「輸出管理措置の見直し」、G20-前後に起きた様々な偶然?

 ここ数年ぱっとしなかったG20だが、今回はなかなかドラマチックだった。今、特に韓国で大騒ぎしている日本の「輸出管理措置の見直し」について、前後に起こったことを時系列で並べてみよう。

 4月 26日 日米首脳会談@ワシントン

 5月 27日 日米主要会談其の2@東京+宮中晩餐会etc. 。

    日本が今回の輸出管理措置の見直しの骨格をほぼ決定。

 6月 11日 米マイクロンテクノロジーが広島に新工場を1割拡張。

  28,29日 G20@大阪。米 → ファーウェイ社向け輸出を解禁。サウジアラビア、フランス → 宮中晩餐会

 7月 1日 米アプライドマテリアルズが旧日立系の KOKUSAI ELECTRICを2,500億円で買収。日本→経済産業省が対韓国輸出管理措置の見直しを決定。

           3日 フランス → パリ地方裁判所、サムスン電子のフランス法人を消費者法違反(欺瞞的商業行為)の疑いで予備起訴。

 2020年4月 習近平中国国家主席を国賓待遇で招待。宮中晩餐会?

 ここからは想像力豊かな(笑)筆者の見立て-これらの出来事、やっぱり偶然じゃないでしょ

 実際は年初あたりから多国間でいろいろな裏ネゴがあって、特に米国は日本と利害が一致したのではないか。何の算段もなく、この半導体不況の中、工場拡張や大型買収などしかけるはずがない。日本も半導体(材料)の輸出(入)の代替先を探す必要があったはずで、そこで半年近く時間がかかった。

 中国もファーウェイ絡み(おそらく広島のマイクロン新工場や東芝からの半導体輸出先の確保)等で一枚かんでいるはずで、来年4月には習近平中国国家主席が国賓で来日する。

 面白いのはフランスG20直後にサムスンの過剰労働を起訴するなどあまりにもタイミング良すぎ。そこで浮かびあがってきたのが、マクロン大統領を宮中晩餐会に招いたこと。サウジアラビアは元々王室との往来があったので不思議ではないが、なんでフランス?とは正直思った。この辺り日仏で何かやり取りがあったかもしれない。

 (もっとも日産ルノーの話もあるが)トランプ大統領も5月に招いてどちらも雅子妃が大活躍だったわけだが、今回はいわゆる「皇室外交」が十分な価値を示した。皇室とのやりとりは名誉欲の強い政治家には「勲章」のようなものであるから、効果は絶大なのかも。

 「フリーメーソン」みたいな陰謀説を唱えるつもりはない。ただ、最近の韓国を見ていると、これも良く例えられているが、鳩山首相時代の日本を想起させる。つまり内政も外交も弱っている国が産業構造の中では狙い撃ちされる、ということ。今回は韓国の半導体業界が狙い撃ちされ、米、中、台湾、そして日本なども虎視眈々とシェア奪還を狙っている。日本も民主党政権時代は今の韓国みたいに国外からは見えてたんだろうなあ、と思うと空恐ろしくなる。(今の政権を持ち上げたいわけではありません、念のため)

 間抜けなことをやっているとすぐ喰われてしまう-これは政治でもマーケットでも同じ。理想だけでは喰えないのである(この辺は弊著「お金のマニュアル」の中でも繰り返し書いたつもり)。

 本来「お金」にはとことん強いはずの韓国が、高潔な政治理念を掲げて最低賃金引上げなどを行った結果経済が弱り、「清貧思想」で本来「お金」に弱いはずの日本に返り討ちにあっている、というのはなんとも皮肉な話。

 まあ、ひとつ同情すると、日本も大不況で国民の不満が鬱積していたことが自民党下ろしにつながって、民主党政権になった時は高揚感があったが、「ろうそく運動」で文在寅政権を生み出した韓国も同じような状況なのだろう。それだけに、すぐに現体制を否定するのは難しい。日本もしばらくそうだったが一度行くところまで行かないと目が覚めないかもしれない

 あくまで筆者の推定で書き進めたが本当の本当のところは知るよしもない(10年ぐらい経てば本でも出るかな?)。ただ、個人も国も油断は禁物ということ。相場でも政治でも、まずは自分(達)の財を誰かに奪われないように気を張って生きていくしかない。くわばらくわばら。


            

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