
米国経済本当に弱い?Ⅵ ー 対称的に「日本はインフレ」と言い切った日銀総裁
米国経済本当に弱い?Ⅴ ー 「米国例外主義」は本当か?|損切丸 シリーズの続編
1月ISM米非製造業指数 52.8 予想 54.0 前月 54.0 ← 54.1
・仕入価格 60.4 予想 62.6 前月 64.4
・新規受注 51.3 予想 51.7 前月 54.4 ← 54.2
・雇用 52.3 予想 51.3 前月 51.3 ← 51.4
「損切丸」同様 "静かに暴落するドル円" に面食らったFXトレーダーも多いのでは無いか。蓋を開けてみれば弱いISM非製造業指数 ↑ 文字通り読めば「インフレ」沈静化のサインと読める

そしてもう一つ 「トランプ2.0」の衝撃Ⅲ - アメリカは「鎖国」に向かうのか?|損切丸 にも「変化」の兆しが見える
2/5 ベッセント米財務長官:
「彼(トランプ大統領)と私は10年債利回りを注視している」
「金融当局に利下げを求めていない」
"Tariff Man" (関税男)の泣き所 - "Deal" の落とし所はどこにあるのか|損切丸 で "金融環境があまりにも違いすぎる" "「2.0」では経済ブレーンの質が格段に高まっている" と書いたが ”彼” の「利下げ」要求発言を聞いて経済ブレーンがなだめに行っているのではないか。株価の急落で肝を冷やしただろうし、案外人の意見を聞く素直な人なのかもしれない(?)
「株価至上主義」のアメリカでは家計においても株式投資の比重が高く、株価の下落が個人消費の減退に直結する。今回のISM指数の下落も米株式市場の不調が引き起こした懸念も否めない。だから "Tariff Man" (関税男)の泣き所 ≓ 株価を落とす訳にはいかない( ← 続・ "Tariff Man" (関税男)の泣き所 - 「世界恐慌2.0」は避けられるか|損切丸 )。そのためにも「インフレ高進」→ 米長期金利上昇は御法度という理屈だ
その読みに沿っていけば件の「関税」も対中国は本気としても、EUや日本、その他の友好国に対して強硬策に出る可能性は低い。だからこそ "静かに暴落するドル" にFX市場が傾斜しているのだろう
2/4 植田日銀総裁:「現在はデフレではなくインフレの状態」
一方追い風が吹きつつあるのが日銀。*「お金」の値段 ≓「金利」が安過ぎる!Ⅲ ー 日銀「利上げ」に "2匹目のドジョウ" はいるのか?|損切丸 でヘッジファンド(HF)も仕掛けに失敗した可能性が高く、今後はみだりに「利上げ」→「円高」→「日経平均売り」を狙いにくくなった。実際▼2円近く「円高」に動いた今日も「日経平均」はプラス圏。時代は変りつつある
*HFと言えばもう一つ。 続・「円キャリートレード」の代替 - 「レンジ取引」の功罪|損切丸 で触れた「オプション売り」戦略。この所いわゆる ”寄り天” が続いていた「日経平均」だが、@40,000円に接近する局面で@40,000~42,000円のコールを執拗に売っている可能性が高い。個人も「インバース」(日経平均が下がると収益の出るファンド)を積み増している可能性もあり「売り」ポジションは大分溜まってきた印象。日銀の「利上げ」を見据えての戦略かもしれないが上抜けすると怖い。 続・マーケットでは必ず「逆」をする奴が出て来る - 「先回り」の「先回り」、更にその「先回り」?|損切丸 は肝に銘じたい
筆者の見通しは最速5月の再利上げだが、「日経平均」が綺麗に@40,000円を上抜けるなどマーケットと状況次第では3月の可能性もゼロでは無い。ただ問題はJGB市場が7月「利上げ」しか織り込んでいないこと。半年に1回の「利上げ」と勝手に予定調和しているが、これが ”政策決定毎に+0.25%「利上げ」” に変った時のショックが怖い。今後発言等でどれだけマーケットと意思疎通が図れるか。「利上げ」の対処法が判っていない「日本金融村」だけに一抹の不安もある



それからもう1点。「新NISA」等日本の投資家にとって 続・さあどうする?「ドル建資産」 - 「インフレ2.0」がやって来る!|損切丸 は大きな試練になる。ここ3年は一方的な「ドル高」で ”ガチホ” が鉄板だったが今後は機能しなくなる可能性が出てきた。実際2025年に入ってからは「円建S&P・ナスダック」はマイナス推移。今のところ看過できるレベルだが、今後ドル円の水準訂正が起きた時に対応を迫られるかもしれない。「金利差」より「量の差」- 「QT」はある意味「利上げ」より "凄いこと" |損切丸 も考慮すると個人的には外貨資産にはいきにくい(そもそも「ドル」を余り信用していないのだが…)
何となく「トランプ2.0」の骨格が見えてきた今、以前より道筋は少しはっきりしてきた。そこに「日銀の変化」をどう織り込むか。「日本金融村」同様@1%を超えないと "楽観" している向きが圧倒的だが…。FRBの「利上げ」が@2%までと決め打ちして米国債を買い込み2023年に破綻したシリコンバレー銀行やシグニチャーバンクを思い出して欲しい。「金利」が牙を剥く時、FXや株より恐ろしい相場になる。身構えておいて損はない