日本の「インフレ」はまだまだ続く ー 「お金」<「人」の時代へ
↑ 標題に貼ったのは経済産業省が作った "物流コスト" に関する資料。「物流の2024年問題」(トラックドライバーの時間外労働の上限規制)をベースとして試算しているが2012年頃に ”需給” が逆転。つまり "物流コストインフレ" は既に始まっていたという事になる
これは筆者が好んで引用している「三大都市圏のパート・アルバイト平均時給」↓ の急上昇時期とピタリ符合する
やれ「円安によるコストプッシュ」とか「消費税増税による官制インフレ」とか好き勝手な言説が飛び交っているが「損切丸」的には全て的外れ。2012~2016年に「円安」は始まっていないし「戦争」も起きていない。「コロナ危機」で激しい上下動があって見誤っている人も多いが「インフレ」の芽は随分前に吹いている
そして重要なのは日本が「少子高齢化」先進国だという点
FRBが雇用を注視しているように「インフレ」の根源的要因は「人件費の上昇」。「人手不足」になれば「お給料」を上げなくてはいけないし、当然 "物流コスト" も上がる。これが「コアインフレ」の正体であり、*ガソリン価格が上がったとかサンマが不漁で高い ≓「コストプッシュ」とは別問題。だから「利上げ」が必要になる
経産省のレポートは「だから自動運転等イノベーションが日本には必要」という趣旨のようだが、いずれにしろ2年や3年でどうなるものではない。資料にも指摘があるが2027~2028年頃には "物流コストインフレ" が景気抑制要因になり物価上昇が鈍りそうだが「人手不足」が深刻なのは変わらない
これは「物流」に限った事では無く、例えば「医療・介護」の現場もそう。80代の母を地元に置いてきている筆者も痛感するが、今後「介護」は社会インフラとして必要不可欠。ケアマネージャーさんやヘルパーさん、あるいはデイサービスのお陰で助かっているのは事実だ。意地悪な言い方をすれば至れり尽くせりの ”老人天国”(苦笑)
問題は国の財政に余力が無いこと
「国民皆保険」というと聞こえはいいが、「少子高齢化」に「インフレ」が重なると地獄。国は振る袖が無いので「増税」(含.社会保険料)一直線。現状「五公五民」から「六公四民」に向かうのはその為であり**「生活苦」のほとんどはここから来ている。「インフレ」が元凶では無い
仕事の大変さを鑑みれば時給@3,000円でもおかしくないはずで、そうすれば「人」も集まる。だがこれ以上の社会保険料負担は無理。そうなると国の選択肢としては ”老人天国” で過剰に割り振られている「医療費」のリソースを回すしか無い。最近「延命治療」の保険負担の議論なども俎上に上がっているが、自己負担1~2割は持続不能。遅かれ早かれ3~5割負担にならざるを得まい。即ち「国民皆保険」の終焉を意味する
元・金利トレーダーの理屈からするとこういう方程式が成り立つ。「インフレ」では「お金」の価値が低下するのだから、その付加価値である「金利」は上がらざるを得ない。この理屈を無視したから「トルコリラ」や「円」は為替市場で暴落したのである。極めて単純な理屈
「投資」=「リスク」としたり顔で解説する ”専門家” がいるが、一体何を言っているのか。「インフレ」では「お金」を保持する事が最大の「リスク」。株や不動産、FXとどちらが危ないなどと一概には言えない。ただ1点気を付けなければいけないのは儲けようとして生活のための「お金」まで突っ込むこと。それは「投資」ではなくただの「ギャンブル」
こんな経済学のイロハは名だたる有名大学出身者が占める財務省・日銀の官僚は当然熟知している。それでも政策がこれだけ "間違った方向" に向かうのは、皮肉にも彼らが頭が良いから。「出世」を望めば当然政治ヘの "忖度" が生じるわけで、そういう ”風” を彼らは読む。「シルバーデモクラシー」が跋扈する世の中だからこそ ”老人天国” が生まれた
だがそれも「円安」「インフレ」で全てひっくり返ろうとしている。国民生活は困窮を極め、いよいよ「政治」に対する批判となってきた。「革命」とまでは言わないが、やはり社会を変えるのは一人一人の意識の変革。そう言う意味では「円安」「インフレ」には感謝しなければならない。 「円安」が「円高」を呼ぶ ー 「キャリートレード」だって本当は怖い|損切丸 (note.com) まさにそういう展開になってきた