見出し画像

米国経済本当に弱い?Ⅴ ー 「米国例外主義」は本当か?

 米国経済本当に弱い?Ⅳ ー 「金余り」はいつになったら解消するの?|損切丸 からの続編

 ”米国例外主義”(American Exceptionalism)

 最近こういう言葉がクローズアップされている。簡単に言えば「アメリカ一人勝ち」という意味だが、次期大統領の ”Make America Great Again" (MAGA)の裏返しとも言えよう。今週発表になるISM指数や雇用統計 ↓ で確認していく事になるが、これは "FACT" (事実)なのだろうか?

1/3 12月米ISM製造業PMI 49.3 予想 48.1 前月 48.4
 *雇用 45.3 予想 46.7 前月 48.1
 *新規受注 52.5 予想 46.6 前月 50.4
 *仕入価格 52.5 予想 51.9 前月 50.3

1/7 12月米ISM非製造業PMI  予想 52.1 前月 52.1
 *雇用 予想 51.2 前月 51.5
 *新規受注 予想 54.2 前月 53.7
 *仕入価格 予想 57.7 前月 58.2

1/8 ADB非農業部門雇用者数(NFP、Non-farm Payrolls)
 予想 +12万人 前月 +14.6万人

1/10 12月米雇用統計: 失業率 % 予想 4.3% 前月 4.2% 
 NFP
 予想 +21万人 前月 +22.7万人
 平均時給(前年比) 予想 +4.1% 前月 +4.0%
 労働参加率 予想 62.6% 前月 62.5%

 株式市場の時価総額はアメリカが他国を圧するダントツの1位。確かに ”例外” だ。「主要通貨ドル」を基軸に「お金」はアメリカに集中している

 だが筆者は 「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?|損切丸 的な視点で捉えている。象徴的なのは「米中対立」。中長期的に見れば世界は「鎖国」≓「ブロック経済」に向かっている。その結果起きているのが現在の「インフレ」

 参照:2020.4(5年前) コロナ後の世界 Ⅱ - これから起こりそうなこと。|損切丸

 「コロナ前」まではグローリゼーション(Globalizaition)の御旗の元、企業群は人件費や税金の安い国に工場や拠点を作り効率的にモノ・サービスを提供してきた。その最たる国が14億人もの人口を有する中国であり「世界の工場」として安価な製品を世界中に供給。世界は20年近く「低金利・低価格」の恩恵を享受してきた

 だがその中国がアメリカの覇権を奪おうと牙を剥き始めてから状況は一変。世界は非効率化 ≓ 反グローリゼーションに180度反転してしまった。その象徴がMAGA「コロナ危機」≓「パンデミック」に強い "独裁国家" がそれを "武器" に攻勢をかけたことが拍車をかけた

 だがこれは「アメリカ」だけの話では無い中国も電気自動車等を中心に「内製化」に着手しており、こちらも「鎖国」に向かう。大体「お金持ち」はわがまま(苦笑)。ヨーロッパで移民排斥などを主張する極右政党が躍進しているのも同じ流れだ

 MAGAは非効率化 ≓ 反グローリゼーション≓「インフレ」を加速する。だから世界中の国債市場で長期金利の反騰が始まっている。

 結論: 続・「インフレ」は死んではいない ー 「国債市場の逆襲」が始まる|損切丸

 私見になるが例え日銀が+2%「利上げ」しても日経平均は@5万円を目指す展開になると想定している(超強気?)。「通貨安」の国で株価や不動産の名目価格は上がるのが定石だからだ

 こうなるとほとんどの物資を輸入に頼っている「日本」は生き残りが大変になる。「円安」はまさに死活問題。その中でも焦点になるのが電力等の「エネルギー問題」と「デジタル赤字」だろう

 政府も対策を練っていない訳では無い。例えばクラウドサービスの「内製化」がそうだが、そうなると鉄鋼会社の合併にはあれだけ理不尽な対応をしたのに "Great な国" は黙っていないだろう。まあ過去にも「COCOM違反」等々理不尽な難癖はこれが初めてではなく、古株の官僚の中には苦々しく思っている向きも少なく無かろう。やはり「お金持ち」はわがまま。お隣の独裁大国に阿るのもどうかと思うがMAGA一辺倒も危うい

 「エネルギー問題」はもっと根が深い。福島県生まれだから主張する訳では無いが、原発は苛烈事故などによる復旧(あるいは防災)コストが莫大すぎて採算に合わない地震の多いこの国では尚更だ。経産省を中心に再稼働を煽っているのはそれだけ「利権」が大きいからだろう。産業界がゴチャゴチャ文句を言ってきそうだから全廃は無理にしても、他の電源や「蓄電池」の開発等でバランスを取っていくしかなかろう

 まあこれらの「鎖国」現象は 繰り返される「お金の戦争」- 世界は繋がっている|損切丸 の一部とも捉えられる。資源の無いこの国はどう戦っていくのか。こうなると「関税」で輸出企業の利益を台無しにされる「円安」は百害あって一利なし日銀・財務省はこれをどう考えるか国債の金利負担ばかり気にしていると大局を見誤る事になる。「損切丸」ごときに言われるまでもなく優秀な官僚は判っていると期待したいが…

いいなと思ったら応援しよう!