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続・「人民元」がおかしい。 ー  ”クラッシュ” の足音。「元安・株安・国債安」は起きるか。

 「人民元」がおかしい。 ー 「ルーブル救済」のはずが...。|損切丸|note の続編。これまたタイミングがいいというか悪いというか、書いた途端に相場が動き出した。ドル・人民元は一気に@6.5500台に急落「侵略戦争」開始以来、実に▼4%近く売られた@6.3100→@6.5500)。

 あと地球を2周ぐらいしないとわからないが、過去の「損切丸」の経験に照らすと ”クラッシュ” も臭ってきた。証券局が国内投資家に「株買い支え」を指示したことを除けば、目立った対応もしていない。

 ”人民元安でルーブルを支えれば両国ともメリットがある”

 なるほど、 続・「ルーブル」の ”リアル” 。ー 人民元安、インドルピー安による「隠れルーブル買介入」。|損切丸|note は輸出大国・中国らしい合理的戦略にも映る。「人民元安」は輸出強化 → 景気回復でメリットが大きいと踏んだのだろう。

 だがタイミングが悪いことに上海などのロックダウンが長引き、景気は急激に悪化。このままだとサプライチェーンから中国を外す企業が相次ぎ、「人民元安」はメリットにならない。それどころか 2020年以降続く ”キャピタル・フライト” ↓(資本流出)の火に油の結果になった。

 香港ハンセン指数2018年の高値 ≓ @33,154から▼40%余り下落深圳上海CSI300指数2021年の高値 ≓ @5,807から▼35%も売られている。さすがにこれはきつい。「富裕層」の不満は爆発寸前だろう。

 「安いガス・石炭・原油購入」戦略も上手くいっていない。あくまで「スクリーンプライス」、e.g. ドル・ルーブル≓@75、を基準にするなら、人民元はたった2ヶ月で▼45%も対ルーブルで下落しており、ある意味 ”異常” 。どちらも専制国家で為替レートは「管理相場」のはずなのに:

・ ”偽りのルーブル高” ー ドルに換えればドル建債の元利金返済もできるはずなのにそれもせず。輸入品も安く買えずに国内の物価が上昇(なぜ?)
・ ”ルーブルの身代わりとして人民元安” なのに増えない輸出。かえって 「資本流出」を招く。
 

 ハッタリ見せ掛け、脅しを得意とする両国らしいといえばそれまでだが、「お金」の戦略は失敗だらけ「米中分断」が決定的になる中、西側のシステムからはじき出されたと考えて良いだろう。食糧もエネルギーも "レッドチーム" 内完結で生きていく覚悟があればそれも良しだが、工業品や「半導体」などの戦略物資は軍事にも直結するため無視できまい

 もっとも仮に中国が ”クラッシュ” するなら、欧米や日本も「返り血」は避けられない。それほど中国は大きくなり過ぎており、まさに「巨大な灰色のサイ」。暴れ出したらどんな影響があるのか、「世界同時株安」の懸念も強く、この1週間は警戒が必要。特に59兆ドル≓7,600兆円に及ぶ「借金」の踏み倒し懸念はマーケットの脅威になるだろう。

 今日(4/25)(東京時間)午後5時時点で、昨日▼981ドルも下げたNYダウの先物は▼130ドル、欧州市場では英FT、独DAXとも続落、それぞれ@7,400割れ、@14,000割れ。緊張感は一気に高まってきた。

 一方 ”怪我の功名” もある。株価の下落で「インフレ」懸念が和らぎ、@2.9%台に上昇していた10年米国債は@2.83%まで低下「利上げ」予想も "到達点" が@3.75%まで下がってきた欧州国債金利も低下している。

 エネルギー価格WTI先物が@98ドル割れ一時@7ドルを超えていた天然ガスが@6.5ドルまで下落鉄、銅、亜鉛など鉄鉱石も急落している。おまけで言えば、上海からの引合いが減った「ウニ」が日本で安くなっており、やはり「巨大な灰色のサイ」中国の影響は甚大

 あとはどうバランスを取るか。確かに「鉄壁の専制国家」は頑丈に見えるが、 "揺れ" のマグニチュードが大きくなると意外に脆かったりする。こうなると、適度に揺らぐ耐震構造で何度も ”クラッシュ” を凌いできた西側の「市場経済」の方が有効だろう。

 さて ”理想の社会主義国家” 日本はどうか(苦笑)。「柔軟性」の点でやや難があるが「人民元安」と反比例するように何故か「ドル円」は「円高」方向に戻し気味「脱・中国」資金が日本へ向かっている可能性もある。

 ここは良く見ていきたい。ひょっとすると2022年相場の転換点、いや、2018年以降続いてきた「過剰流動性相場」の総決算になる可能性すらある。個人的には長期国債、特に中国国債金利に注目。ここから債券安で金利上昇に転じるようだと「トリプル安」が現実味を帯びてくる。筆者もちょっと "緊張" してきた。さてどうなるか...。

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