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「大緩和」のあとしまつⅡ。

 「植田さんかぁ...」

 随分懐かしい名前が出てきた。1998年~2005年日本銀行の政策審議委員を努められたが、丁度*速水総裁(1998~2003)下の日銀で活躍された方。

 *1998年4月1日に日銀の独立性が強化された「改正日本銀行法」が施行され、在任中は人事や政策において日銀の ”独立性" を強く意識した運営を行った。1999年2月に世界初の「ゼロ金利政策」と時間軸を導入。その後景気回復に伴って2000年8月に最初の「ゼロ金利解除」を敢行した。もっとも7月大手百貨店そごう破綻の際、当時政調会長だった亀井氏(広島出身、当時広島そごうがあった)に恫喝され延期になったエピソードは有名。「全く政治家は!」と吐き捨てたいう。その後2001年のITバブル崩壊により、残念ながらわずか半年で再び「ゼロ金利政策」に復帰

 「大緩和」のあとしまつ。|損切丸|note に担ぎ出した新総裁候補が71歳...東大を出てMITの大学院まで行った超エリートではあるが、 "非常にソフトな人" という印象しかない。まあ政治家にとっては御しやすいということなのかもしれないが、雨宮さんや中曾さんには固辞されたのだろう。彼らのように「資金繰り」の現場を熟知している人なら、現状で総裁職を受ける厳しさは十分認識。 "JGB500兆円爆弾" を捌くのはしんどい。

 唯一理由があるとしたら「ゼロ金利解除」経験者という点だが、政治に抗ってまで何かを成し遂げるタイプではないだけに、YCCや「利上げ」を巡ってフラフラしそう。早速ドル円は▼1円近く売り込まれたが、政治家の動向に振り回される ”かつてのドル円” が復活するかもしれない。 "政治の道具" にならなければいいが…。

 とりあえず雨宮副総裁の昇格が見送られたことから「バズーカ」路線は継承されず、現政権が「脱・XXXミクス」を目指すと市場は見ている。JGBは売り(金利上昇)で反応。YCC(イールドカーブ・コントロール)廃止や「利上げ」路線が思ったより早く表面化する可能性もある。

 経歴から見ても「植田総裁」が "理系脳" なのは明らかで、政治の圧力が無ければ現状の「インフレ」下では「金融引締め」が合理的。意外とすんなり進む可能性もある。ドル円JGBはその事を織込みにいっている。

 問題は株価などマーケットの動向と与党内の政治情勢。この国では過去に株価の下落で「利上げ」がストップしたことが何度もある。事実植田氏が審議委員だった2000年の「ゼロ金利解除」は政治圧力で一度潰されている。これまた何とも「昭和」的な光景だが、71歳の総裁では ”悪夢” が繰り返される懸念もある。喜ぶのはマーケットを振り回すのが得意な一部の海外勢のみ、ともなりかねない。

 折しも米国債がじわじわと売られ、ドル金利が上昇基調にある中、「円高」が懸念事項だった2000年当時と違い、今の問題の核心は「円安」FXや株式市場と上手く折り合っていけるのか「発信力」があるタイプではないだけに、マーケットとのコミュニケーションについては全くの未知数だ。

 そうでなくとも年初来▼3%の「ドル安」で走ったFXがたった1ヶ月で「振り出し」に戻るなど荒れ模様株もショート(売り)で入った向きの「損切り」で踏み上げた ”意地悪相場” が続く。ここで日本からとんでもない "嵐" が吹き荒れれば「想定外」も起きる。AIやプログラムが理論的であればあるほど "不条理" に巻き込まれるかもしれない

 「新総裁」の報を受けた「損切丸」の第一印象 ー "波乱" の予感

  ”柳に風” タイプだけにマーケットは右往左往しそう。パウエル議長以上に「政治的」色合いが強まりそうだ。まあ日銀法第四条 ↓ にあるように「昭和」の金融政策はほとんど政治で決まっていたわけで、元に戻るだけとも言える。「昭和」脱却は遠のくばかりだ。

 日本銀行法第四条 :日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない

 1つ大きく異なるのは、問題の核心が「円高」から「円安」へ大転換していること。「円高」対策が長期に渡る「超低金利」を招いた歴史に鑑みれば、今度は「高金利」が訪れることになる。いわば「大インフレ時代」の到来30年に渡る「デフレ」も予見できなかっただけに、今後「想定外」も有り得る。「時代の変わり目」だけに下手な "先入観" は捨てた方がいい

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