押し寄せる「利下げ」の "波"
G7の先陣を切ってカナダが▼0.25%「利下げ」(@5.00%→@4.75%)。市場ではほぼ予想通りだったが今後の追加「利下げ」に含みを持たせた
これで2月のスイス、5月のスウェーデンに次ぐ「利下げ」となり "波" は着実に押し寄せている。これは元・宗主国のイギリスや今日(6/6)▼0.25%「利下げ」を "予定" しているECBも同じ気持ちだろう。ただ一方で:
これも共通の悩みであり隣国のFRBをさんざん苦しめている。それでも「利下げ」を先行させているのは、それだけ「消費」の現場が苦しいから。現状の中銀の立場としては「高すぎる政策金利を "中立" に戻す」
実際5月米ISM非製造業指数 ↓ は予想を上回る強い数字が出て*一時米国債は売られ(金利上昇)ドル円も@156.40まで買い戻される場面もあった
だが指標の内容を良く見てみると「雇用」が悪化しており「消費」の減退と整合的。同時に出たADP雇用者数( ↑ 標題添付グラフ)も同様の傾向を示しており(いつも一致するとは限らないが)明日(6/7)の米雇用統計も弱めの数字が予想される
結局米国債は買い戻され金利は低下、ドルもFXで売り戻された
雇用統計も余程の強い数字でない限り、カナダ中銀やECB同様「中立金利に戻す」という観点からFRBも年内「利下げ」開始の免罪符を得る事になる。大統領選挙もあることだし9月には始めたいのが本音だろう
昨日~今日の目が回りそうなドル円を見ていると今後が思いやられるが 「金利」が下がっているうちは大丈夫|損切丸 (note.com) 「利下げ」が続く以上株等の資産市場に大きな混乱は起きないだろう。「危機」が起きるとすれば「利下げ」最終局面で「インフレ」がぶり返し長期金利が大きく上昇する「スタグフレーション」=景気後退と物価上昇が同時に起きる現象
「中立金利」という点で全く逆の立場にあるのが日銀。こちらは「利下げ」ではなく「利上げ」。怖いのは前稿でも書いた「円金利」に棲む "魔物" =「低金利中毒」
もはや一種の「モラルハザード」といってもいいが、どうも「昭和世代」は「利下げ」= "伝家の宝刀" と思い込んでいる節がある。端的に言えば株価上昇であり「XXノミクス」がその最たる例。だがこれは「円高」だけ気にしておけば良かった「昭和」の異物であり、モデルチェンジが必要だ
欧米共に今「利下げ」に動けるのは、当たり前だが「利上げ」していたから。日銀がここで「利上げ」を躊躇すれば将来的に金融政策のバッファー(余裕)を得られなくなる、つまり「失われた20年Ⅱ」。それ以前に再び「円安」に見舞われれば今度こそ致命傷になりかねない。荒れ狂うドル円相場はそういうリスクを示唆しており、ここは痛みを押してでもベッドから起き上がりリハビリしておくべきだろう
しかし実際は…「米国債が買われているからJGBも買い」。 11年振り「国債買入」オペの "札割れ" ー 銀行は何を考えているのか|損切丸 (note.com) でも書いたが、邦銀は本当にJGBを売るのが嫌い。30年以上に渡って「買い」=金利低下が染みついているが、N中金に起きた▼2兆円もの債券損失をよく噛みしめて欲しい
「邦銀は潰れない」とタカを括っているのならそれは大いなる「モラルハザード」。これ以上「公的資金」等で国民に迷惑をかけるのは許されない。政府が "ゾンビ企業" の淘汰に動いているなら多過ぎる銀行もその列に加わるべき。「JGBを売りたくない」なんて言ってるようでは先が思いやられる