続・タイミングを計る日銀・財務省。ー 忍び寄る "灰色のサイ” の影。
タイミングを計る日銀・財務省。ー "値段が上がっているのではなくお金の価値が減っている”|損切丸 (note.com) からの続編。
ドル円が@149円台に乗せて相場もいよいよ "風雲急" を告げてきた。「損切丸」が特に気になっているのが日本の総選挙の行方。複数の国内メディアから具体的日程を伴って「11月解散総選挙」の話が出始めた。組閣→経済対策が出揃ったことから観測が強まっているが、確かに今秋を逃せば与党総裁戦と接近するため選択肢が狭まる。あって然るべき決断だろう。
そうなると俄然注目が集まりそうなのが10月30、31日の日銀政策決定会合。現政権を続けたい財務省の意向が働けば、ここは何としても "大敗" は避けたい。経済対策も「インフレ対策」に集中していることから「円安阻止」の旗印はぜひとも欲しい。そうなると「マイナス金利廃止」+「ドル売介入」は有力な選択肢になる。FXもその点大分警戒しているようだ。
ここで気になるのが忍び寄る "灰色のサイ” の影、中国の不良債権とその景気への影響だ。図体がでかいだけに日米欧とも無傷ではいられない。
最も心配なのは自動車輸出の4割を中国に頼るドイツ。依存度が高いだけに共倒れの懸念が強まっている。独DAX指数を見ると下落基調がはっきりしてきており「脱中国」などと言っていられる状況ではあるまい。
それから米株の変調も見えてきた。消費者信頼感指数の下落が売りを呼んだが、ガソリン価格の上昇が主因。筆者は中東と裏で手を握って価格をつり上げているのは中国のEV(電気自動車)を潰したいアメリカの意向と踏んでいるが、回り回って自分の足元を揺るがしている。
加えて 行き場を失った「お金」はどこへ? ー 米国債が売られるとろくな事がない。|損切丸 (note.com) にも書いたが、@5%を超えるMMFや2年以内の短期米国債に「お金」がシフトしている影響も大きい。「利上げが終わればバラ色」みたいな言い方をしてきたウォール街だが、結果は逆。元々 "割高感" が強く、上値が重い米株より確定の@5%を選ぶのは投資家としては賢明な判断だろう。筆者がアメリカ人ならそうする。
安全保障上中露をぶっ潰したいのは山々だが、そう簡単にはいかない。 "生かさず殺さず" がベストだがG7も余裕がない。「戦争」も含め、どう落し所を見いだすのか。米大統領選を含めこちらも「政治の季節」。
さて、日銀はどうするのか。
ここまで総裁も含め理事も硬軟織り交ぜた発言を繰り返しているが、まあこれらは「利上げ」に向けた予行演習のようなもの。マーケット、特にドル円とJGB(日本国債)の反応を試しながらタイミングを計っている。
「マイナス金利廃止」については、技術的には30兆円余りの「当座預金」に徴求されている@▼0.10%を止めるだけなので、年間▼300億円の減収。1年以内のTB(Treasry Bill、短期国債)のマイナス金利が消滅すれば財務省にも数百億円のロスは発生するだろうが、まあ誤差の範囲だ。実は「金融引締」効果はほとんどないので、円金利市場への影響は限定的だ。
それよりも「ドル売介入」と同時発動することによるメッセージ効果の方が大きい。当局の "決意" を示す事で市場に畏怖を与え仕掛けにくくなる。
それでも「マイナス金利廃止」だけではドルと円の金利差@+5%は縮まらない。*「ドル買円売り」で+5%を得られるメリットは相当大きく、これまで同様ドル円が下がればすかさず押し目買いが入る。儲からない今の相場付きでは多くのトレーダーが群がることになるだろう。
"灰色のサイ” 対策としては日米欧とも様々な "アメとムチ” を振るってくるだろうが、下手に手を緩めれば今度は「戦争」「侵略」を促してしまう。
ここはFRBも日銀もECBも胸突き八丁。ベビーブーマー引退など「人口動態」による世界の企業の人材不足数は 2030年までに8,500万人、それによって失われる経済機会は8.5兆ドル(約1,260兆円)にのぼるという推計もあり、今まさに「インフレ」と言う形で進行中。「利下げ」を決断するにはまだ時期尚早で、しばらく欧米を中心に「@4~5%時代」が続くはず。
こんな中、ゼロに近い金利を続けるのが無理な事は日銀も十分承知している。出来る事は:
に沿って政治とのタイミングを計るだけ。それもそんな遠い未来ではないだろう。さて、どう動くか。「円」周りは目が離せない。
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