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やっと「円高」に戻った!?

 FRBによる継続的な「利下げ」観測からズルズルとドルが売られ、気が付けばドル円は@141円割れ年初が@141円程度だったから、これでやっと「円高」に戻った!? ↑ 標題チャート

 年初の日経平均が@33,000円程度だった事からすると「暴落、暴落」と騒いでいる割には@36,500円でも+3,000円以上、+9%程度ちゃっかり上がっている ↓ 体感物価とほぼ整合的な動きとも言える

 結果「ドル建日経平均」も@260ドル近辺まで戻し実質値上がり ↓ 日経平均を@40,000円近くで買ってしまい名目値が下がった投資家には多少同情するが、未だに「日銀の利上げで株価が暴落した!」と感情的に騒ぐ向きはよくよく ”相場の本質” を見直して欲しい

 それにしても@162円まで暴走した「円安」狂騒曲は一体何だったのか

 実際昨年12月に日銀がYCCの上限を+0.25%引き上げた時にドル円は@150円から@140円まで落ちて「円安修正」は始まっていた。ところがどういう政治的背景があったのか(おそらく記者さんたちは知っているが表に出るのは何年か後)日銀総裁が「金融緩和」を連呼して 「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。|損切丸 (note.com) を与えてしまった

 そうでなくとも米株価の不調で思うように収益が上がらなかったヘッジファンド(HF)が 続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー  きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達" |損切丸 (note.com) になるのは自明の理。いつのまにか「玉手箱」と化してしまった

 幸か不幸か「損切丸」はLTCM危機(1998)に当事者として ”3日で▼25円暴落” なんてとんでもない目にあったお陰(せい?)で今回の事もある程度予想はついた。難しかったのは「いつ」。1998年は100兆円単位の「円キャリートレード」が1カ所に集中していたため、ロシアのデフォルトをきかっけに急激な動きになったが、今回は数十のHFにリスクが分散きっかけも日銀「利上げ」+FRB「利下げ」という穏当なものだったため3ヶ月かけてじっくり▼20円の「円高」が進んでいる

 金融システム崩壊のような事態に至らなかったのも「危機」の教訓のお陰。日銀もFRBも豊富な経験を元にノウハウを蓄積している。特に30年近くに渡る「超低金利政策」から抜け出そうとしている日銀は超が付く慎重さ。現時点の結果から見ればこのぐらいの対応が妥当だったと言えよう

”円高で原油価格も下がっているのにガソリン代が下がらないのは何で?”

 疑問はごもっとも。1つはジャブジャブと石油元売り会社に注いだ「補助金」のお陰(せい?)で人為的に価格が下げられていた事。本来ならレギュラーで@200円近くになっていたはず。この辺は欧米と違い極めて "共産主義的" で、ここからは政府が「補助金」を減らすだけ。それ故価格下落を実感しにくい。こう言う "仕掛け" はあちこちにある

 そして、もっと本質的には 日本の「インフレ」はまだまだ続く ー 「お金」<「人」の時代へ|損切丸 (note.com) 経営者の立場で考えれば判るが「人手不足」でお給料を上げて人材確保しなければいけない状況で「値段」は下げられない。これは石油、電力会社も同じ。何度も繰り返しになるが「円安」は「インフレ」の根本的原因ではない「戦争」もそう

 そう考えると、日本ではまだまだ 「預貯金」では「インフレ」に追い付けない!|損切丸 (note.com) 「投資」目線は変わらない。あとは株価や為替の動向を注視しながら適正な「将来価値」を探すことになる。その点は急激な「値上げ」を経て徐々に「インフレ」が落ち着いてきた欧米とは少し状況が違う日銀とFRB、ECBの金融政策ベクトルが逆向きなのはそのせい

 政治的にもやっと「XXノミクス」「異次元緩和」の検証が始まっているが、筆者もその全てを否定するわけではない。深刻な「デフレ」時には一定の効果があったが、問題はあまりに長く続けすぎたこと。そして最悪だったのは前総裁が辞める前の「国債無制限指値オペ」"面子" 優先でマーケットの流れに棹さす愚策だった。結局これで増えた数十兆円もの保有国債を処理する時間が必要になってしまった

 現在与党も野党も党総裁選挙一色だが経済政策を語るならこの検証は絶対に必要。もう「高度成長期」ではないのだからバラマキや金融緩和に頼った施策は再び「円安」を呼び起こす。将来に向けての「投資」で考えるなら、高齢者に偏り過ぎた支出を「教育」や「少子化対策」にもっと振向けるべき

 英サッチャー元首相が行ったような大胆な財政のリフォームが出来るかどうか。グローバルな投資家は注視しているはずで「円高」狙いでストレートに日本投資を増やすきっかけにはなるだろう。日経平均が再び@4万円、あるいは@5万円を目指せるかどうか。1つの鍵になる。


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