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押し寄せる「利下げ」の "波" Ⅲ ー どうなる? 世界債務312兆ドルの行方

 押し寄せる「利下げ」の "波" |損切丸 (note.com)
 続・押し寄せる「利下げ」の "波" ー だが長期国債の「需給」は...|損切丸 (note.com) の続編

 国際金融協会(IIF)「グローバル債務モニター報告書」
 ”世界の債務残高は今年6月末時点で312兆ドルと過去最高になった。米国と中国での借入れ増加が全体を押し上げ、昨年末時点より▼2.1兆ドル増
 ”政府の債務残高は今年6月末時点で▼92兆ドル2030年までに▼145兆ドル、2050年までに▼440兆ドルを超えると警鐘を鳴らした。「気候変動問題」によるエネルギー転換によって債務残高は押し上げられ、2050年までに見込まれる増加分の3分の1超を占める”

 「利下げ」+準備預金率引き下げ(実質+25兆円相当の量的緩和)で金融緩和に踏み切った中国に続け!とばかりにスウェーデン、スイスが相次いで▼0.25%「利下げ」ECBもこれに続きそうな気配が濃厚だ。それだけユーロ圏内の景気が悪い証拠でもあり、対ユーロでスイスフラン高傾向が続き( ↑ 標題チャート)SNB(スイス中央銀行)を動かした

 景気減速に伴う株価下落を防ぎたいのは中国も欧州も一緒

 これと対比するように対ユーロでも「円安」が続く日本。こちらは欧中ほど景気は悪くなく日銀は「利上げ」を模索中。それにしてもこの「円安」、やはり尋常ではないGDP比で圧倒的な「巨額借金」=JGB発行をし、非常に安い「実質金利」で「円」をばらまいている結果に他ならない「利上げ」「QT」(量的引締)等、適切な対策を進めなければ年初同様、まるで伸びたゴムが戻るように「円安」が再開してしまうだろう

 日本に限らず世界中で「借金」=「債務」は年間▼1兆ドル単位で膨張を続けており、その額、世界全体で何と▼312兆ドル≓▼4.5京円*これでは「お金」の価値が上がるはずがない、即ち「インフレ」

 日米欧中でその半分以上を占めるが、この「大借金」一体どうするのか

 *政府債務増加分の3分の1超を「気候変動問題」が占めるというが、言い換えればそれだけコストが嵩むという事、即ち色々なモノの値段が上がる=「インフレ」「債務」という観点から俯瞰すれば、残念ながら「物価」はこれからも下がらない1点気になっているのが@70ドルを割り込んだWTI(NY下入先物)だが、これでリセッション(景気後退)入りすれば「スタグフレーション」(景気後退下の物価上昇)の可能性が濃厚。ちなみに「スタグフレーション」の正しい対処方は「利下げ」ではなく「利上げ」トルコがそれを証明している

  「金」(GOLD)やビットコイン(BTC)が買われるのも「法定通貨」の価値が毀損しているから。だから「金利」は高くならぜるを得ない。筆者が 「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる! ー 日銀の「ターミナルレート」は?|損切丸 (note.com) と主張する根拠がそこにある

 確かにFRBは「ゼロ金利」から@5.25%まで急激に「利上げ」し「インフレ」抑制に動いたECBも然り。だが「量」に着目すればFRBは▼2兆ドル余りを引き揚げたただけで、日銀に至っては「国債無制限指値オペ」で減るどころか増えてしまった金利コストを上げて物価は抑制されたが、根本的な「金余り」はほとんど解消されていない。これでは「インフレ」≓ 通貨価値の下落は止まらない

 そんな事は日米欧の政府は百も承知。だが悲しいかな、どこもかしこも「選挙」だらけで "ポピュリズム" に流されがち「減税」「利下げ」「財政出動」等々、「インフレ」を助長する政策が人気を博す。景気減速(後退)などもっての外。生活苦に喘ぐ選挙民が刹那的と判っていても目の前の「お金」に飛びつくのは万国共通だ

 だが遠巻きにこの情景を眺めている「お金持ち」の視点は全く違う。これだけ「インフレ」が明確なら資産防衛のために然るべく手を打ってくる

 まず「現金」「預金」を含めた国債等の「金利資産」は付利されている「金利」が十分かどうかを吟味の上「投資」に動く

 では「株」や「不動産」が盤石かというとさにあらず前倒しで「インフレ」を織込んできた分 "割高" という指摘もあり、これは「金利」との兼ね合いになる。「損切丸」同様「スティープニング」(長期>短期金利の傾斜化)を見込むなら、金利上昇に伴う資産価格の下落局面に備えるため一時的に手元資金を増やすという選択肢も取り得る。あとは「金利」が十分に高くなるまで ”引きつけて” 「金利資産」に「投資」する事も可能だ

 いずれにしても今後重要な「ヒント」は「金利」が発する。その中でも最大の市場が米国債、そしてJGB(日本国債)だ。特に「イールドカーブ」から発せられる情報は重要で資産マーケット間の「お金」の動きを示唆する

 今も「お金持ち」の気持ちになってマーケットを見つめているが、どれだけ彼らと "同化" できるか。今後も「選挙」絡みでドタバタしそうだが、 "ポピュリズム" の蔓延る「政治」とは少し距離をとって客観視していきたい。あくまで冷静に。それが "巻き込まれ事故" を防ぐための最善の策でもある

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