「時限爆弾」は止められないのか。
年齢のせいもあるのだろうが、失言癖が伝えられるバイデン大統領。今回は口が滑ったわけではなさそうだが、随分思い切った物言いである。まるで ”仮面ライダー” の世界(苦笑)。
「時限爆弾」とは 「デフレ」の沼に落ちた中国。|損切丸 (note.com) の事。「損切丸」でも4年前から散々書いてきたが、やはり表面化に随分時間がかかった。走らない高速鉄道や「鬼城」(未完成で人の住んでいないマンション群)が再び取り沙汰され、業界2位の中国恒大に続き最大手の碧桂園(英語名:カントリーガーデン)は8/11終値で株価が上場来安値の0.98香港ドル。1月のピークから▼70%の下落で同期間の騰落率ではハンセン指数最悪。時価総額は2018年の500億ドル≓7.2兆円から5億ドルに縮小した。
こういう意見をよく目にするが本当だろうか。「お金」に資本主義も社会主義もない。まして日本は「理想の社会主義」とまで言われた国。リゾートマンションとか「XXの宿」とか地方の空港・高速道路とか、作ったはいいがその後廃墟化した施設は枚挙に暇がない。アメリカ覇権に挑んで半導体イジメに遭っている所とか、どれもこれもそっくり。まさに「お金の戦争」。
「時限爆弾」を止める方法はないのか。
1つあるとすれば軍備増強を止める事。それで膨大な「お金」を節約できるし「米中対立」も緩和できる。だがそこは裏社会同様 "面子" が全ての「独裁国家」。本来は東欧の戦争を支援する余力などないはずで、今回の大統領の発言は暗にこの事も示唆しているのだろう。
ウルトラCは「お金をバンバン刷ること」。人民元を大量に発行すれば「資金繰り」は回る。だがこれはまさに* ”悪魔の囁き” 。第一次世界大戦後のドイツの「ハイパーインフレ」や第2次世界大戦で日本の「軍票」が "紙切れ" になった事など、ツケが大きすぎる。
今のところ ”悪魔の囁き” は思いとどまっているが「資本流出」で「人民元安」が続き打つ手無し。対ドルの為替水準は変動レート移行前の@8.00台に向かっており、いわば20年の苦労が台無しだ。
3兆ドルもある(ように見える)「外貨準備」も米国債は1兆ドル程で残りは「一帯一路」でアフリカ諸国やデフォルトしたパキスタンに回っている。いわば "隠れ不良債権" であり、こんな遠い所に港湾を確保してもそれこそ「鬼城」だろう。
国債金利が低下している分ルーブルよりマシとも言えるが、「デフレ」なのだから人民元が余るのは当たり前。香港ドル同様、実質「ドルペッグ」(ドルを裏付けとした通貨制度)なのは公然の秘密でもあり、本当に足りないのは「ドル」だ。この辺りの構図もバブル期の日本そっくりで、急落している不動産会社の社債もドル建が多い。
公表しているデータを信じればだが、47兆ドル≓4,900兆円もあった社会融資残高(企業・家計向け)は30兆ドルまで減っており、その一方で「預金」は31兆ドル→35兆ドルと融資残高超え。典型的「デフレ」現象で政府債務も▼12兆ドル→15兆ドルと膨らむ。
この債務圧縮の結果が中国恒大や碧桂園の「債務超過」という事になるが、これらは氷山の一角。日本同様、本丸は ”銀行” の減損処理になる。中国の銀行決算が大赤字になったというニュースは聞かないので、これからが本番。扱い方を間違えれば、まさに「時限爆弾」になる。
ここで筆者が気になっているのが、米国債金利が長期を中心にジワジワ上がっていること。日本のバブル崩壊時もそうだったが、中国も足りないのは「ドル」。中国の不動産会社のドル建社債が暴落して2桁金利になっているが、金額が大きいだけに米国債を含めドル建債の金利が引っ張られる。そう言う意味ではアメリカも「時限爆弾」から逃れる事はできない。バイデン大統領の発言からは「もう止めよう」、そういう意図も感じられる。
ドル金利上昇の影響をモロに受けるのは新興企業中心のナスダックだ。「イールドスプレッド」で見ても米株価は高値に貼付いたまま、e.g., S&P@▼0.75>長期標準偏差▼3% ↓ 。「リモートワーク」拡大の余波で急落しているウィーワーク株等不安もつきまとう。
中国の不良債権処理に関しては爆弾炸裂というよりも、10年単位の時間を掛けて処理が進むことになる。むしろショックが起るとすれば米国債やナスダックの方で、JGB(日本国債)やドル円にも波及するかもしれない。
安くなる「人民元」「ルーブル」「円」に米長期債の売り(金利上昇)を見ていると何だか嫌な気配が漂ってくる。即効薬としては「戦争」を止めるのが手っ取り早いがそう簡単にも行くまい。「歴史は繰り返す」。こういう時いつも思うのだが、人間て本当にしょうもない(苦笑)。
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