”狼少年” 化する「FRBの利下げ」。ー ビットコイン等 ”煽り運転” も縮小へ。
" The boy who cried Wolf." (狼少年)
ご存知イソップ童話の有名な「嘘をつく子供」(邦題)。「狼が来た!」と嘘をついて騒ぎを起こす羊飼いの少年の話だが、今マーケットでは「FRBの利下げ」が ”狼少年” 化している。
PMIが弱かったとか色々書いているメディアもあるが、昨日(8/23)米国債の強烈な買い戻しが始まったのはアジア時間から欧州時間にかけて。 ”後講釈” としてはちょっと無理がある。
10~30年債で▼0.10%も金利が低下するのはドル円に例えるなら▼1~2円動くぐらいのインパクト。投資家やトレーダーの単純な売買というよりも中長期目的で仕込まれた「2年買+10年売」「5年買+30年売」のようなイールドカーブの「スティープニング」(傾斜化)取引の巻き戻しが主因。このところ米長期金利の上昇が急で30年債の名目金利が5年債と並ぶ場面もあったので、一旦「利食い」でスピード調整があってもおかしくない局面だ。
「損切丸」では2022年後半から 米国債 "逆イールド" の検証Ⅱ。- パウエル議長の ”スレッジハンマー” 。|損切丸 (note.com) 等々、”偽りの逆イールド” について散々警鐘を鳴らしてきた。だが懲りないウォール街は2023年に入っても「金利2%運動」「3%運動」で ”狼少年” ≓「FRBによる利下げ」を繰り返し仕掛けてきた。2022年以降低迷する株価を上げるための一種の "相場操作" だが完全に失敗に終わっている。
転機は3/10のシリコンバレー銀行破綻。*米国債運用の失敗が原因となっているだけに監督当局のFRBも見逃す訳にはいかない。NY出張で訪れた時に聞いたが、FRB内部は市場部門と監督部門が完全に分断され高い「壁」がある。いわば日銀と金融庁が同居している状態だが、トレーダーと密に情報交換をする市場部門とは対照的に監督部門は ”鬼の形相” 。米国債のリスク管理について相当厳しい突っ込みがあった事は想像に難くない。それ以降、ウォール街はすっかりおとなしくなった。
荒れ狂う「円」、動かない「ユーロ」「ポンド」。(参照)2023.6.日銀短観|損切丸 (note.com) でも書いたが、もうユーロやポンドで儲けるのはかなり厳しい。こうなるとプロップデスク(FXでリスクを取る部門)の縮小は不可避で、あとは顧客注文を捌くセールストレーダーとプライス提示するマーケットメーカーが残るのみ。更にAI等電子取引化の進捗で、ゆくゆくセールストレーダーは不要になる蓋然性が高い。流れは株や債券も一緒だ。
これで最も困るのが預かり金を5倍、6倍にレバレッジして(膨らませて)収益を上げてきたヘッジファンド。相場が動かなくなればジ・エンドだ。頼みの綱は **”Mrs.ワタナベ” 率いる円相場だが、マーケットリテラシーが向上し、メディア等を使った "煽り" や間違いにはすぐに気が付く。
ドル円に関しては@180円だ@200円だと煽ったが笛吹けど踊らず。外国人で溢れる東京や大阪、京都、あるいは熊本への工場誘致等の動きを見ていると、肌感で@140円超の「円」は安過ぎる。こちらも "煽り運転" は不発でファンドの思惑通りにはいっていない。日本人もそろそろ喰われるだけの ”(どうでも)いい人” ≓ "羊" は止める時期に来ている。
ちなみに相場の ”煽り運転” といえば、「煽るだけ煽って喰いついてきたらズドン!」が常套手段。|損切丸 (note.com) がおなじみのビットコイン。夏場に入ってすっかり "動かなくなっちゃった" 。 "羊" =日本人が狙われていたが、監督当局の厳しい監視もありウォール街もお手上げの様だ。
裏を返せばボラティリティー(変動率)の低下は激しい淘汰をもたらす。株やFXでデイトレを手掛けている向きはまさに正念場。若年層を中心に日本人も ”狼少年” 化するマーケットヘの対応は改善しているが、童話同様、本物の ”狼” がやってくることもある。くれぐれも備えは怠らないように。
これまでは単純にドル金利の動向にFXも株も付いてきたが、米国債「プレミアム」(=上乗せ金利)の復活と「円安」が迫る「YCC廃止」→「利上げ」。|損切丸 (note.com) でそうもいかなくなる。今後相場の鍵は円相場と日銀による「利上げ」の判断。願わくば "羊" =日本人が ”狼” =ウォール街・ファンドを取って食う展開も期待したい。
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