見出し画像

「どうせ戻るでしょ」 相場の終焉。 ー 2年米国債は@1%越え。

 「損切丸」が主に担当していた「短期金利」は妄想や妥協を許さない ”リアル” の塊。特にインターバンク(銀行間)は各行の「資金繰り」が激しくぶつかり合う、あまり誤魔化しが効かない世界だ。短期金利に属する1~2年国債は、「利上げ」「利下げ」等金融政策の影響をもろに喰らう。その2年米国債がついに@1%を超えてきた。

 2020年3月「コロナ危機」以降「ゼロ金利」で推移してきたFRBの政策金利が、 ”リアル” に動き出す時が近付いている。この@1%越え①1/26に+0.25%利上げ前倒し、あるいは②3/16に+0.50%利上げ等の可能性も示唆しており、2023年までに政策金利が@2%まで上がる事を想定している。

 「全部上がる」? "予定調和" の相場。|損切丸|note では「米国債の金利水準が "FED Plot" に追い付いていない」と指摘したが、ようやく帳尻が合ってきた。これまでは2019~2020年に渡る再三再四の米国債の「踏み上げ」=金利の低下局面が強く作用してきた:

 「どうせまた戻るでしょ、米国債は」

 売られる場面で上手に "押し目買い" すれば、高い金利収入を得られたので味を占めてしまったのだ。実はこれは株や商品、暗号資産等も同様で、「とにかく "押し目買い" しておけば儲かる」いう「油断」「緩み」年金の "リバランス" 買いなどは典型例と言える。

 *それもこれも「過剰流動性」がなせる技

 *「コロナ危機」で水が一気に蒸発したので慌てて給水し(量的緩和)、熱も冷ました(利下げ)。その後も毎月600億ドル(≓7兆円)も注ぎ続けたため「金利」の器から溢れ、「ナスダック」「原油」「暗号資産」等他の器に移し替えるしかなかった。これではどこの水位も上がるはず。それが2~3月で給水が止まり、おまけに温度も上げる(利上げ)。水位は上がらなくなり、水温が上がれば蒸発もする。加えて7月頃から水を抜き始めるという。徐々に2019年以前の「正常」に戻ることになる。

 こうなると「マネーフロー」は激変し、「みんな儲かる」というわけにはいかなくなる**「過剰流動性」の "恩恵" が大きかった順に影響を受けることになるだろう。株式市場なら①「イールドスプレッド」が@1.6~1.7%と歴史的低水準 < e.g. 平均値@4%②PERが70倍にまでなった「ナスダック指数」への影響が大きい今回の「お金」の動きは ”思惑” や ”観測” ではなく ”リアル” なので、あまり高を括らない方がいい

 **10年米国債が一気に@1.83%まで上昇して、一時@115円に突っかけたドル円だが、やはり頭が重いFXでの「ドル買い」も間接的に「過剰流動性」の "恩恵" を受けているため「ドル高」戦略も曲がり角ユーロ、ポンド、円を見ていると明らかにそういう動きに変わってきている。今後はヨーロッパや日本が「利上げ」で追いかけてくる可能性もあり、単純に「ドル金利上昇」=「ドル買い」とはいかなくなるだろう。

 さて、我らが日銀はどうか。

 1/17政策決定会合後の黒田総裁の記者会見:
「物価が+2%に向かって着実に上昇している訳ではない」「現在の金融緩和を修正する必要は全くない」「必要ならさらに引き下げる」

 .…。まああれだけ政治に首を突っ込んだ日銀総裁もなかなかいないが、「アベノミクス」主導者の1人としてはこう言うしかないのだろう。だが、今の感染症同様、効果の切れた対策は無駄なだけでなく国民の疲労も伴う。まして「金利」は全国民に影響が及ぶ「所得分配機能」を司る。元・財務官とは言え、これだけ財務省と経済団体ばかり向いた政策は歪つでさえある

 とはいえ「インフレ」も「円安」も任期切れの2023年3月まで待ってはくれない次期総裁候補の報道等も含め、これから「利上げ」シフトへ "地鳴らし" ( "地均し" 「進撃の巨人」ではない。笑)が続くだろう。「円安」をきっかけに日本国民も "目覚める" しかない

 1つ気になるのは 「不良債権」と「通貨高」の狭間。 ー  日本の "バブル崩壊" の教訓。|損切丸|note にある中国。情報が不正確で少ないため影響が読み切れないが、経済的結びつきが強く、日銀、ひいては日本経済に思わぬ ”落とし穴” になるかもしれない。何か "事" があれば、アメリカもドイツも無傷という訳にはいくまい

 市場の「調整」も、例えばナスダック指数の低すぎる「イールドスプレッド」が金利上昇+株価下落の進行で2.5~3%程度まで穏当に進めば良いが、そこは ”一寸先は闇” 。何かのきっかけで金利が急騰すれば想定外の事態も起きかねない。 ”リアル” な「お金」の変動を伴うだけに、いつ「黒い白鳥」「灰色のサイ」が出てきてもいいよう、心構えだけはしておきたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?