続・マーケットでは必ず「逆」をする奴が出て来る - 「先回り」の「先回り」、更にその「先回り」?
マーケットでは必ず「逆」をする奴が出て来る - 結局この世は「ゼロサムゲーム」|損切丸 の続編
手前味噌になってしまうが、こんな note. を書いた直後「ドル円」と「日経平均(先物)」の連関性には微妙な変化が生じつつある。「AI」vs「AI」の様相を呈している現状のマーケットだが一種の "意地悪" が横行し始めた
前稿で "アジア時間限定でドル円と日経平均先物を連動させたAIトレード" という書き方をしたが、どうも旗色が悪い。「日経平均」が売られて「ドル円」売りのプログラムが作動すると踏み上げられ、逆に「ドル円」急落に連動して「日経平均」を売るとまた踏み上げられる...。どうもその「損切り」を別の「AI」に「先回り」されている雰囲気
スクリーンだけ見ると「ドル円」も「日経平均(先物)」も肉眼で追えないほど速く動いているが、明らかに動きが変化している
10年程前 ”必ず儲かる玉手箱” 的に持て囃された株のHFT(High Frequency Trades、高頻度取引)。調べてみると投資家の「買い」注文が入った時に1銭単位で細かく刻んで「先回り」して何万回も「買い」「売り」を繰り返すという。つまり "薄利多売型のアービトラージ(裁定取引)"
大体この手の ”リスクを負わずに他人の懐から抜く” タイプのアービトラージはラテン系や中華系の得意技なのだが、それを「AI」を使って高度化したものと考えていい。*注文を出した側は ”抜かれている” 事に気付き難く初期は "抜かれ放題" だったが、段々その「不利益」に気付くと今度は「成行」(注文金額をこなすまで売買を続ける方法)から「指値」に変えるなど対策を練ってくる
こうやって「儲け」が減ってくると、以前にも書いたが次はHFT業者同士の "闘い" ≓ ”どちらが速いか” 。筆者が退職する頃には「HFTの業者端末がどれだけ東証(現TFX)に近いか」のミリ単位の勝負になっていた。 ”玉手箱” の正体が滅茶苦茶アナログ...。「暗号資産が電力を使い過ぎる」という "カラクリ" に似ている気もする
「ドル円」と「日経平均」の連動プログラムも、当初は "Ms. Watanabe" (個人のFX投資家)が「日経平均」を見ながら売買していたのを「先回り」しようとしたのが端緒だろうが、それも "淘汰" が起きて "叩き合い" に変化
筆者が香港支店に転勤した時にマーケット担当の副支店長(相場経験ゼロ)がいつもそう叫んでいた。??? 確かに**オプション創生期には稼ぎ頭になってやはり ”玉手箱” と持て囃されたが、それは「原価」≓ マーケットのプライシングを知らない層が多かったから。いくら高く吹っ掛けても買ってくれるわけだから "抜き放題" だ。これはブームになった「高利回り仕組債」もそうだし、何なら「カボチャの馬車」もそう。「利回り」の衣を被せて売れば「原価」が判らなければ "抜き放題" になる
こういう謳い文句で一時ブームになった「AI投信」。筆者は最初から懐疑的だったが当然これも ”玉手箱” ではない。だが「ゼロサム」のマーケットで全員が儲かることなどあり得ず「ほったらかし」で儲かるなら投資銀行など必要無い。その原則はいくらテクノロジーが発展しても「オプション」も「AI」も例外ではない。必ず "闘い" が起きる。そのことは今回の「ドル円」「日経平均(先物)」を見ていても明らかだ
では「怖い」と言って何もせずにいれば "闘い" を避けられるかというとさにあらず。「デフレ」から「インフレ」に大転換する中で「現預金」に固執すれば 「何もしない」リスク - あなたの「お金」大丈夫?|損切丸 に晒される。今話題の「103万円の壁」も政府(財務省)との "闘い" 。「何もしない」≓「選挙に行かない」では「不戦敗」である
そもそも「将来価値」を売買するマーケットでは「先読み」が勝負の鍵を握る。それを秒単位まで時間を短縮したのが「HFT」であり「AI」。所詮 ”便利な道具” に過ぎず "闘い" の主体は「人」だ。世間を賑わしたChatGPTも過去の膨大なデータをベースにした「高度な検索」である事が判ってきており、不確実な「先読み」は苦手
考えて見れば生きていくこと自体が "闘い" であり必ずリスクを伴う。成功者のほとんどが「先読み」「先回り」を実践できている人で「相場」に通じるものも多い。あとは「運」だろう
筆者が儲かった時に ”運が良かった” と言ったら同僚にこういわれた。しっかりとした努力・準備あってこその ”運” という事なのだろう。人生もマーケットも思うに任せない事が多すぎて、信者でもないのに何かが上手くいくと ”神様ありがとう” と思ってしまう今日この頃(苦笑) ”実るほど頭を垂れる稲穂かな” 「怖れ」を持って謙虚でいることが大切なのかもしれない