錦織の袋帯」を提案できる機会は本当にありがたかった。
↑江紋屋の江戸小紋にOKANOの博多名古屋帯
岡野:岡野も昔は1メーカーとして、問屋に納めるだけだったから、着物ユーザー、お客様の声を直接聞ける機会がなかったんだよね。でも、ミタちゃんと一緒に全国を周り、着物好きの方々の生の声を聞けることで、OKANO も成長することができたよ。
↑雪輪の地紋が入った生地に、万筋を染めた江戸小紋
三田村さん:今では、博多と東京に直営店を持つにまでになりましたね。
岡野:自社で制作して、直営店で紹介する。
このスタイルにたどり着けたのも、ミタちゃん、江紋屋さんの存在のおかげだよ。
ミタちゃんの銅像をつくってお店の前に飾らないとね!笑
三田村さん:笑笑笑
2人の楽しい対談(お2人とも、ちょこちょこボケます)はまだまだ続きます。
次回予告「江戸小紋はミタちゃんが守っていたセンターぐらい守備範囲が広い!?」
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【 江戸小紋フェア 】
2021年8月27日(金)~30日(月)の4日間、OKANOアークヒルズ店にて江紋屋さんの江戸小紋をご紹介します。
そして、8月29日(日)15時より、三田村さんによる江戸小紋講座をおこないます。※残り席わずか
ぜひ、ご予約のうえお越しくださませ。
ご予約、詳細はこちら
東京染江戸小紋総合プロデュース 江紋屋
代表取締役 三田村浩幸氏
1974年生まれ 高校時代 名門 帝京高校で甲子園出場
全国にて江戸小紋コーディネーターとして活躍中
好きなビールはスーパードライ
岡野博一
伝統的工芸品、博多織の織元5代目。
博多織をルーツとするOKANOを六本木アークヒルズ、博多リバレインモールに出店。日本の伝統工芸を世界ブランド化するために精力的な取り組みを続けている。
構成/文 指首太志
1990年生まれ 着物業界5年目
大学院で貧困と教育について研究し、卒業後はインドネシア、台湾で教育支援活動をおこなう。海外で生活する中で日本の文化に興味を持ち、中でも着物に強く関心を持つ。帰国後、都内の着物屋を30店舗ほどまわり、博多織の織元OKANOに出会い、入社。仕事でもプライベートでも着物、1年の350日は着物で過ごす。
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