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”リアルマネー” の壁

 9月ISM非製造業PMI 56.0 予想 51.6 前月 54.9
 *雇用 53.0  予想 48.4 前月 48.1
 *新規受注 57.4 予想 53.7 前月 59.4
 *価格 58.1  予想 57.8 前月 59.4

 9月ISM非製造業PMI ↑ を見てまず思った事:「アメリカ強い」。雇用を見ても価格を見ても まだまだ燻る「インフレ」の ”種火” |損切丸 を認めざるを得ない状況。米国債市場は急落し、ターミナルレート(利下げの着地点)は@4.25%程度に上昇する場面も見られた

 だがその後現れたのが ”リアルマネー” の壁10年債入札が応札倍率2.58倍(>過去6回平均2.47倍)外国中銀や大手機関投資家を含む間接入札者の比率≓ ”リアルマネー” は61.7%と需要が旺盛で怒濤の買い戻し。ただ2年以下のゾーンはそれ程変わらず、ターミナルレートはあまり変わっていない

 だがこの ”壁” を突き崩そうとする人物がいる。そう、今(11/6)大統領選で返り咲こうとしている "あの御仁" 。東京時間の速報で優勢が報じられると米国債売り(金利は上昇)がぶり返し、FXではドルが買い戻されている

 その場合、ここまで続いてきたFRBによる「利下げ」が急停止する可能性を考慮せざるを得ない。「減税」等でばらまけば当然金融緩和は必要無くなるCPIが+7~8%に戻るという試算もあり「インフレ」がぶり返すだろう

 これを「ドル金利上昇」→「ドル買い」とFXマーケットは解釈しているようだが、さて…?? "あの御仁" が「ドル安」指向なのは周知の事実だし、例えば「円安」を目の敵にして日銀に "適正な" 「利上げ」を強要してくるリスクもある。いずれにしろ常識は通用しない

 「円安」に連れて日経平均も上昇有力支援者のI.M氏が大量に保有しているビットコイン(BTC)も急上昇しているが、逆に高関税を課される中国株は頭が重くなっている

 ”財政出動して減税して利下げをする!!”

 これが "あの御仁" の主張だが、経済理論から見れば滅茶苦茶。本当にそんな事をすれば待っているのは「ハイパーインフレ」であり「インフレには利下げ」と主張して失敗したトルコの大統領と同じ。経済規模も違い主要通貨「ドル」を抱えているので単純に比較できないが、溜息が出るのは筆者だけではなかろう。日欧の首脳陣は頭が痛いはずだ

 喜んでいるのは市場を荒らし回る質の悪いヘッジファンド(HF)や短期筋のデイトレーダー。まさに 『地獄でなぜ悪い』 - 「利食い」は「損切り」の何倍も難しい|損切丸 の体で、儲かれば何でもありの相場が展開されそう。ウォール街を中心とした投資銀行も虎視眈々と収益機会を狙う

 我々のような小舟は便乗して儲けるよりも "餌食" にならないよう気を配る方が賢明”一攫千金” の発想は危険だ。まあまだ選挙結果が出た訳でもなく結論は最悪越年する可能性もあるが "覚悟" だけはしておいた方がいい

 そういう時に頼りになるのが ”リアルマネー” の壁でもある

 「複利」で考えると@5%なら元金が10年で1.64倍、20年なら2.7倍になる。荒れる市場でBTCでバタバタトレードするのもいいが、欧州の年金やアラブの王様などの「お金持ち」は@5%で十分「ドル安」との兼ね合いもあるが、ある程度の「お金」は突っ込んでくるだろう。そこの「金利」を軸に株や不動産、他の資産への「投資」を考えるのが王道

 ”相場が見えなくなったら金利に立ち返れ”

 これが「投資」の基本。なぜなら「金利」が「お金」の価値を示すから。難しいのは必ずしも「高金利」=「高価値」でない点。今のように「ドル金利上昇」→「ドル買い」で素直に反応する内は良いが、これが「ドル売り」に転換した場合、 ”ドルが危ない” リスクが「高金利」に内包されてくる

 そうでなくともアメリカは急激な「利上げ」の影響で利払いが急増し財政リスクが増している。そこまで考慮した上での「利下げ」転換だが、それも「インフレ」を抑制してこそ他国に対する「高関税」はポピュリズム的には正解なのだろうが、そのコストは結局米国民が払うことになる

 ポピュリズムといえばあれだけ「XXノミクス」を礼賛した日本国民も今置かれた生活苦を見れば結果はもはや明らかトルコもそうだが アルゼンチンが示唆する「日本の未来」|損切丸 も結局はポピュリズムの成れの果て生活困窮民の判断は往々にして間違いなのは歴史が証明している

 それにしても…。資本主義の根幹を成すはずの「金利」を30年近く押し潰してきた政府・日銀の責任は重い。元を辿れば「バブル崩壊」に対して「時間稼ぎ」をしてきた処方箋が間違っていたのだが、これを元に戻すのは大変な労苦を伴う。 "70年振り" に取引時間を30分延長したTFX(旧・東証)が象徴的だが、法律も経済もまだまだ「昭和の壁」が立ちはだかる日本。これを打ち破るべく、我々日本人もまた "覚悟" が問われている

(参照) 続・「本物の危機」の時、金利は上昇する。ー 「逃げ惑うお金」の帰結は?|損切丸 悪い ”胸騒ぎ” |損切丸 は肝に銘じつつ

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