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ヨーロッパでも燻る「インフレ」の ”種火” ー 世界は「お金」の取り合いへ
(参照) やっぱりアメリカで燻る「インフレ」の ”種火” Ⅱ。|損切丸 (note.com)
4月ドイツCPI +2.4% 予想 +2.1% 前月 +2.2%
続・「高金利時代」再び? - もう期待できない日本の「バズーカ」|損切丸 (note.com) を想起させる材料がまあ次から次へと出て来ること、出て来ること。次はドイツだ。予想に反して4月CPIが反転上昇 ↑
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面子に拘るECBはそれでも6月「利下げ」は止めないのだろうが、ラガルド総裁等からも言い訳じみた発言が増えていて何だか見苦しい。今後出て来る欧州各国のCPIに戦々恐々だろう
確かにドイツやイタリアなど「中国傾斜」が激しかった国々の景況感は悪い。アメリカから買わされている高いガスも重荷。だからFRBより先に「利下げ」に動きたいのは山々だが「インフレ」はそういう甘えを許さない。これは実質賃金が24ヶ月連続マイナスの日本も同様
日米欧ともベビーブーマー引退に伴う「人手不足」が「インフレ」の根幹なのだからいつもの「景気が悪いから利下げ」の理屈は通らない。拙速な「利下げ」あるいは低金利の放置は「インフレ」≓「スタグフレーション」容認と解釈され「金利上昇」という形でコストに跳ね還ってくる
医療同様、具合が悪いからと言ってやみくもに "痛み止め" (≓「利下げ」)を投与するだけでは病気は治らない。むしろ痛みを止めてしまえば原因が判らなくなり、結果、病状(≓「インフレ」)が悪化する。原因(≓「人手不足」)が判っているのに "痛み止め" を投与するのは誤診に等しい
30年も "痛み止め" を打ち続けて寝た切りだった日本はもっと深刻。もう薬も効かなくなっているのに、いざテーパリング(Tapering、元々は医療の "薬抜き" の意)しようとしたら*あっちが痛い(e.g., 住宅ローンの変動金利)、こっちが痛い(e.g., 中小企業の資金繰り)と大暴れ。一時投与であるべき "痛み止め" を常態化してしまった担当医(≓日銀)の罪は重い
*金利上昇を受けて不動産株やREITに売りが出ている。単純比較は難しいが、タワマンの「利回り」=賃料÷価格は@2%台半ばが相場らしいから@2.2%台に乗せた30年JGBは重しになる。今後起きる展開としては①家賃上昇②価格下落が想定されるが、前者①については既に傾向が見えてきており「インフレ」の持続性を鑑みるとまだ続きそう。ただ②に関しても少なくとも価格上昇を止める力は働きそうだ
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ヨーロッパに関しては、ちょっと具合が悪い(≓景気減速)からといってここで不要な "痛み止め" (≓「利下げ」)を打てば後に "大手術" が必要になる懸念がある。その時のダメージは遙かに大きなものとなるだろう
薬も効かなくなっている日本は病巣の転移(≓「円安」)が見られ "手術" を待つ時間的余裕はない。相当腕の良い外科医(日銀総裁)が必要なのだが、大学で広義をする教授のようでどこか他人事。だから1年以上も決断出来ずに先延ばしにしてきた。患者は暴れるかもしれないが、ここは一か八か "手術" をするしかない
2、5年債に続いて7年債の入札が不調に終わった米国債も売りが続く。やはり 続・「高金利時代」再び? - もう期待できない日本の「バズーカ」|損切丸 (note.com) で、「高金利債」をいつも買ってくれた ”お得意様” N中金や地銀の撤退は痛い。加えて「ドル買い介入」で大量に米国債を買ってくれた日中両国は今や潜在的な「売り手」。「需給」が悪過ぎる
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ブラジル@11.8%、ロシア@14.8%、トルコ@27.9%…。高止まりする10年国債金利が示唆しているのは世界中で「お金」が足りなくなっている事。@2.3%で比較的金利が低い中国も足りないのは「ドル」。30年振りの日銀の金融引締転換で壮絶な「お金」の取り合いが始まっている
これはマーケット全般も一緒。こうなると「ゼロサムゲーム」の色彩が強まり、トレーダー達は**生き残りをかけて叩き合いを始める
**FXでは頭の重くなったドル円からユーロ・ポンドに逃げたがドル金利上昇でまたドルに戻したりしている。それがJGBの急落を受けてドルを売り直したり七転八倒。BTC(ビットコイン)も上がらないとなればWTI(NY原油先物)に移したり、NYダウも年初値に戻ってしまったり…。ファンドマネージャーもトレーダーもかなり苦労している
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日本も日経平均が急落するなど "副作用" が出ているが、ここで "痛み止め" に逃げればまたベッドに逆戻り。もういい加減立ち上がって普通に歩き始めるべき。リハビリに "痛み" は付き物であり、我々日本人も文句ばかり言っていないで立ち向かう時が来たという事だろう。それにしても…いつもながら「一方通行」の円相場は怖ろしい。今のJGBを見ていてつくづく思う