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「円キャリートレード」への回帰? - 「オプションの売り」より安心・確実
(参照) 「円キャリートレード」の代替 - 「オプションの売り」も選択肢の一つ|損切丸
続・「円キャリートレード」の代替 - 「レンジ取引」の功罪|損切丸
”寄り天売り” 戦略
曲がりなりにも他の主要株式市場の「名目値」が上がっている中で「日経平均」だけが年初来マイナス圏でうろうろ。1月以降上に行こうとする相場に蓋をする奇妙な ”寄り天売り” が続いている。筆者は日銀利上げ→「円高」シナリオに基づいた「コール・オプション売り」が原因と見ており、いわば「円キャリートレード」の代わり。だがこれにも「変化」が見て取れる
まずはポジションの偏り。これだけ「コール・オプション売り」を繰り返せばショート(売り)のデルタが蓄積し、手口が見えているのだから当然 続・マーケットでは必ず「逆」をする奴が出て来る - 「先回り」の「先回り」、更にその「先回り」?|損切丸 頃合いを見て「日経平均」(先物)を踏み上げれば「コール・オプション売り」側は買い戻すしか無くなる
そしてもう一つ重要なのが 続・次は「利下げ」か「利上げ」か - そこに「関税戦争」も加わる|損切丸 でFRBの動向が「利下げ」から「利上げ」方向に反転したこと。2日で▼4円も動いた「ドル円」に見られるように「円安」が続くなら+4%程度「金利差」益が見込める「円キャリートレード」の方が手っ取り早く儲かる。「インフレ」の真っ只中、株価上昇のリスクを負ってキリキリと「コール・オプション売り」を積み上げる必要も無い
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そもそもヘッジファンド(HF)は 続・マーケットは「円キャリートレード」中毒 ー きっかけさえあれば「金利差」に群がる "飢えた狼達" |損切丸 なのだから再開したくてウズウズしているはず。一度始まれば「円キャリートレード」への回帰はあっという間に進むだろう
そうするとマーケットで何が起きるのか
1.「コール・オプション売り」
利益が出ていればコール・オプション自体を買い戻すか、あるいは先物をオプションの元金分買い戻す
損益分岐点=行使価格-先物買い戻し価格+受け取りオプション料
2.「ドル円」のヘッジ売り
日銀利上げ→「円高」に基づく戦略なので当然「ドル円」はショート。これを逆にロング(買い)にひっくり返すとなればかなりの「円売り」が出る。ここ数日の猛烈な「ドル円」の買い戻しはその影響かもしれない
儲けを最大化したいHFにしてみれば、教科書通りポートフォリオの組み替えをするだけのはずが無く、「日経平均」(先物)も「ドル円」も大幅に買い乗せして相場を動かそうとするだろう
そんな彼らに立ちはだかりかそうなのが①日銀の「利上げ」前倒しと②財務省による「円買い介入」になる
2/6 田村日銀審議委員:
”日銀利上げ、25年度後半に「最低」1%まで必要”
こう表明しているのだが、問題は金利リスクに正面から向き合わない邦銀勢が 「利上げ」局面で「損切り」出来ないと... - ジワジワくる「金利」の怖さ|損切丸 に直面するリスク。未だに「護送船団方式」が抜けず ”お上頼み” の「日本金融村」の様相は「利上げ」を全然織り込まないJGB市場が示している。いざとなれば政府が助けてくれるという「モラルハザード」が蔓延している証拠でもある
ただ今回は日本を取り巻く金融環境が違う。最も重大なのは通貨安=「円安」であり、低金利で銀行だけを保護するわけにはいかない。これは変動金利で住宅ローンを借りている人も同じ
FRBが想定以上の@5%まで「利上げ」して本邦地銀、系統銀行がドル建債で▼数千億~▼数兆円もの巨額損失を被ったが同じことがJGBに起こらないとは限らない。「インフレ」に沈静化の兆しが見えない以上、+2~3%の「利上げ」は意外でも何でも無い。そうすると@2%以下の国債など怖くてとても買えない
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自分でも「利上げ」で散々 "痛い目" に遭ってきた「損切丸」だけに、どうしても3ヶ月後、6ヶ月後に思いをはせてしまう。予想が当たって欲しいような欲しくないような(苦笑)。とにかくターミナルレート(利上げの到達点)を@1.0~1.5%と決め込んで、シリコンバレー銀行やシグニチャーバンクのように安易な国債運用で失敗する事は避けたい
昨日+3%台に復帰した米CPIもそうだが日本もまだ+3.6%(総合)。農水省を筆頭に「令和の米騒動」も一時的現象と捉える向きが多いが、それは*「需給」の転換を見誤っている
*1月の企業物価も+4.2%と2023年6月の+4.5%以来の高い伸び率を維持しているし、この国の「インフレ」はこれからが本番ではないか。「コストプッシュ」だろうが「デマンドプル」だろうが日本は "人" も "もの" も足りない。|損切丸 上がらない「家賃」が救い? - 何でもかんでも "むしり取る" ことに奔走する今の日本は異常。|損切丸 にも「変化」の兆しがあり要注意だ
今後も「円安」「インフレ」を巡ってマーケットと政府・日銀の鍔迫り合いが続く。見ているこちらもキリキリしそうだが「ウォール街」もHFも必死の形相で挑んでくる。これはもう生き残りを賭けた "闘い" 。我々日本人も「投票」や「投資」というツールを使って "闘う" 強い意志が必要になる