2023年は「社会大変革」の年 - 貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿"
年の瀬を迎えて10大ニュースなど今年を振り返ると改めて大変な年だったと再認識させられる。2023年は「社会大変革」の起点と言っていい:
1.パンデミックと産業革命
14世紀に起きた「ペスト」の大流行で、当時の世界人口4億5,000万人の22%にあたる1億人が死亡(推計)。労働力不足による「インフレ」を伴った「農地改革」が起きた。更に18世紀中頃から19世紀初頭まで「コレラ」流行の後、イギリスで起きた機械制工場と蒸気力利用を中心とした技術革新、いわゆる「産業革命」に繋がる
1918年から1920年にかけ全世界的に大流行したH1N1亜型インフルエンザ、通称「スペイン風邪」でも世界人口(18億-19億)のおよそ27%(CDCによれば3分の1)の5億人が感染し死亡者数は1億人を超えていたと推定。これはその後の「第一次世界大戦」(1914~1918)の導火線となった
"偶然" なのか "必然" なのか「歴史は繰り返す」。過去のパンデミックほど死者は出なかったが「コロナ危機」後の展開は酷似している。リモートワークの急激な普及は「DX革命」(デジタルトランスフォーメーション)とも言えるものだし、チャットGPTやAIは「人」の代替手段として発達
2.「ディスインフレ」から「インフレ」へ
リーマンショック(2008)以降、急速な台頭で ”世界の工場” となった「中国」。安い商品が大量に供給され「インフレは死んだ」≓「金利は死んだ」。世界的な低金利時代は「ディスインフレ」をもたらし、一種のエルドラド(理想郷)となった
皮肉にもこれが「借金」への緩みに繋がる。「通貨発行権を持つ国家はいくら借金しても大丈夫」というMMT(現代貨幣理論)のような "過信" で債務が膨張。今や300兆ドル(約4.2京円)に達している
そもそも ”世界の工場” も1京円にも上る「中国」の「借金」が元手だったわけで、これが不良債権問題の深刻化で破綻。残った「大借金」は「お金」の過剰をもたらし「インフレ」へと大転換する。「コロナ危機」時に出動した100兆ドル単位の財政出動がトドメを刺した
ちなみに「インフレ」を伴う経済苦境はいつも「戦争」に繋がる。だから今のウクライナやパレスチナを巡る動きも "偶然" ではない
3.「失われた30年」の "膿"
筆者のような昭和生まれには「またか...」の思いも強いが、まるで「ロッキード事件」や「リクルート事件」の焼き直しかと思うような「キックバック問題」。 ”政治と金” は古くて新しい問題だが、未だに「昭和」が続いている事を示唆している
某芸能事務所の「性加害問題」も在阪歌劇団の「いじめ問題」も大学の運動部を巡る問題もいわば貯まりに貯まった「失われた30年」の "膿" 。それが2023年に一気に噴き出している。「インフレ時代」の到来と共に起きているのも歴史の "必然" か。これでやっと「昭和」が終わる
思い起こせば「XXXミクス」こそ「昭和」の焼き直し≓「円安」「株高」で全て解決。オリンピックも万博もそう。完全に "時代遅れ" で実際には "症状" を悪化させただけ。救いは日本人がやっとそれに気付き始めた事
4. 労働力人口の減少
ペストやスペイン風邪のように1億人以上が死ぬことはなかったが、代わりに起きたのが「人口動態」による労働力人口の急減少。アメリカのベビーブーマー▼4,000万人、日本の「団塊」▼8百万人が社会の前線から引退
これを補うためのDXやAIだが、それでも「インフレ」を抑え込むには不十分。生まれてこの方「値上げ」を経験したことのない30代以下の世代には初めての "試練" になる。預貯金など「お金」の価値の減少を防ぐため「投資」など考える必要に迫られている
「日銀」である。「利上げ」でも世界の "トリ" を飾り「超低金利時代」に終止符を打つ事になるだろう。経験の無い若年層にとっても1つの "試練" になるが、そもそも「ゼロ金利」「マイナス金利」などは異例中の異例。「お金」で経済を回す以上、その価値を放棄するような政策は資本主義と矛盾する。欧米は1周回って第4コーナーを回りつつある ≓「利下げ」。日本は "周回遅れ" になるのか、それとも「ゼロ金利政策」のように最終的には "先頭" と見做されるのか、世界中の注目が集まっている
日本社会ではやっと「団塊」の重しが取れて新しい価値感が根付こうとしている。「利上げ」はその号砲。ここで頓挫すれば待っているのは ”アルゼンチン化” 。今度こそトンネルから抜け出したい。今日(12/29)終わる2023年のマーケットに寄せて。いや~本当に大変な年でした