「大緩和」のあとしまつⅡ。
「植田さんかぁ...」
随分懐かしい名前が出てきた。1998年~2005年日本銀行の政策審議委員を努められたが、丁度*速水総裁(1998~2003)下の日銀で活躍された方。
「大緩和」のあとしまつ。|損切丸|note に担ぎ出した新総裁候補が71歳...。東大を出てMITの大学院まで行った超エリートではあるが、 "非常にソフトな人" という印象しかない。まあ政治家にとっては御しやすいということなのかもしれないが、雨宮さんや中曾さんには固辞されたのだろう。彼らのように「資金繰り」の現場を熟知している人なら、現状で総裁職を受ける厳しさは十分認識。 "JGB500兆円爆弾" を捌くのはしんどい。
唯一理由があるとしたら「ゼロ金利解除」経験者という点だが、政治に抗ってまで何かを成し遂げるタイプではないだけに、YCCや「利上げ」を巡ってフラフラしそう。早速ドル円は▼1円近く売り込まれたが、政治家の動向に振り回される ”かつてのドル円” が復活するかもしれない。 "政治の道具" にならなければいいが…。
とりあえず雨宮副総裁の昇格が見送られたことから「バズーカ」路線は継承されず、現政権が「脱・XXXミクス」を目指すと市場は見ている。JGBは売り(金利上昇)で反応。YCC(イールドカーブ・コントロール)廃止や「利上げ」路線が思ったより早く表面化する可能性もある。
経歴から見ても「植田総裁」が "理系脳" なのは明らかで、政治の圧力が無ければ現状の「インフレ」下では「金融引締め」が合理的。意外とすんなり進む可能性もある。ドル円やJGBはその事を織込みにいっている。
問題は株価などマーケットの動向と与党内の政治情勢。この国では過去に株価の下落で「利上げ」がストップしたことが何度もある。事実植田氏が審議委員だった2000年の「ゼロ金利解除」は政治圧力で一度潰されている。これまた何とも「昭和」的な光景だが、71歳の総裁では ”悪夢” が繰り返される懸念もある。喜ぶのはマーケットを振り回すのが得意な一部の海外勢のみ、ともなりかねない。
折しも米国債がじわじわと売られ、ドル金利が上昇基調にある中、「円高」が懸念事項だった2000年当時と違い、今の問題の核心は「円安」。FXや株式市場と上手く折り合っていけるのか。「発信力」があるタイプではないだけに、マーケットとのコミュニケーションについては全くの未知数だ。
そうでなくとも年初来▼3%の「ドル安」で走ったFXがたった1ヶ月で「振り出し」に戻るなど荒れ模様。株もショート(売り)で入った向きの「損切り」で踏み上げた ”意地悪相場” が続く。ここで日本からとんでもない "嵐" が吹き荒れれば「想定外」も起きる。AIやプログラムが理論的であればあるほど "不条理" に巻き込まれるかもしれない。
「新総裁」の報を受けた「損切丸」の第一印象 ー "波乱" の予感。
”柳に風” タイプだけにマーケットは右往左往しそう。パウエル議長以上に「政治的」色合いが強まりそうだ。まあ日銀法第四条 ↓ にあるように「昭和」の金融政策はほとんど政治で決まっていたわけで、元に戻るだけとも言える。「昭和」脱却は遠のくばかりだ。
1つ大きく異なるのは、問題の核心が「円高」から「円安」へ大転換していること。「円高」対策が長期に渡る「超低金利」を招いた歴史に鑑みれば、今度は「高金利」が訪れることになる。いわば「大インフレ時代」の到来。30年に渡る「デフレ」も予見できなかっただけに、今後「想定外」も有り得る。「時代の変わり目」だけに下手な "先入観" は捨てた方がいい。
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