「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ9 日本国債編①
<日本国債(JGB = Japanese Government Bond ) 国の借金>
最近は財務省が個人向けを売り出したりして知名度が浸透してきているが、まだ投資としてはそれほどメジャーとは言えない日本国債(JGB)。おまけに最近年限10年まで金利がマイナス、つまり「お金を預けると金利を取られる」という訳の分からない状態なのでますます普及しない。国債なんて自分とは関係ない、と思われる方も多いかと思うが、これがそうでもない。少し知っておくのも「お金」の本質を理解する上での一助になると思う。
日本政府は毎年90兆円を超える年間予算を組んでおり、2019年度予算では101兆円とついに100兆円を突破してしまった。毎年+60兆円あまりの税収ではとても賄いきれないため政府は大量の日本国債を発行して「資金繰り」をつけている。つまり多額の借金をしているのである。その額は2018年第3四半期で約1,000兆円、国民1人当たり約700万円にもなるという巨額だ。
その一方、我々が預けている銀行預金がおよそ1,000兆円もあり、一応国全体の資金繰りとしては自国内で成立している(財務省も国債の返済原資として当て込んでいると推察される)。
<日本国債の買い手-我々も買わされてる?>
この異常なマイナス金利の国債をせっせと買い込んでいる投資家がいる。日本の銀行である。預かった1,000兆円のうち4割強も貸出に回さず「金利を取られる」国債に投入している。
統計では2018年第三四半期時点の国債発行残高は995兆円、同時期の名目GDPが549兆円であるから国債の発行額はその2倍近く、その保有先の内訳を見るとトップは何と日本銀行で455兆円(46%)、日本の民間銀行が410兆円、海外投資家が59兆円、その他71兆円となっている。量的緩和を行っている日銀は政策なので仕方ないとも言えるが、民間銀行は異様でもある。つまり銀行を介して我々も間接的に国の借金を背負わされている。
顧客向けの預金金利をマイナスにできないので銀行の経営を圧迫していると言われているが、そのコストも銀行は手数料の増額などでこっそり預金者に転嫁しているため、実は我々預金者が払わされている。振込で▼600円も▼800円も手数料が取られるのが典型だ。
個人が直接(マイナス金利ではない)個人国債を買い付けることも可能だが、国の信用が毀損された場合は国債が売られる(=金利は上昇)リスクは免れない。ただ、銀行預金との比較で言えばやはり国債の方が信用リスクは低く安全とは言えるだろう。
日本が破綻する時は、ほとんどの日本の銀行は潰れるのだから。
<債券市場のお勉強-金利リスクと価格変動>
「国の債券」というといかにも安全というイメージがあるが、実は違う。国債市場では毎日価格が変動しており、時には為替や株式市場よりも暴力的に変動することもある。基本債券市場では金利が上昇すると価格が下落するメカニズムになっている。
(参考例) 5年物の国債を0.10%で100万円買い、その1年後に残り4年間の国債の利回りが1.0%に上昇したとする。 投資家は当然高い4年物@1%に乗り換えたいので、持っている利率@0.10%の国債を売ろうとする。反対に買い手は当然その時の市場の@1%の国債の方が良いので、その利回り差(1.0%-0.10%)×4年分の収支を補填するため価格を下げて買値を提示する。( ↓ 計算式では96.6万円) 1年前に@0.10%で5年債を買った投資家は▼3.4万円損したことになるが、これは金利の上昇のリスクを見誤ったためであり、1年後の時点ではこれでようやく買い手、売り手双方の収支がトントンになり取引が成立する。 (計算式)当初の期待値 100万円+100万円×0.1%×5年間=100.5万円
1年後の再投資 96.6万円+96.6万円×1%×4年間≒100.5万円
つまり市場では、リスクに見合った価格形成が常になされおり、債券市場では金利の上昇、低下を主たるリスクとして、日々変動している。
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