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続・「金利」は「投資」の最大のライバル

 「金利」は「投資」の最大のライバル|損切丸 からの続編

  金利相場は動き出すと速い。特に「金利上昇」相場は時に暴力的になりがち昨年までのFRBの「利上げ」局面がまさにそうで銀行や企業が潰れたりする。昨日(10/21)のように材料がない中で売られる時は「損切り」のきっかけを掴めず傷が深くなるから要注意

 一時ターミナルレート(利下げの到達点)が@3%以下まで突っ込んでいた米国債相場は急反落11月FOMCでの▼0.25%はかろうじて織込んでいるが政策金利が@4%以下になるかどうかはかなり怪しくなってきた

 これはECBも同じ。せっかく▼0.25%「利下げ」して11月も連続で下げようと意気揚々だったが完全に腰を折られた。「利下げ」をすれば「金利」が下がるとは限らない

 「金利上昇」のキーワードは3つ:

 1.金融政策
 文字通り「利上げ」「利下げ」の展開を市場が先読みする。欧米とも「逆イールド」でかなりの「利下げ」を織込んできたため、その期待が剥落すると反動も大きくなる。 ”利下げなら国債は買い” と思い込んでいる日本の市場関係者も多いがとんでもない誤解。トルコではないが「インフレに利下げ」なんかしたら市場の反乱にあう(減税も同じ)

 2.資金繰り 
 
やっと関連記事が出てきたが@4%台の米国債の金利負担は凄まじい複利で考えれば 「金利」@5%の威力|損切丸 5年で元金の@▼28%(累積ベース)、10年なら@▼64%もの利払いが発生する。@10%ならそれぞれ@▼64%@▼168%だ 

 このジワジワやられるのが「金利」の怖い所「複利効果」は@5%ぐらいから急激に効いてくる。まるで毒薬を徐々に盛られて弱っていくように、国も個人も企業も金利で「お金」をむしり取られ「資金繰り」に窮する資金調達圧力の高まりは「金利上昇」に直結金利の高い英米はさぞ台所事情が大変だろうが、だからこそ財政規律が保たれ無駄使いが出来なくなるこの対極にあるのが日本だが、その「資金繰り」も大分怪しくなってきた

 3.リアルマネー(金利投資家)
 年金や保険会社など、いわゆるキャッシュリッチ(Cash Rich)≓「お金持ち」の一群は「金利」を中心としたポートフォリオを運用している。 ”金持ち喧嘩せず” ではないが、リアルマネーは無理してリスクを取るより固定収入(Fixed Income)指向が強い

  では現状の米国債は魅力的かといえば 「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる! ー 日銀の「ターミナルレート」は?|損切丸 が正直なところ。持続的な「インフレ」を考慮すれば@4%割れはガンガン買いにいけない。一方@5%超えは運用側にとっては「複利効果」が見込めるため10年@4.2%、30年@4.5%の動きは注視し始めたはず。同じ観点から欧州国債はもっと魅力が低く、@3%にも満たないJGBなど論外「円安」も問題だ

 ↑ 2.資金繰りは行き着くところ「デフォルト」(倒産・破綻)リスクであり、この3要素にFX(外国為替)を加味して金利相場は動く。*「通貨安」「インフレ」は「金利」同様「お金」をむしり取っていくため、必ずしも「低金利」が有利な訳ではない。それを証明しているのが「円安」

 *「通貨安」「デフォルト」(倒産・破綻)リスクに瀕しているトルコ、アルゼンチン、レバノンなどは通貨防衛のための「利上げ」を余儀なくされ「高金利」「通貨安」「ハイパーインフレ」の3重苦。 アルゼンチンが示唆する「日本の未来」|損切丸 もよくよく考えた方がいい

 「損切丸」は過去に大分痛い目にあった苦い経験から 続・「本物の危機」の時、金利は上昇する。ー 「逃げ惑うお金」の帰結は?|損切丸 を真剣に憂慮している。とにかく売りが止まらなくなった国債相場ほど怖ろしいものはない。特に ”赤信号みんなで渡れば怖くない" で一斉に同じ方向を向く日本人は怖い「理論値」や「割高」「割安」を度外視して "上" の命令に従ってひたすら売ってくる本邦金融機関はまるで "軍隊" 欧米の投資家やファンドには理解不能で、筆者も説明に随分苦労した(苦笑)

 ±20円単位で上下動する「ドル円」が象徴的だが、AI相場が相場を加速させる効果を加味すると今後の相場は想定が難しい。このまま米国債金利が上昇し続ければ「株」から「金利」へマネーシフトが起きる可能性も高まる日銀が「利上げ」を先延ばしにすればするほど「円安」もぶり返すだろう。今日(10/22)もそうだが、そうなると「円安」→「日経平均高」の経験則も役に立たない。3.リアルマネー ↑ の動きが鍵になる

 しかしあっという間に@151円もう勘弁…。そう思うのは筆者だけではあるまい。前稿 続・「東京」は別世界? ー やって来るか「日本の時代」|損切丸 でも書いたが日本のクオリティーに疑いの余地がない。そんなに政治に忖度ばかりしないで ”王道” を歩めば十分復活できる素地は整っている。 "痛み" は不可避だが、もうアメリカが、ヨーロッパが、とか言うのは止めてこの国も「自立の道」を歩むべき時に来ている。JGB市場の「スティープニング」がその事を示唆している



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