米国経済本当は強い?弱い?Ⅳ
米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ|損切丸 (note.com) の続編
いつも "期待を裏切らない" 米雇用統計(苦笑)。せっかく醸成されていた 押し寄せる「利下げ」の "波" |損切丸 (note.com) を事も無く吹き飛ばした。FRBが9月にも「利下げ」開始と期待した向きには "鉄槌" が下った。年内開始も危うくなりこれでまた1からやり直し
ADP調査との整合性はどうなのかという疑問も残るが、米国では▼4,000万人もベビーブーマー引退で大きな ”穴” が空いており、やはり「人手不足」は簡単に解消しそうにない。物価の急騰で消費が減退しているのは "FACT" (事実)だが雇用を削れる程ではないのだろう。そもそも足りない「人」は足りないという事
こうなると景気が後退しているのに「インフレ」で「利下げ」出来ない or 「利上げ」せざるを得ない「スタグフレーション」が頭をもたげてくる
賃金に上昇傾向が見られるのはドイツを始めヨーロッパも同様であり、こちらも足りない「人」は足りない。アメリカより景気減速感が強いのも "FACT" だが、今回の「利下げ」が "勇み足" になると「スタグフレーション」リスクは増す。実際「利下げ」後長期金利は不気味に上昇。ドイツ、スペインのCPIも反転上昇に転じている
"玉虫色" の株式市場は「雇用が強いから買い」の "ご都合主義" が先行するが滅茶苦茶なのがFX。カナダにECB、それにFRBと盛り上がってきた「利下げ」気運に乗って「ドル売り」を仕掛けたがこれで元の木阿弥。特に悲惨なのはドル円。@155円台前半まで売り込まれていたのに@157円台まで踏み上げられた。これだけ儲からないとまたぞろ「キャリートレード教」が復活しそうな雲行きだ(いつまで続けるんだか…溜息)
一番ショックを受けているのは日銀だろう。*「利下げ」気運に乗って(?)ハト派の理事が「個人消費が心配」「利上げはまだ早い」などと発言、あわよくば「利上げしたくない」という本音が漏れてしまった。これでは日銀の "本気" は伝わらない
せっかく学者出身の総裁を頂いているのだから、ここは論理・合理性に基づいて「中立金利」≓@2.0%への調整を淡々と進めるべき。既に半年以上「利上げ」が遅れているので、6月だ7月だと些末な議論に終始せずさっさと動いた方がいい。いみじくも強い米雇用統計はこの「円安」はそう簡単には収まらない事を示唆している。もう ”黒船” 頼み ≓ FRBの「利下げ」待ちではなく自ら主体的に動く局面に来ている
「利上げ」を非合理に引き延ばしている日本と「利下げ」が "勇み足" の懸念があるヨーロッパは「スタグフレーション」に陥る危険性が増している。景気・雇用が強く政策金利を「中立金利」より+1%以上高く据え置いているアメリカはまだマシ。もっとも@7%台の住宅ローン等々「高金利」のダメージは突然舞い降りてくる点は十分注視しておく必要があろう
まあそれでも 「金利」が下がっているうちは大丈夫|損切丸 (note.com) FRB、ECB共いざとなれば▼2~3%「利下げ」カードが切れる。それが "玉虫色" の株式市場の楽観論にも繋がっており、その点日銀は苦しい。だからこそ出来る時に「利上げ」しておく事が肝要で "早い行動" が望まれる
「高金利」のダメージはアメリカ経済に徐々に蓄積しておりどこかのタイミングで顕在化してくるだろう。だがもう少し時間がかかりそうだから日銀にとってはまさに「利上げ」の "千載一遇のチャンス" 。この「円安」を利して早く「中立金利」に戻しておきたい。次のショックでまた "寝た切り" ≓「ゼロ・マイナス金利」はご勘弁。願わくば来週の会合でせめて@0.25%(+0.15%)「利上げ」に踏み切ってくれれば、と祈るのみ。そうしないとまた「円安」攻めに苦しむことになる